弾性流体潤滑

 すべり軸受やHDDのヘッドとディスクの間を潤滑する場合, 流体力学の原理で油や空気の潤滑膜を形成し, 二面が接触しないようにする。弾性流体潤滑とは, 潤滑膜に発生する圧力で固体表面が弾性変形する場合をいう。
 この状態は,一般に使用されるボールベアリングや歯車の潤滑面に現れ, トライボロジーの分野では重要な現象である。 ボールベアリングの玉が剛体だったら, わずかな荷重でも接触面圧は固体材料の限界強度を越えてしまう。 実際の運転時には,玉が弾性変形することにより,図に示すように, 潤滑膜の領域が広がり,接触面圧は緩和される。 このため,ボールベアリングは高い荷重を受けることができる。
 エアコン用ツインロータリコンプレッサの軸受では,軸受端部に溝加工を施し, 薄肉構造とすることによって弾性変形を可能にしている。 回転軸が傾いても軸受面が適度に変形することによって,潤滑膜が形成しやすくなり, 良好な潤滑が維持できるようにくふうしている。
 このように,弾性流体潤滑は,高機能, 高信頼性の機械システムを設計するうえでキーとなるトライボロジー技術の一つといえる。

運転時のボールベアリングの玉と内外輪の面との間の弾性流体潤滑状態
 玉が弾性変形し内外輪の面との間に潤滑膜が広がる。

エアコン用ツインロータリコンプレッサの軸受
 軸受端部に溝加工することで回転軸が傾いても良好な潤滑を維持できる。


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