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研究開発センター

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研究者紹介

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“ゲノムを用い、病気の兆候を知る” レポーターDNA技術 野ア 絵美 
フロンティアリサーチ部門 2013年入社 ライフサイエンス専攻

光る細胞で、がんの診断を容易に

人工的に作ったDNAを用いて細胞を光らせるレポーターDNA技術の開発をしています。いま対象としているのはがん細胞です。普通の細胞ががん細胞に変わるとき、ゲノム(遺伝子)の性質が変わります。レポーターDNAはその情報を捉え、細胞を光らせます。この細胞が光る様子を観察すれば、どの細胞ががん化しているかを判断できるようになります。私たちは、お医者さんが病名や治療方針を決める確定診断の場面で、このレポーターDNAを使っていただくことを想定しています。将来、医療機関に提供することになる技術です。現在の確定診断では、普通の細胞とがん細胞で作られるタンパク質の違いを利用して、そのタンパク質を色素で染めて診断しています。色素で染める技師さんの技術や、色素に染まっているのかどうかを判別するお医者さんの経験や熟練度に、診断が左右されます。細胞が光る様子は誰が見てもわかりやすいので、染色法と併せて使っていただければ、お医者さんが判断に迷ったときにも参考にしてもらえると思います。

野ア 絵美の写真

レポーターDNA技術の図

実験室で、細胞と向き合う

出社した時とお昼休みの前後と実験が終わった後の夜の時間以外は、ほぼ実験室にいます。結果の解析は居室でやりますが、実験の合間に居室に戻る余裕はありません。夜にまとめてやっています。細胞は生きているので、日々、世話をしないと死んでしまいます。栄養を与え、環境をきれいにしてあげることも必要です。研究は、ゲノムの変質・変化を探り、がんになるメカニズムを明らかにすることと、レポーターDNAを試薬、あるいは他のデバイスという形で開発することの2本立てで進めています。患者さんにご提供いただいたがん細胞を使い、実験に取り組み始めたところです。研究の材料としてがん細胞をいただくのはとてもありがたいことですけれど、それはすなわち、その患者さんはすでにがんになっていらっしゃるということです。できるだけ早くレポーターDNAを世に出したい、5年以内に研究を完成させたい、と思いつつ、研究を進めています。

野ア 絵美の写真

憧れの先輩を追って入社

生物学を専攻していたので、当初メーカーに就職することはまったく考えていませんでした。たまたま大学の研究発表の場にリクルーターの方が来てくださり、話す機会がありました。全然分野の違う方でしたが、仕事のことを話している姿を見て、会社に入って研究者として働くと、こういう素敵な方になれるのか、と思ったのが研究開発センターを志望したきっかけです。私は研究の方向性がある程度定まったチームに後から入ったので、もし可能なら、次は新しいことを始めるフェーズを経験したいです。それから、私たちの研究環境は、すごく沢山の方々に支えられていると感じているので、自分がもっと歳を重ねたときには、若手の研究者を支える側に回ることにも興味があります。自分が憧れの先輩を見て会社に入り、楽しく仕事ができているので、今度は自分がその立場になり、憧れて入りましたと言ってくれる後輩が将来出てきてくれたら素敵だなと思います。

野ア 絵美の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『何のために頑張るのか、しっかり考えましょう。』

会社に入った直後の1、2年、私は頑張ることに夢中になり過ぎてしまいました。「自分はこんなに頑張っている」と思いながら毎日を過ごし、充分な成果もないまま仕事をした気になっていたのです。何のために頑張るのか、頑張った先に何があるのかをきちんと考えて、努力を積み重ねないといけないと思います。企業で研究に当たるなら、その先にある成果を意識することが大事です。