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研究者紹介 バックナンバー2016

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“半導体微細化の限界を打ち破る” ブロックコポリマーリソグラフィ 日恵野 敦 / LSI基盤技術部門 2010年入社 結晶材料工学専攻

研究の内容:高分子のふるまいを配線パターンに

私が取り組んでいるのは、半導体リソグラフィの未来に関わる基礎的な研究です。半導体デバイスをより高集積化・低コスト化するためには、半導体の中の素子や配線をより小さくする必要があります。現在、これらの加工には光リソグラフィが用いられていますが、微細化の限界に近づいていると言われています。そこで新たな技術としてブロックコポリマーリソグラフィという手法を用いて限界を打破しようと考えています。ブロックコポリマーとは、油のような性質(疎水性)の部分と水のような性質(親水性)の部分を持つ長い分子が繋がったものです。たとえば水の中に油を入れると自発的に分離しますよね。そのような現象を用いると、分子レベルの太さであるナノメートル単位の微細なパターンが自発的にできるので、世界的にも注目されています。
ブロックコポリマーに、熱などのエネルギーを与えることで、それぞれの成分同士が集まり、あるパターンが生まれてきます。それが光リソグラフィに代わる半導体の加工に使えるのではないかと考えています。
基板の上にブロックコポリマーを塗布すると、基板が親水性だとブロックコポリマーの親水成分が選択的に集まって層状の構造になってしまいます。そうなると上から見たときにパターンが無くなり、配線として応用できません。そこで疎水成分と親水成分の中間のような性質を持った中性化膜を、あらかじめ基板上に配線の形に作っておきます。しかしそれだけでは、出来上がるパターンはグシャグシャです。規則的に配向させるには、中性化膜を加工したガイドパターンをあらかじめ作っておく必要があります。中性化膜は疎水性と親水性の両方に親和性があるので、ブロックコポリマーの疎水成分と親水成分の両方が、基板表面に集まることで、中性化膜のガイドパターンに従って成長していきます。基板を上から見ると、半導体の加工に必要なパターンが出来上がるのです。

日恵野 敦の写真

ブロックコポリマーリソグラフィの図

会社について:技術の夢を現実の製品にする

入社する前、東芝は生活に役立っているという印象を持っていました。世の中の役に立つものや人を感動させられるものを作りたいという思いで入社しました。大学生活だと修士なり博士なりの期間で論文を出して、研究の区切りがつく場合が多いと思います。一方、会社の研究では論文を出して終わりということはありません。基礎的な研究でも、最終的には製品として利益につなげる必要があると感じています。
中性化膜の生成には48時間かかります。それをより短時間にするための研究開発を行っています。メモリなど、半導体の配線パターンに応用するには製造時間を短縮する必要があるからです。このテーマに取り組んで2年半になります。現実的な製造過程に組み込める技術を生みだし、応用のフェーズに進めたいと考えています。できることなら5年以内に進めたいですね。

日恵野 敦の写真 日恵野 敦の写真

毎日の生活:メンターは気軽に相談できる先輩

実験自体は一人でやっています。仮説を立てて実験をしてデータを採って解析する1サイクルを、1〜2週間でまわします。並行して走らせることもあります。実験で解析不能な結果が出たときは、まず自分で考えます。上司や同僚に、過去にこのような事例はありましたかと訊くこともあります。研究開発センターには入社3年間の育成プログラムがあり、指導者がついてくれます。メンターのようなものです。実際は指導者やメンターというほど堅苦しい関係ではなく、気軽に相談できる先輩です。誰に訊ねるか迷ったときは、指導者に訊けばいいので安心です。
休日は同期入社の仲間とフットサルをやっています。社外のチームと試合もします。ビギナーズクラスですがたまに強いチームも来るようなところで、優勝したこともありました。メンバーはサッカー経験者が多いですね。私自身も、小中とサッカーをやっていて、大学ではフットサルチームを作ってプレイしていました。チームプレイが好きですね。ボールが欲しいところに走り込んでいくと、そこにちゃんとパスが回ってきます。メンバーと意思疎通ができて、パスが繋がっていくと面白いですね。

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学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『何事にも、目標を持って取り組んでください。』

大学での研究は所属している研究室の教授が持っているテーマに取り組むことも多く、目的意識が薄くなってしまうかもしれません。研究でも趣味でもいいのですが、何となくではなく「こうなったらいいな」という目指す姿があるといいと思います。それが、自分自身がつづけていく原動力になります。