東芝のビジネス

エネルギー事業 TJB発電所建設プロジェクト : インドネシアの電力危機を救う巨大プロジェクト Vol.1

※このコンテンツは2013年取材時の情報に基づいて制作しています。

電力需要の逼迫するインドネシアにおいて、電力不足解消の重要なポジションを担うタンジュン・ジャティB石炭火力発電所拡張建設プロジェクト。このプロジェクトで東芝が担った役割とは—。

経済成長著しいインドネシア、電力需要も逼迫

2億4000万人以上、世界第4位の人口を擁するインドネシアでは、その人口の70%以上が、首都ジャカルタがあるジャワ島に集中している。石油、ガスといったエネルギー資源、動植物性油脂、天然ゴムといった天然資源を豊富に抱え、近年、急激な経済成長を遂げるインドネシアは、電力需要も年7%以上のペースで増えており、特に電力需要の80%を占めるジャワ島では、電力の供給は常に逼迫している状況にある。東芝が参画したタンジュン・ジャティB石炭火力発電所は、そのジャワ島の電力不足を解消する目的で建設された。同発電所では、現在、1ユニットあたり660MWというインドネシアでは最大級の出力を持つ発電機が4ユニット稼働しており、1、2号機建設を行った第一期工事では、東芝は蒸気タービンと発電機及び付帯設備の製造、据付ならびにこれらを納めたタービン建屋の建設を手がけた。今回取り上げるのは、タンジュン・ジャティB発電所の第二期工事、3号機、4号機の建設プロジェクト。20世紀末から、常に綱渡りの状態が続くインドネシアの電力需給の危機を救う、最重要、緊急プロジェクトであった。

1927年に初号機を出荷して以来、東芝は数多くの火力発電用タービン・発電機を開発・製造してきた。その累計は1800台を超え、電力需要の拡大に対応するために大型・高効率タービン・発電機の開発を行ってきた。たとえば、蒸気タービンにおいては、高温・高圧化についての基礎研究、材料開発、設計改良に務め、1989年には、セ氏566度、31.1MPaという超高温・高圧タービンの開発に成功、24.2MPaの蒸気圧力で作動する超臨界圧タービンを上回る超々臨界圧タービンを世界ではじめて世に送り出している。こうした技術は海外でも高く評価され、今日では世界のほぼ全域にわたって、高性能蒸気タービンを供給している。とくに北米では、2003年から2011年まで9年連続で、蒸気タービン・発電機の受注容量トップシェアを占めている。同時に中国では、発電機器を輸出するだけでなく、技術提携により技術力の向上を支援し、インドでは高性能蒸気タービンを提供するために製造・販売拠点を設立するなどグローバル展開をさらに大きく加速している。

世界各国に発電用タービン・発電機を供給している東芝

海外では米国の102ユニット・3万MWをはじめとし、世界中に1900ユニット・17万MW以上の供給を行っている。

発電のコアとなる機器だけでなく、付帯設備も一式で提供

タンジュン・ジャティB石炭火力発電所外観 写真左上:蒸気タービンと発電機 写真左下:発電所中央制御室

設備設計・調達・建設を統合して実行

近年、東芝は蒸気タービン・発電機などの発電設備だけでなく、復水器、給水加熱器、主要ポンプなどの付帯設備及びタービン建屋の建設を一式で請け負うケースが増えている。こうした、複数の設備をインテグレートして納入するEPC(設計:Engineering、調達:Procurement、建設:Constructionの3つのフェーズ)という契約スタイルは、全体最適がはかられており、同時に、発注者はベンダーの一本化がはかれ、管理コストの低減を享受できる。もちろん、EPC契約者が幅広い領域をカバーする技術やリソースを保有するだけでなく、高次の管理能力を備えていることが必須となるが、東芝は火力発電プラントのみならず、これまでさまざまな領域でプラント建設を請け負ってきた実績を持っている。今回のタンジュン・ジャティB発電所の第二期工事では、東芝は、3号機、4号機の2ユニットについて、タービン発電機に加え、プラント制御システム、変電設備、海水淡水化設備、純水製造設備、排水処理設備、さらには発電所全般にわたる消火設備、空調設備などの機器供給、試運転を担当。従来の案件と比べても、責任範囲が大きいEPC契約を東芝がまかされることになった。このEPC契約を支えたのが海外営業第一部の杉崎健、火力プロジェクト部の河本圭司をはじめとする東芝グループ約1,000名を超える大部隊だった。

(Vol.2につづく)

多岐に渡る設備納入ができたのは、幅広い事業領域と高い技術を持つ東芝だからこそ。そしてこのプロジェクトを終始牽引した河本、杉崎の両名。