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VOL.72 NO.4(2017年9月)
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特集1:デジタルトランスフォーメーションを加速する東芝IoTアーキテクチャーSPINEX™

巻頭言 あらゆるモノがネットワークでつながる新しい社会基盤の実現に向けて (p.1) 本文PDF(129KB/PDFデータ)
山口 晶嗣

 
トレンド インダストリアル IoTの動向と東芝グループの取り組み (p.2-6) 本文PDF(482KB/PDFデータ)
中村 公弘

世界の産業はデジタル化によって産業構造自体が大きく変化する“第4次産業革命”の時代に入ったと言われている。成長領域や経済価値は,従来のようなモノが持つ機能価値だけでなく,モノの使用を通じて得られる顧客にとっての使用価値や経験価値などにシフトしつつあり,特に,製造業は大きなインパクトを受けることになる。このような新しい時代に向け,一層の競争力を発揮するには,IoT(Internet of Things)や,ビッグデータ,AIなどのデジタルテクノロジーを有効活用して顧客価値を高める,新たなビジネスモデルへのシフトがますます重要になる。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,このデジタル時代のニーズに応えていくために,最新のデジタルテクノロジーとともに,東芝グループがものづくりや,エネルギー,社会インフラなどの幅広い現場で培ってきた経験やノウハウを結集させた,東芝IoTアーキテクチャーSPINEX™を開発した。

 
デジタルトランスフォーメーションを支えるSPINEX™ (p.7-11) 本文PDF(447KB/PDFデータ)
野村 茂生・岸原 正樹・深澤 滋

世界の産業はICT(情報通信技術)を活用したデジタル化によって,産業構造の変革を求められている。このような時代を乗り越えていくためには,IoT(Internet of Things)や,ビッグデータ,AIなどの先端デジタル技術をうまく使った新たなビジネスモデルへのシフトが重要となる。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,最新の技術と,東芝グループがこれまでエネルギーをはじめとする社会インフラや製造などの非常に幅広い事業領域の現場で培ってきた経験やノウハウを結集させて,東芝IoTアーキテクチャーSPINEX™を開発した。このSPINEX™により,顧客は多種多様な機器や製品を自在につないで業務効率を最大化し,その結果として企業経営を最適化させるデジタルトランスフォーメーション(注1)の実現を加速できる。

(注1)企業と顧客が関わるビジネスモデルや,ビジネスプロセス,サービス,製品など全てを取り巻く環境が,デジタル化によって変革するという概念。

 
インダストリアルIoTに向けたセキュリティー技術 (p.12-17) 本文PDF(448KB/PDFデータ)
大矢 章晴・中溝 孝則・松下 達之

製造業を中心に,IIoT(インダストリアルIoT(Internet of Things))が注目されている。一方で,IoT機器や制御システムが情報システムとつながることによって,サイバー攻撃の攻撃箇所が増加するリスクが高まっている。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,IIoTに向けたセキュリティー対策として,IIoTシステムを構成する制御システムや機器をセキュア化するために,セキュリティー認証取得支援技術を開発している。更に,セキュリティーの国際標準規格に基づき,対象とする制御システム・機器の特性を考慮して効率的に脅威分析を行うツール SecuScopeを開発している。これらを用いることで,対象の制御システム・機器の認証取得作業を軽減するとともに,IIoTにおけるセキュリティー品質を確保できる。

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画像認識精度を向上させるディープラーニング技術を用いた学習用画像の自動生成 (p18-21) 本文PDF(329KB/PDFデータ)
伊藤 秀将・入本 勇宇次・樫本 晋一

少子高齢化に伴い労働人口の減少が進む中,点検や検査などを実施する際に習熟した保守作業員(エキスパート)による正常か異常かの判断を,AIを活用した画像認識技術でアシストあるいは自動化したいというニーズが高まっている。画像認識では,現場で収集した大量の実画像を用いて学習し画像認識精度を向上させる必要があるが,作業内容や業種によっては十分な数の実画像を収集することが難しい場合がある。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,ディープラーニング(深層学習)技術の一つである敵対的生成ネットワーク(GANs)によって学習用画像を自動生成する,独自の技術を開発した。送電線の巡視・点検を想定した画像を用いて検証を行った結果,実画像の数が不十分な場合でも,自動生成した画像を含めて学習することで,画像認識精度を高められることを確認した。

 
ものづくりの現場で文字情報の活用を支援する情景文字認識技術 (p.22-25) 本文PDF(414KB/PDFデータ)
古畑 彰夫・小野 聡一郎・馮 思萌

ものづくりの現場では,データ分析での活用や品質基準への対応などの目的から,材料の使用履歴を蓄積管理していくことが求められている。このような管理すべき情報はバーコードなどを用いて入力されることが多いが,ロット番号のように文字でしか記載がない情報も中には存在し,これらの取得が課題になっている。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,東芝グループが長年培ってきた文字認識技術を応用した情景文字認識技術により,このような情報取得の支援を行っている。製造現場の状況は多様であるため,ユースケースに応じてメリット・デメリットを考慮して,既存のモジュールの利用やパラメーターの適正化によりカスタマイズを行うことで課題を解決し,実用水準を達成した。

 
人の動きから意図や状況を理解する人流分析技術 (p.26-29) 本文PDF(444KB/PDFデータ)
松本 信幸・生澤 拓也・采 泰臣

IoT(Internet of Things)を活用し,センサーから収集したデータを現場の状況理解に活用する取り組みが活発になっている。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,データ内の人やその動きに着目し,状況を理解するための人流分析技術を開発している。その一環として,施設の混雑状況を理解する技術や,カメラ映像を配信する際にプライバシーリスクを低減する技術を開発した。更に,不審人物や非常事態の検知へのニーズの高まりに応えて,人の動きの中から特徴的な行動を検知する技術も開発した。ここでは,ルールベース及び機械学習ベースのアプローチをユースケースに応じて使い分ける。前者の技術はフィールドでの実証実験で,後者の技術はエキストラによる再現映像を使った精度検証で,それぞれ実現性を確認した。

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密集領域での動作を理解するためのハイブリッド型映像解析 (p.30-34) 本文PDF(446KB/PDFデータ)
大内 一成・小林 大祐・中洲 俊信・青木 義満

近年,スポーツ界ではICT(情報通信技術)を活用したトレーニングや戦術分析の導入が進んでおり,画像認識を用いた戦略分析の試みも行われている。しかし,1チームが15人のラグビーのように,試合に出場する選手の数が多く,接触・密集プレーが頻繁に発生するようなスポーツでは,画像による分析は技術的なハードルが高く,これまで積極的に取り組まれてこなかった。
そこで,東芝は,強化スポーツの一つであるラグビーをターゲットとして,一つのカメラ映像から,特徴量設計方式によるボールの検出・追跡と,ディープラーニング(深層学習)方式による選手の検出・追跡を行うハイブリッド型映像解析システムを開発した。これにより,密集領域での選手の検出性能が大幅に向上し,ボールや選手の移動軌跡を精度良く仮想2次元フィールド上にマッピングできる。また,これまで人手で行われていた主要プレーのタグ付け作業を省力化するために,ディープラーニング技術を用いた自動的なプレー分類も可能である。この技術は,ラグビーに限らず様々なスポーツへ活用できるだけでなく,監視カメラを用いた作業分析など産業分野への応用も可能である。

 
エッジコンピューティングを実現する社会インフラ・産業分野向け IoTゲートウェイ装置 (p.35-38) 本文PDF(354KB/PDFデータ)
中嶋 宏・松本 賢一郎

社会インフラ・産業分野向けのIoT(Internet of Things)であるインダストリアルIoTでは,大量のデータを集めて分析するため,監視制御対象の機器が置かれている現場(エッジ)側とクラウドシステム側の間で最適な処理分担を図り,エッジ側でもデータの処理や分析を行うエッジコンピューティングが重要になると考えられる。エッジコンピューティングによって,現場の状況や機器の微細な変化をIoTゲートウェイ装置で迅速かつ的確に把握できるようになり,更にインテリジェントな処理を組み込んだエッジリッチコンピューティングによって,新たな価値を創造することも可能になる。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,このようなインダストリアルIoTに求められるエッジコンピューティングを実現するIoTゲートウェイ装置を開発した。様々な監視対象機器,発信されるデータ,及び必要な分析処理をソフトウェア定義によって自在に構成できる仕組みを備えることで,柔軟なエッジコンピューティングを実現し,かつ段階的に進化させられるようにした。また,東芝グループ内の技術を結集し,インダストリアルIoTに求められる,耐環境性,長期信頼性,及びセキュリティー脅威に対する堅牢(けんろう)性を備えたハードウェアを実現した。

 
IoTがもたらすものづくりの変革と東芝グループの取り組み (p.39-42) 本文PDF(377KB/PDFデータ)
福本 勲

IoT(Internet of Things)データの活用により“ものづくり”が大きく変化し,製造業の競争ルールが変わろうとしている中,先行する欧米に対し,我が国でも政府レベル,民間レベルで様々な取り組みが始まっている。
これを受けて東芝グループは,欧米及び我が国の産官学を横断した業界活動に参画している。また東芝デジタルソリューションズ(株)は,東芝グループが持つ幅広い分野における製造事業者としての経験や知見を生かし,製造業向けの次世代ものづくりソリューション“Meisterシリーズ”を提供している。情報収集,情報蓄積,及び情報活用の三つのレイヤーを一貫して支援するソリューションで,我が国の製造業の強みである“ヒト”の技能を生かし,“現場”をサポートしながら,製造業のものづくりの変革に貢献している。

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特集2:電力システム改革に向けた東芝の系統ソリューション

巻頭言 創業者の気概を胸に,電力システム改革に向け新たな一歩を (p.43) 本文PDF(137KB/PDFデータ)
斎藤 英揮

 
トレンド 電力システム改革と東芝の取り組み (p.44-47) 本文PDF(427KB/PDFデータ)
梶原 俊之・野田 剛敏・草野 日出男

我が国で進められている一連の電力システム改革の第3段階として,発電・小売と送配電の部門を法的に分ける発送電分離が2020年4月に予定されている。これにより,電力会社(旧一般電気事業者)は発電・小売会社と送配電会社に分社化される。発電・小売会社は自社の顧客のため,発電所の運用や供給力の確保を行い,利益の最大化を目指す。一方,送配電会社は電力輸送を担う送配電設備の運用の高度化や保守の効率化を行う。また,環境保全の観点から,再生可能エネルギーの導入拡大が同時に求められる。
東芝は,需給・系統運用を行う電力監視制御システムの豊富な納入実績を通して得た運用技術(OT:Operation Technology)や,最新のIoT(Internet of Things)技術を組み合わせ,需給管理や電力監視制御システムの開発,アセットマネジメントシステムの導入,及び蓄電システムの活用を進め,これらの課題を解決していく。

 
発送電分離に対応した電力需給管理システム (p.48-51) 本文PDF(351KB/PDFデータ)
市川 量一・多田 欣雅・小林 武則

2020年に予定されている電力システム改革の第3段階では,発送電分離によって電力会社(旧一般電気事業者)の送配電部門の中立性がより明確にされ,システム上の情報遮断も要求される。そのため,分社した送配電会社が,管轄エリア全体の需給を管理するシステムと,発電・小売会社が,自社の需給を管理するシステムが必要となる。
東芝は,電力会社向けでトップシェア(注1)の中央給電指令所(中給)システムと新電力(旧特定規模電気事業者)向けに展開している電力需給管理システムの技術と知見を生かし,発送電分離によって分社する各事業者に対応した電力需給管理システムを開発し提供している。

(注1)2017年8月現在,国内の中給システムにおいて,当社調べ。

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送配電系統を一元管理する電力監視制御システム (p.52-55) 本文PDF(424KB/PDFデータ)
藤浦 広旭・藤本 裕仁・岩橋 博隆

小売全面自由化や発送電分離など,電気事業制度が大きく変革する中で,国内電力会社(旧一般電気事業者)の送配電部門では,これまでと同等の電力供給の信頼度と低い託送原価水準の実現を目標としている。また,送配電事業の高度化・効率化による電力流通設備の運用・保守のスマート化や,電力流通設備の監視制御システムのコスト低減などに対する取り組みも進められている。
東芝は,こうした送配電業務の効率化や監視制御システムのコスト低減を実現するために,更なるシステムの集中化や,国際標準規格の導入による基幹系統から配電系統までのデータの一元化を実現するとともに,重要インフラに求められるセキュリティー対策を実装した電力監視制御システムの開発に取り組んでいる。

 
効率経営を総合的に支援する送配電事業向けアセットマネジメントシステム (p.56-60) 本文PDF(446KB/PDFデータ)
岡 雅明・犬飼 道彦・星川 俊則

設備状態や作業計画などを把握して管理するアセットマネジメントという概念は,10年以上前からあった。近年は,将来の発送電分離などの電力システム改革に向けて,更にその概念は拡張され,人・モノ・金・情報といった経営資源をデジタル化し,経営に役立つ総合的なアセットマネジメントにまで高めることが求められている。
そのために必要なものは,“見える化”を進化させ,蓄積した情報を評価・分析・シミュレーションといったAI領域に結び付ける仕組み,及び最新のIoT(Internet of Things)技術や情報連係基盤を使って,より価値のある情報を効率的に集めてくる手段である。そこでは従来の常識を超えた効率性が求められる。東芝は,これまで電力会社(旧一般電気事業者)に設備や様々なシステムを納めてきた経験を生かし,送配電事業の効率経営を支援するアセットマネジメントシステムを検討している。

 
調整力の確保と再生可能エネルギーの導入拡大を両立させる蓄電ソリューション (p.61-64) 本文PDF(429KB/PDFデータ)
川本 真也・森田 浩史・水谷 麻美

電力システム改革により,今後,需給調整市場が整備される予定であり,調整力の確保が一層重要になってきている。一方,低炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの導入拡大が進むと,出力変動などの影響で調整力の不足が問題となるおそれがある。
東芝は,これらに対応するために,様々な蓄電ソリューションを提供している。東芝グループのリチウムイオン二次電池 SCiB™を用いた定置型蓄電池システムは,高い安全性・長寿命性・高出力性を持ち,短期間でシステム構築が可能なため,調整力の確保に貢献できる。また,自立型水素エネルギー供給システム H2One™は,再生可能エネルギーを一旦大容量の水素エネルギーとして貯蔵し,安定した電源に変えることで,調整力の負担を軽減できる。これらの蓄電ソリューションにより,調整力の確保と再生可能エネルギーの導入拡大の両立が可能になる。

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一般論文
薄膜HfO2を用いた強誘電体トンネル接合メモリー (p.65-68) 本文PDF(381KB/PDFデータ)
藤井 章輔・齋藤 真澄

薄膜の強誘電体を利用したトンネル接合(FTJ:Ferroelectric Tunnel Junction)メモリーは,次世代の不揮発性メモリーとして研究が進められている。しかし,一般に用いられているペロブスカイト型の強誘電体材料は,CMOS(相補型金属酸化膜半導体)製造プロセスに組み込むことが難しいという課題があった。
東芝は,CMOS製造プロセスに組み込むことが容易な強誘電体材料の酸化ハフニウム(HfO2)膜を適用したFTJ(HfO2 FTJ)メモリーを試作し,世界に先駆けて(注1)HfO2 FTJメモリーによるメモリー動作を実証するとともに,低電流動作及び電圧駆動が可能で,整流特性を持つなど,近年注目されている様々な新規不揮発性メモリーよりも優れた特性を持つことを確認した。また,動作電圧に対する設計指針を構築し,動作電圧を低減することができた。

 
半導体製品の開発効率を向上させる開発リスク管理手法 (p.69-72) 本文PDF(321KB/PDFデータ)
西内 秀夫・井上 道信

製品開発では,市場の要求するQCD(Quality:品質,Cost:コスト,Delivery:納期)を満たすことが重要である。しかし,製品の高性能化や複雑化が進む昨今では,製品開発の過程においてQCDが実現できないリスクが高まっている。東芝は,このリスクを開発の上流段階で抽出し,リスクを管理しながら製品の開発を行う“開発リスク管理手法”の実現を目指している。
この一環として,“技術ばらし”を用いてリスクを抽出する手法,及び作業分解構成図(WBS:Work Breakdown Structure)とリソース管理を組み合わせたガントチャートでスケジュール管理する手法を開発した。これにより,開発下流で顕在化するリスクを早期に抽出するとともに,リスクを回避する計画を推進することで,QCDを満足する製品を効率的に開発することが可能となる。

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R&D最前線
エレクトロスピニング法によるナノファイバー膜の高速形成技術 (p.74-75) 本文PDF(252KB/PDFデータ)
植松 育生

紡糸過程の理論解析により,ナノファイバー膜の高速形成を実現
エレクトロスピニング法は,高分子溶液に高電圧を印加し,その電界によって高分子溶液を引き出して紡糸する技術です。これを用いてナノファイバー膜を形成すると,材料そのものが持つ特性を生かしたまま,ナノファイバー膜の構造物としての特徴も付与できるため,各種フィルターや細胞培養基材など多くの分野で,応用が期待できます。
今回,東芝は,エレクトロスピニング法によるナノファイバー膜形成過程の直接観察と理論解析から,紡糸条件や溶液物性が形成過程に与える影響を明らかにし,ナノファイバー膜の高速形成を実現しました。

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