Japan

研究開発センター

学生の皆様へ

研究者紹介 バックナンバー2016

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“画像処理技術で医療の現場をサポート” 医用画像処理 新田 修平 / マルチメディア部門 2008年入社 情報工学専攻

研究の内容:MRI撮像の作業を効率化する

医療現場での検査のために、強力な磁場を用いて身体の中を撮るMRIという装置が普及していますが、人の目では見えない部位を所望の位置や角度で撮るのは難しいものです。その撮像作業を、画像処理で手助けする研究をしています。これまでは、心臓の場合でだいたい6回くらい撮像を繰り返しながら、医師が見る6つの基準断面を撮像する位置と角度を決めていました。心臓がどこにあるか、どういう角度で収まっているかは個人差があるので、撮像する前に心臓の位置を確認する必要があったのです。この作業は熟練した臨床検査技師でも非常に難しく、また、撮像のたびに息を止めてもらう必要があるので患者さんの大きな負担になっていました。そこで我々は、心臓の基準断面をうまく撮像できる位置と角度を、自動で見つける方式を開発することにしました。
開発した方式では、粗い3次元の画像を仮に1回だけ撮像し、そこから心臓の位置と角度を検出します。この検出の原理はデジタルカメラなどに搭載されている顔検出機能と同じです。一般的な顔検出技術では、たくさんの顔の写真と顔じゃない写真を集めてきて、顔と顔じゃない写真を分ける基準を、自動的に割り出しています。心臓の検出でも同じように、事前に撮ったたくさんの3次元撮像データから、弁や尖っている場所を特徴点として検出し、その特徴点とそれ以外の場所の画像パターンを集めて、両者を区別する基準を自動的に割り出しておきます。検査時にも3次元撮像データを撮像し、割り出した基準を使い特徴点を検出することで、基準断面を撮像できる位置と角度を自動で検出する仕組みです。基準を割り出すためにたくさんの画像が必要でしたから、共同研究している東芝メディカルシステムズ(株)の装置で、自分たちの心臓をたくさん撮像することから始めました。

新田 修平の写真

心臓を撮像する基準断面検出の流れの図

会社について:研究の成果を装置に実装

医師とセットでないと研究できないことなので、臨床的な視点と技術的な視点をそれぞれ活かしてディスカッションします。技術的な事柄に興味を持っていらっしゃる医師と仕事をしているので、良好な関係が築けています。一緒に学会に参加し、技術的な発表と臨床的な発表を同時に行うこともあります。
研究者なのに、自分の作ったプログラムを装置の中に入れて動かしたり、実際に病院で稼働する現場に立ちあえる機会が多いのが、面白いと感じます。現場に立ち会う時は、医療関係者以外の人間がいることで患者さんが不安に思わないように白衣を着ます。プログラムが上手く動かなければ検査時間が延びてしまうので、最初は緊張しましたね。ボタンを押してドキドキで待っていて、2秒ほどで結果が出ますが、凄く長いと感じるものです。まず日本人のボランティアで評価して、次に日本の協力病院に持ち込んで評価しました。また、製品は世界で使われますので、日本人以外の人種でも問題ないかを試すべく、アメリカの協力病院まで出張させてもらいました。日本では想像できないような体格の人がいるので、いろいろ工夫しましたね。さまざまな国の心臓データを集約して、2012年の3月に、全自動で心臓MRI撮像をアシストする機能としては世界で初めて製品化されました。

新田 修平の写真 新田 修平の写真

毎日の生活:技術の現場と臨床の現場を往復

同じ部門のメンバの研究内容は把握しています。応用先は違うし環境も違いますが、根本の技術は共通です。部門内の定例の報告会で、この画像に対してこういう技術を適用しているという情報共有をします。技術的な相談や議論をして、おたがいにいいものを作ろうとしています。
白衣を持っていくような研究テーマは私だけですね。私の研究は、検査中に手助けをするシステムなので現場での立ち会いが必須です。でも、他の大半の研究は、検査で撮った画像を後でどう処理するかにかかわっているので、あまり現場に立ち会うことは少ないようです。そういう意味で一番「当たり」のテーマだと思っています。やりがいがありますね。病院は月に2回ぐらい行きますし、海外発表も年に3回くらいのペースでやっています。英語のやり取りは大変ですね。実際に会ってしまえばいきおいで何とかなりますが、電話でのやり取りには苦労しています。職場の英会話サークルで、週に1回、ネイティブの先生を呼んで教えてもらっています。英会話も鍛えられますが、他の部門の人たちと交流できるのが嬉しいですね。

新田 修平の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『ここは、思っているほど堅苦しくて難しい所ではないですよ!』

研究所というと勉強ができて、英語も堪能なスマートな人たちを想像する人が多いかもしれません。私はまったくそんな感じではありませんが、周りの研究メンバや事業部、病院の方々に支えられながら、気合と根性で乗り切って仕事をしています。絵に描いたように優秀じゃなくても、活動的で好奇心が旺盛な人なら大歓迎ですし、コミュニケーション能力を磨けば、やりたい仕事ができると思いますよ。