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研究開発センター

学生の皆様へ

研究者紹介 バックナンバー2015

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“自然現象で発現する微細パターンの位置制御に挑む” 自己組織配列制御技術 笹尾 典克 / スピンデバイス部門 2004年入社 応用化学専攻

研究の内容:高分子の自己組織化を研究

性質が大きく異なる2種類の高分子を化学的に結合させたジブロックコポリマーと呼ばれる材料は、自己組織化という現象により人工的には困難な微細周期パターンを形成することが知られています。しかし自己組織化は自然現象であり、そのままでは意図した位置にパターンを形成させることはできません。私はこの自然現象をデバイスに展開できるよう、パターンの位置制御に取り組んでいます。正確な位置制御が可能になると、この技術の用途は半導体の微細配線応用をはじめ大きく拡がります。 位置制御の具体的な手法は、自己組織パターンの周期と整合するよう緻密に設計されたプレパターンを予め基板上に設け、その中で自己組織配列を行うものです。自己組織パターンはプレパターンを核に配列するため、パターンの位置を人為的に制御することが可能になりました。一方で、これまではジブロックコポリマーを加熱することにより自己組織配列を促していたため、10 nm台の微細なパターンでは熱揺らぎにより配列が乱れるという問題がありました。そこで、私はポリマーに溶媒の蒸気を取り込ませて柔軟な状態にし、分子移動に必要なエネルギー障壁を下げることにより低温での自己組織配列を可能にし、熱揺らぎの影響を極力排した位置精度の高いパターンを得ようとしています。

笹尾 典克の写真

自己組織配列制御技術の図 自己組織パターンの位置制御

会社について:自分を磨き、頼られる存在になる

学生の時は応用化学科に在籍し、高分子化学の研究をしていました。有機物を使った電池がテーマでした。採用の面接では、東芝の人は優秀そうだという印象を受け、ここで自分を磨いていきたいと感じました。求められるものが高いけれど、チャレンジしてみたいと思ったんですね。実際に入社してみると、周りの人の優秀さは想像以上でした。入社直後の集合研修で同期の話している内容や考え方、コミュニケーション能力の高さに驚いたことをいまでも鮮明に覚えています。また、東芝には配属予約という制度があり、入社後にどのような業務に携わるか採用面接で提示されるため、自分が働いている姿が想像でき、東芝への入社の思いをさらに強くしました。
私の専門は高分子や化学なので、この分野では社内やグループ会社でリーダーシップをとりたいという思いで、学会にも積極的に参加しています。東芝は電機メーカーですが、電機とは一見関わりのない学問を専門に持つ人がそれぞれの得意分野を結集しながら仕事に従事しています。研究開発センターでは特にその傾向が強いように思います。多種多様な専門性を持つ人と接しながら仕事を進めるので、ひとつの事象に対してもさまざまなアプローチができるのが面白いですね。

笹尾 典克の写真 笹尾 典克の写真

毎日の生活:時間の流れが違うクリーンルーム

ほぼ毎日、仮説を立てながら実験し、得られた結果を分析しさらに検証を行っています。実験場所であるクリーンルームには勤務時間の約7割は入っています。クリーンルームでの作業中は、あっという間に時間が過ぎ去ります。時間の流れがそこだけ違う気がします。絶えず動いて作業して一ヶ所に留まっていないからかもしれないですね。夜遅くまで実験をすることもあります。設備は他の部門の人ともシェアしていますが、他の研究よりも自分のテーマの方が常に優先という認識ではなく、皆さんが自分以外のテーマも尊重する姿勢で全体最適を図っています。
学生のときボート部に在籍していたので休日は大会を観戦したり、年に一度開催される隅田川でのレガッタ大会の準備に携わったりしています。ボートにかかわっている時間は意識が切り替わるので好きです。研究で困難な状況に追い込まれたときは漕いでいた頃のことをよく思い出しますね。自然とまだまだやれる、と勇気づけられます。

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学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『世の中には、いろいろな仕事があります。考えずに就職してしまうのはもったいないですよ。』

学生の本業である勉学や研究に支障が出ては本末転倒ですが、実際に働いている人に話を聞いたり、この会社で働くとどんな将来像が描けるのかをイメージする機会をもった上で、就職先を決めた方がよいと思います。いろいろな企業や仕事があるのに知らずに決めてしまうのはもったいない。標準的なパスだけでなく違う可能性を想像してみる。視野を広げて、将来の自分を描いてみましょう。