東芝のビジネス

社会インフラ事業
東芝の上下水道ソリューションについて Vol.2

都市の脅威であるゲリラ豪雨にハード更新ではなく制御ソフト導入で対応。
PROFILE
石井 孝典 インフラシステムソリューション社
水・環境システム事業部 水・環境システム技術部 水・環境システム技術第五担当 主務

2003年入社
学生時代は主に制御について学ぶ。制御技術で社会に貢献したいと考え、インフラビジネスを行う東芝への入社を志望。※組織名称は取材当時のものです

プロジェクトリーダーとして、開発案件を牽引

社会インフラ事業は、インフラを支えるさまざまなソリューションを社会に提供しており、その中でもわたしは、下水道ソリューションに携わっています。下水道は、汚水処理、雨水の河川放流や貯留による都市の浸水対策としての雨水排水処理などの役割を担っています。わたしは、水・環境システム事業部の技術部門の一員として、主に下水道施設におけるプラント電気設備のシステムエンジニアリングを担当。技術部門は、お客さまである自治体のご要望を理解した上で、東芝が持つ総合技術力でお客様のご要望に応えるためのシステムを立案し、営業部門や設計・製作部門、工事部門と連携して工期内にシステムを完成させることを主なミッションとしています。また、新製品の研究開発にも携わり、プロジェクトリーダーの立場で研究開発を推進。近年、都市部で頻発する局所的集中豪雨(ゲリラ豪雨)に対する浸水対策のニーズに応えるため、開発プロジェクトにおいて、雨水ポンプダイナミック制御という制御技術を開発しました。この案件では、研究開発から製造までを短期間で行う必要があったため、プロジェクト全体がスムーズに進むよう社内各部門との調整をはかり、全体的な取り纏め役を担いました。雨水ポンプダイナミック制御は、ゲリラ豪雨から街を救うための重要な技術です。学生時代から制御の技術を使って社会インフラを支える仕事に携わりたいと思っていたわたしにとって、このプロジェクトは本当にやりがいを感じる仕事となりました。

ゲリラ豪雨へのチャレンジ、雨水ポンプダイナミック制御

近年急増しているゲリラ豪雨。地下鉄や地下街などを抱える大都市にとって、このゲリラ豪雨による浸水は深刻な問題となっています。下水道には、下水道管を通して雨水が流入しますが、ゲリラ豪雨による降雨が下水道施設にいつ、どのくらいの量が流入するかを事前に把握することは困難です。そのため、自治体は、ゲリラ豪雨に対する施設の運転管理にとても苦労されています。これを解決するために、施設のハードウェア更新を最小限に抑え、ソフトウェアの組込で対応しようという計画が、雨水ポンプダイナミック制御の開発プロジェクトです。具体的には、従来のシステムでは、雨水を排水する役割を担う雨水ポンプの起動や停止を、あらかじめ決められた水位に達したかどうかで判断して行なっていたのに対し、雨水流入量をリアルタイムに演算し、判断水位を自動で制御することができるようにしました。雨水ポンプの起動や停止のタイミングを、施設内の水位計だけで無く、街の配管内の流量や雨量レーダーからのデータも加味しながら、動的に制御します。実際には全国にはさまざまな雨水ポンプ場があり、規模もさまざまですが、ポンプ場ごとの違いはソフトウェアのパラメータの設定で対応できるようにしています。言葉でいうと簡単ですが、降雨量やポンプ場の規模、排水経路など、地域ごとの違いが大きいため、仕様を決めるまでにとても苦労しました。しかし、ゲリラ豪雨という都市に対する脅威に対して、制御技術で対応するという試みにチャレンジできたことは、わたし自身、技術者としてもプラスになりましたし、東芝の水・環境ビジネスにとっても画期的な出来事になったと思っています。

めまぐるしく変化する社会のニーズにどう応えていくか

下水道施設を中心に12年間、技術のとりまとめを主に担当してきました。個別の案件に全力を尽くしつつも、最近は、上下水道ビジネスの将来についても考えるようになりました。気候変動も著しく、また、日本全国で人口が減少に転じようとしている中で、上下水道ビジネスを取り巻く環境も大きく変化していくと思います。そうした中で、長年上下水道インフラを支えてきた東芝として、どう対処して行くかが求められると思っています。幸い、わたしたち東芝は監視制御などの製品やノウハウを豊富に保有しています。こうした技術を活用すれば、わたしたちの視野には入っていない潜在的な市場を開拓することが可能になるかもしれません。めまぐるしく変化する社会のニーズに的確に応えながら、人々の安全で豊かな暮らしに貢献していきたいと思っています。上下水道インフラを支える仕事は、決して目立つ仕事では無いかもしれませんが、わたしたちの生活にとって無くてはならない部分を支えているという誇りを持って、取り組んでいきたいと思います。