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研究者紹介 バックナンバー2015

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“生き物と機械の接点を探る” ヒューマンメカトロニクス 福永 いづみ / 機械・システム部門 2009年入社 基礎理工学専攻

研究の内容:人間の主観を、物理的な量で表す

私の研究は、人間の状態推定がテーマです。人間が機械を使って作業しているときに、その人の作業状況や、疲れていないか、休憩が必要かといった身体の状態を、作業を邪魔しないで測るのが目標です。そのためのセンシングの工夫や、少ないデータから多くの情報を得るための解析方法の検討などを主にしています。ヒューマンメカトロニクスのチームのなかで、私はヒューマン寄りですね。人間が研究対象です。人間の動きを測るために、作業中の筋肉の活動量を筋電位計で測ったり、重心の位置などを測ります。私自身の動きも計測しますし、チームの人も計測に参加します。
研究の初期段階では、どんな人間にも共通する指標を探していたのですが、個人差が大きいことがわかり、なぜこんなに違うのか意外に感じていました。最近では、人間の共通点を探すよりも、最初から個人差はあると捉えて、その差を定量的に示す指標を探そうと考えるようになりました。たとえば、作業が楽にできる作業台の高さを決めようとして、いろいろな高さの作業台を試してもらうと、人によって楽だと思う高さは違いますし、日を変えて同じ作業をしてもらったときに同じ人が違う意見を言うこともあります。人間の主観を相手にするのは大変です。

福永 いづみの写真

重心位置計測システムの外観図

会社について:人の研究を、モノづくりに活かす

私たちの部門は、一人一人専門が違うことから「個人商店」と呼ばれています。同じ機械工学卒業でも、振動や音を専門にする人もいるし、機構設計の人も、制御の人もいます。最初は機械工学の用語がわからなくて、設計や制御の人が何を話しているのか理解できないこともありました。今は、誰が何のエキスパートなのか理解し、困ったことがあれば、専門の人に相談するようにしています。
センシングしたデータに何か共通点を発見したり、個人差を定量的に示す方法が見つかった時は嬉しいですね。実験で予想通りの結果が出た時も嬉しいですが、予想外のデータが出ても、原因を考え観察して、原因と思われる部分を取り除いて思い通りのデータが得られた時は、喜びを感じます。実験データが溜まっていくと、あとで全部解析しなければと思って少し憂鬱になりますが、実験自体は楽しんでいます。学会発表も達成感を感じますが、自分の関わった研究が製品になることを想像するのも、楽しいですね。

福永 いづみの写真 福永 いづみの写真

毎日の生活:一人で決めつけず、数多くの視点で考える

どのような実験を行うかを考えて計画を立てるまでは居室、実験準備や実際の実験をするのは実験室です。実験の時間は結構短くて、それよりも実験後のデータ解析にとても時間がかかります。それも居室での作業です。パソコンに向かいながら「共通点ないかなぁ」と悩んでいます。
データ解析で迷うと、解析方法に関してチームの人に相談します。自分だけで考えても埒が明かないと思ったときは、素直に「全然まとまらないので見て下さい!」と助けを求めます。納得のいく解析結果が出る前に、周囲に検討中のデータを提示して議論するのですが、議論のための材料を整えるのも結構難しいですね。最初からひとつの現象に注目して解析した結果を見せて、議論を効率よく誘導するだけではなく、もっと手前の生データに近いものを見せて着実に議論していくのも大切だと思います。生データを他の人にも見てもらうといいですね。研究分野や専門性が違うと、思考の切り口が変わるので、おもしろい現象が見えてきます。

福永 いづみの写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『リフレッシュできる、長く続けられる趣味を持ちましょう!』

大学でサークルなどに入っている方も多いと思いますが、就職しても細く長く続けて欲しいですね。研究が楽しいときはいいのですが、迷ったときに気持ちを切り換える何かがあれば役に立ちます。私の場合はピアノです。職場に室内楽部という音楽サークルがあって、合奏を楽しんでいます。