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“HDDの高密度化を極める” 磁気再生ヘッド技術 白鳥(しろとり) 聡志 バックエンドデバイス技術部門 2003年入社 応用物理学専攻

研究の内容:磁気再生ヘッドの分解能を向上させる

HDD(ハードディスクドライブ)に磁化パターンとして記録された微細なデータビット、これを読み出す再生ヘッドの研究を行っています。現在はTMR(トンネル磁気抵抗)素子を用いた再生ヘッドが主に用いられていますが、TMR素子は二つの磁性層を積み重ねた構造をしているため素子の総膜厚が厚く、空間分解能の向上は限界に近づいています。そこで、更なる分解能の向上を目指して、従来は縦に積み重ねていた二つの磁性層を横に並べ、それらを非磁性層で結合して総膜厚を減らした平面型構造に着目しました。この構造では、一方の磁性層(磁化固定層)に電流を流すと、その磁化と同じ向きに偏極されたスピンが非磁性層を介して拡散し、もう一方の磁性層(磁界検出層)の直下に蓄積されます。磁界検出層の磁化の向きが記録磁化パターンによって変化すると、それに応じた出力が得られる仕組みです。これをスピン蓄積素子と呼んでいます。
このスピン流を利用した磁界検出技術は、磁界検出部に電流が流れないので、分解能向上の他にノイズ低減の効果も期待されます。一方で、磁化固定層と磁界検出層の間隔が広いため、従来のTMR素子と比較して出力が低く、その向上が課題となっています。スピン流が伝搬する長さには材料固有の特性があり、その効率を上げることは容易ではありません。そこで私は新たな磁性材料を用い、構造を最適化することで出力を向上させようとしています。このスピン蓄積素子を用いれば、新しい構造の再生ヘッドが実現できます。

白鳥 聡志の写真

HDD装置内部と磁気再生ヘッド
(スピン蓄積線センサー素子)の図

会社について:決められた時間内にやりとげる高密度の研究姿勢

大学での専攻は工学部の応用物理学科で、半導体の研究をしていました。素子作製と評価をしていましたので、規模は小さいものの簡易クリーンルームにも入っていました。東芝への入社は、大学の先輩から研究内容を紹介してもらって感銘を受けたことがきっかけです。研究対象は半導体から磁性体に変わりましたが、得られた結果に対する解釈や考え方など、基本的な取り組みは大学で学んだ事が役に立ったと感じています。東芝はジョブマッチング制度を採用していますので、入社後の業務はイメージ通りでした。とはいえ、企業は大学とは違います。大学時代は好きな時間に研究を行っていましたが、会社は就業時間の管理がある中で成果を求められるので、毎日の密度は濃いです。その分、速いペースで研究成果を出すことができるようになりました。きっと自分が成長できたのだと思います。他にも、私が主に作業しているクリーンルームは色々な部門が使っているので、他部門の方との情報交換もよく行っています。装置を借りることもありますし、良い刺激を受けることが多いですね。

白鳥 聡志の写真

毎日の生活:ほぼ毎日クリーンルームで

研究の状況にもよりますが、一週間、毎日ずっとクリーンルームに入っていることもあります。クリーンルームに入らない時は、別の実験室で試作品の評価や解析、デスクワークを行っています。再生ヘッドを模擬したテストチップを作製する際は、素子や電極の加工、工程ごとの観察など、数多くの手順を踏みます。何度も条件を変えて、再現良く加工できるように条件を決定したりしていますので、テストチップを一つ完成させるために数週間かかることもあります。技術的なブレイクスルーを求めて別の専門分野の研究会に参加して、有用な情報を探してもいます。面白くもあり苦しくもありますが、とても遣り甲斐を感じています。

白鳥 聡志の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『自分を信じて一歩踏み出してみると、全然ちがう世界が見えてくる。』

どんな仕事をするにしても、情熱が持てるということは大切だと思います。そのためには、自分が正しいと思ったことを信じて行動することが大切です。納得せずに言われたことだけをやっていると、そのこと対する責任感や情熱が無くなってしまいます。新しいことをする時に不安はつきものですが、自分を信じて何か一歩踏み出してみて初めて、周りの状況や自分の間違っていたところとか、違う世界が見えてくると思います。