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研究者紹介 バックナンバー2015

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“縦画面でも横画面でも使える3Dディスプレイ” 裸眼3D技術 柏木 正子 マルチメディア部門 2006年入社 数理・物性構造科学専攻

研究の内容:液晶GRINレンズの開発

縦画面でも横画面でも使える裸眼の3Dディスプレイシステムの開発をしています。いままでも東芝は裸眼の3Dに取り組んできましたが、従来は液晶パネルの上に細長いカマボコ形のプラスチックのレンズを並べていました。この場合、画面を90度回転させると、原理的に映像を3Dで見ることはできません。そこで、レンズに工夫をこらし、縦画面でも横画面でも見えるようにしました。
新しいレンズは、液晶GRINレンズと呼ばれています。液晶GRINレンズの液晶にかける電圧を制御すれば、屈折率の分布をカマボコ型のレンズ状にしたり、プリズム状にしたり、あるいは平坦にすることも可能です。電極の配線のしかたと電圧のかけかたによって縦画面でも横画面でも3Dを楽しめますし、もちろん2Dにもなります。
3D画像をキレイに見せるために、液晶GRINレンズの屈折率の分布を設計し、試作/評価したものを再び設計にフィードバックしています。液晶GRINレンズは他社でも研究されていますが、電極構造や電圧の印加方法に東芝の独自技術を入れています。

柏木 正子の写真

液晶GRINレンズの図

会社について:人に夢を与えられ、夢を持って語れる技術

学生の時は天体観測用の素子、たとえば星の光を素子に入れて、その星の組成を評価するような回折格子を作っていました。目的がはっきりしていたので、現在の研究とプロセスは似ています。就職先として東芝を選んだのは、ずっと研究ばかりではなく、自分の手がけた研究を世の中に製品として送り出したい、見届けたいという意思があったからです。最初は漠然と人を笑顔にできる技術開発がしたいと思っていました。何社か会社見学をしたときに、東芝で3Dの説明を受けて、「これだ!」と思いました。この技術は人に夢を与えられると強く感じましたし、説明してくれた人も夢を持って語ってくれました。きらめいていて、働きやすそうで、やりがいを感じているオーラが漂っていたんです。学生の時に学会発表や展示会に行くと、東芝の女性研究者が活躍している姿をよくみかけました。実際に第一線で活躍している女性の研究者が多いことも特長だと思います。

柏木 正子の写真

毎日の生活:99%が実験室

液晶GRINレンズの開発では、電極と電圧の関係でどのような屈折率分布になるかをシミュレーションで計算して設計を行い、次に実際に液晶GRINレンズの試作/評価をしていきます。評価は実験室で行います。最初に、レンズに光を入れたときの集光具合や拡散の特性を見ます。そこから性能が良いレンズを選び、液晶パネルの上に載せて、いざ3D表示をする、という順番です。設計から3D画像を確認するまで、急いでいる時は2、3週間です。今は設計と試作/評価を忙しく繰り返しているので、実験室に入り浸っています。居室にいる暇が殆どありません。
3Dディスプレイシステムとして組み上げるために、液晶パネルの向きをジャイロで確認したり、視聴者の頭の位置を追跡したりして、液晶GRINレンズを制御する必要があります。開発は、メンバー一人ひとりの力を合わせて、グループで議論しながら進めています。ディスプレイを試作すると、すぐに評価が始まります。皆が試作ディスプレイのまわりに集まってきて、「これが良いね」「ここがダメだね」と議論します。でてきた課題は、メンバーそれぞれの知識を組み合わせて解決していきます。
登山が趣味なので、週末は山を見つけて登りにいっています。秋のベストシーズンには月に2回は登って、一気にストレス発散ですね。山小屋泊が最近のマイブームです。山小屋に3Dが撮影できるカメラを持っていって、撮った画像を自分の3Dディスプレイに表示したらどうだろう、こういうコンテンツにはどんな応用先があるだろうか、あれこれ想像を巡らせたりもしています。

柏木 正子の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『日常の変化に気づいたら、それに対して「なぜ?」と問いかけ、考える癖をつけることをおすすめします。』

新しい技術は日常の「なぜ?」から始まります。そこからいかに課題をとりだすかが鍵になります。みつけた課題が解決したら、それは、新発見や世界初の技術に結びつくかもしれません。どんなに小さく、些細なことでも構いません。そういう体験をしてほしいです。小さな「なぜ?」を大事にしてほしいですね。「なぜ?」からはじまる課題なくして発明なし、です。