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研究開発センター

学生の皆様へ

研究者紹介

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“目的に応じた“最適な形”を生み出す” 次世代メカトロニクス技術 田中 淳也 機械・システム部門 2008年入社 機械宇宙システム専攻

新しいソリューションを生み出す機構

たとえばモノをつかみたいとき、そのモノに物理的な作用を及ぼす機構が必要です。私は、ある目的を達成するために最も適した物理的な作用を及ぼす機構の研究をしています。研究の前提として応用先や具体的な作業目的が定まっていることが理想ですが、そうでない場合は課題の抽出や制約条件の明確化から取り組みます。たとえば事業部門が今困っていることについて、現場観察や議論を通してそもそもメカトロニクスで解決すべき課題なのかという検証から始めます。人の運用でうまく解決できる課題であるならば、新しい機構は必要ありません。メカトロニクスで解決すべき課題があれば、最適な機構作りのお手伝いをします。つまりワークフロー全体を捉える視点で課題の解決に取り組んでいます。
一例として、やわらかい袋など、つぶれやすいモノにも対応可能な把持機構の研究開発も進めています。現在の把持機構は固いモノを持つものが主流ですが、これから人材不足が懸念される物流分野や工場の製造現場で、やわらかいモノも持つことができれば、自動化作業の範囲がどんどん広がるかもしれません。普通の把持機構でやわらかいモノをつかもうとすると、把持力によりつぶれてしまいます。それでは、やわらかいモノの下に把持機構の爪がうまい具合に伸びてきて、やわらかいモノを下支えしながら持つようにしてみてはどうでしょうか。様々なアイデアを試作で検証し、方向性を確かめながら、研究を進めています。

田中 淳也の写真

把持機構の把持動作模式図

仮説ではなく、リアルな問題に取り組む

学生の頃はロボットの移動機構の研究に取り組んでいました。今までにないモノが現実世界に生み出され、試行錯誤の末に徐々に最適な形になる過程に魅力を感じます。やはり動くモノは面白いですよね。その一方で、ロボット工学はメカトロニクス技術の集合体であり、メカトロニクス関連のさまざまな課題の解決を担う役割もあるため、産業界で実際にどのような課題があるのか知りたいと考えました。大学では、現場の課題や要望の全容を手に入れることは容易ではありません。どのようなリアルな課題があり、どのように対処しているのかを実感したくて企業に就職しました。仮説ではなく、現実の課題に役立つモノの創出に挑戦したいです。できたモノ、役立ったことが産業に与えるインパクトは、ビジネスに直結しているため、大学よりも企業の方が大きいと思います。
自動車メーカーなども就職先として考えましたが、アカデミックな分野でもきちんと活動している会社として東芝の存在を感じていました。さらに、東芝は事業領域が広いので、さまざまな分野でメカトロニクス技術活用の可能性があり、面白い仕事ができそうだと思い入社しました。

田中 淳也の写真

課題をクリアし、新しい形にたどり着く

設計のアイデアなど、思いついたことはラフ画のようなものをメモしておくことが多いですね。通勤電車の中でアイデアが浮かび、朝一番にデスクで書きとめたこともあります。最初の段階では、何も生み出せないかもしれない、という不安もありますが、考え続けるしかありません。まず解決したい課題を箇条書きにして、次に動作の手順を並べてみます。人を模倣している動作は、人の動作に置換します。同じ動作はまとめて、一連の動作をいくつかの動作に集約していきます。機構のアイデアを検証するのに、まずは針金などの身近な部品で作ってしまう場合もあります。実際にモノにして確認してから、じっくりと図面検討を行います。
CADでの強度計算やモータ制御方法など、他の研究者や関連部門とディスカッションしながら検討を進められるのも東芝の強みです。たとえば加工のスペシャリストから最新の加工法についてアドバイスももらえます。いいものが仕上がりますよ。ただ、実際に機構を組んでみると、思い通りに動かない場合もあります。課題を洗い出し、改良すると、新しい別の形ができあがる。最終的に、当初は考えもしなかった形になることがあるのも面白いですね。

田中 淳也の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『何よりも“自分でやりたい仕事”を追求することが重要だと思います。』

やりたい仕事は人それぞれだとは思いますが、あきらめないこと。それは絶対に世の中にあると思います。世の中にまだ一般的に存在しない仕事内容ならば、自分で創り出すという気概が必要だと思います。研究開発センターは、それが比較的やりやすいところです。"自分でやりたい仕事"を持った後輩が入ってきてくれたらうれしいですね。