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研究開発センター

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研究者紹介

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“電気自動車をプラグレス充電に” 無線電力伝送技術 司城(しじょう) 徹 ワイヤレスシステム部門 2007年入社 電気電子工学専攻

高い伝達効率のコイルを作る

無線で電力を送る研究をしています。原理的には電磁誘導に近い技術で、2つのコイルの間の相互結合を利用して電力を送ることがテーマです。具体的には、プラグを使わずに電気自動車を充電することを目指しています。既にシェーバーなどで使われている方式よりも、相互結合が弱い方式です。
無線電力伝送では、コイルに周波数100kHz程度の交流電流を通し、コイル周辺の磁界を変化させます。コイルを貫く磁束も変化しますが、2つのコイルの結合をいかに大きくするか、損失をどれだけ減らすかが課題です。私はそのコイルの設計を担当しています。この研究を始めるまでは77GHzなど高い周波数を扱っていたので、100kHzの低い周波数では制御がしづらいと感じています。熱をどのように逃がすかという熱問題、大電力を安全に扱うためにどのように絶縁するかという製造の問題、それから生産性など、専門外の内容も含まれますが、工夫のしがいがあって面白い研究テーマです。

司城 徹の写真

高い伝達効率のコイルの図

モノづくりの醍醐味が味わえる場所

東芝を志望した理由のひとつは、出身大学の研究室の先輩が二人在籍していたことです。現在は後輩も入社し、4兄弟になりました。また、学生時代は理論研究だけだったので、就職したら理論を実際のモノづくりに応用してみたいと考えていました。そんな時に東芝のインターンシップに参加して、東芝にはモノを作っている充実感があると思いました。研究に対する姿勢は大学に似たところがあり、居心地や雰囲気も良いですよ。それに加えて、子育てがしやすい環境であることも強調したいです。毎朝子供を保育園に行ってから出社していますが、融通の利く勤務形態なので、子供が熱を出した時など、助かっています。
今は無線電力伝送技術のすべてが新しく、とても楽しいです。子供が小学校に入るまでに、ここを走っている電気自動車の充電システムは自分が研究したものだと言えたら最高ですね。

司城 徹の写真

自分で設計したコイルの銅線を巻く

自分で設計したコイルは、自分で銅線を巻いています。実験室でぐるぐる巻いて、特性が設計通りに出ているか確かめます。結果が少しでもズレていれば、もう一回巻き直します。居室と実験室で過ごす時間の割合は1:1ですね。測定した結果をいろいろな人にフィードバックして意見を聞いて、コイル設計に取り込んだり、特性が設計通りにならない原因を探していきます。充電システムの全体設計をしている部門を始め、樹脂、絶縁、筐体設計を専門とする様々な部門と連携して研究を進めています。
近年ふたたび脚光を浴びていますが、無線電力伝送技術が要素技術として研究されていたのは随分前の時代です。コイルのコア材にするフェライトで困って調べたら、1960年代の手書きの論文が出てきたこともあります。かつて変圧器の研究をしていた人にアドバイスをもらってコイル作りに試してみたら、上手くいったこともありました。社内の専門家とディスカッションをすると、モノづくりの知識が豊富で、大学時代の研究とは離れた専門外の世界がとても新鮮です。大学で習ったけれど使わないと思い込んでいた定数が実はとても重要で、昔の教科書を取り出して勉強することもあります。今後はコストについても精度を上げていきたいです。

司城 徹の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『本質的な判断をするためには、基礎が大切だと思います。』

今はシミュレーション全盛で、パラメータを入れれば結果が出てきますが、その結果を評価し、判断をするのは自分です。シミュレータは、結構ウソをつきます。たまに自分も振り回されることがありますが、シミュレータは解くべき物理現象を無視したり、問題の本質から逸れていることもあります。つまり、あらかじめシミュレーションの結果を予想して、評価をしないと危険なのです。その予想は、基礎が無ければできません。だから、基礎がとても重要だと思います。