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研究者紹介

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“新しい視点の制御方法で信頼性を向上させる” HDDヘッドの制御技術 保中 志元 / 機械システム部門  2008年入社 産業機械工学専攻

研究の内容:HDDのヘッド退避動作の制御

私が取り組んでいる研究分野は制御技術です。具体的には,機械を思い通りに運動させるための技術です。入社以来取り組んでいるのは、ハードディスクのヘッドの位置決め制御です。特に、ヘッドの退避動作をテーマにしています。
普段、ヘッドはハードディスク内のディスク上でデータを読み書きしています。しかし、ヘッドがディスク上にあると、誤って接触してデータを破損させる恐れがあります。そこで、読み書きしない時はヘッドをディスク上から退避させます。このようなヘッドの退避動作の研究をしています。
ヘッドがディスク上で読み書きしている時は、ハードディスク側にあらかじめ記録された位置情報を利用します。しかし、ヘッドを退避させようとするときは、ディスク上から離れてしまうためディスクに記録された位置情報は利用できません。別の情報をもとに制御を行います。それは、ヘッドを動かすアクチュエータに発生する逆起電圧です。ただ、逆起電圧を直接計測することはできないためアクチュエータのコイルの端子間電圧から推定する必要があり、そのために正確なコイル抵抗が必要となります。データを読み書きするためにヘッドを頻繁に動かすとアクチュエータに熱が発生し、コイル抵抗が設定した値よりずれて正確な逆起電圧を推定できなくなってしまいます。そうすると、ヘッドを退避させる機構部に勢い良く乗り上げたり、ヘッドが発振したりして、退避動作は失敗してしまいます。そこで、コイル抵抗の変動値を推定して、補正を行います。

HDDのヘッド退避動作の図

会社について:製品化を見据えた研究に取り組む

私が担当しているコイル抵抗を推定するテーマは、製品の信頼性に大きく関わる部分です。開発した技術を製品に搭載するために、2ヶ月間、青梅の工場に頻繁に出張し、何万回にも及ぶ評価試験を実施しました。1回だけ良いデータが記録できただけでは不充分なのです。評価試験では、普段そんな環境で使うのだろうかと思うほど大きく温度を変化させたりして、それでもまったく問題が起きないことを実証しないと、製品には実装できません。このように製品化を意識して研究を行うことが大学の研究と違うところだと思います。
ハードディスク製品は、1年ないしは2年で大容量化を果たしてモデルチェンジします。製品化前に評価試験が必要なことを考えると、そのための時間も見込んで早めに技術を完成させなければなりません。製品化に向けて必要な要求には、しっかり着実に応えたいと思います。このように毎年新しい成果を求められる研究の他に、5年から10年先を見たテーマにも取り組んでいます。

毎日の生活:休日はチェスの名勝負を再現

主にハードディスクのヘッドの位置決め制御の研究をしていますが、その他にもXYステージなど別の装置の制御にも取り組んでいます。メカが好きで、いろいろな装置の研究に携われることにやりがいを感じています。小さい頃からずっと、ガンダムのようなメカが好きでしたし、大学時代にはロボットの研究をしていました。
休みの日は家にいることが多いですが、食べ歩きに出かけたり、本屋さんを巡ったりもしますね。あと、将棋やチェスが好きで、棋譜をもとに自分で駒を並べてみたりしています。チェスの本に載っている16世紀から現在に至るまでの、偉人や世界チャンピオンたちの戦いを、実際にチェス盤の上で再現します。ここ500年間に行われた名局の数々が目の前に蘇り、指し手がどのように考えていたのかと思いを馳せながら勉強中です。

保中 志元の写真 保中 志元の写真 保中 志元の写真 保中 志元の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『良いアイデアも、伝わってこそ。伝える力が大切です。』

専門分野に一生懸命取り組んでいくのは当然ですが、自分の考え方や技術を的確に相手に伝える技術がとても重要だと思います。会社に入ると、チームとして仕事を進める上で必要ですし、職場にいるさまざまな専門家に伝えることで、新たな視点から意見を貰え自分にとっても新しい発見があったりします。普段から伝える力を磨くと良いと思います。

  • 杜塚 芙美:ecoチップ™
  • 神田 充:スマートグリッド向け通信セキュリティ技術
  • 藤村 浩司:音声認識技術
  • 齊藤 佳奈子:4k2k高画質化技術
  • 保中 志元:HDDヘッドの制御技術