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対処すべき課題

証券コード:6502

第180期有価証券報告書(2018年度)より

当社グループの今後の経営方針(対処すべき課題)

◎「東芝Nextプラン」

当社は、2018年11月、今後5年間の全社変革計画「東芝Nextプラン」を策定しました。概要は以下のとおりです。

1.当社グループの目指す姿

当社グループは、製造業として永年に亘り培ってきた社会インフラから電子デバイスに至る幅広い事業領域の知見や実績と、情報処理やデジタル・AI技術の強みを融合し、世界有数のサイバー・フィジカル・システム(CPS)(注1)テクノロジー企業を目指すことを目標とします。この目標に向かい、当社は「東芝Nextプラン」として、今後5年間の数値目標を設定し、将来の成長に向けた全社変革の施策及び方向性を定めました。

当社グループは今後も新たな製品、サービスやソリューションの創出と提供を通じて、社会課題を解決し、社会のさらなる発展に貢献していく方針です。

(注1) CPSとは、実世界(フィジカル)におけるデータを収集し、サイバー世界でデジタル技術などを用いて分析したり、活用しやすい情報や知識とし、それをフィジカル側にフィードバックすることで、付加価値を創造する仕組みです。

2.内容骨子

(1)ターゲットと4つの改革

当社グループの企業行動の基本的な目的は、企業価値の最大化を通じて、株主価値を向上し、顧客・取引先・従業員の価値も向上させることです。基礎的な収益力を強化する施策と成長に向けた投資を行い、3年後の2021年度には、売上高3.7兆円、ROS 6%以上の達成を目指します。さらに5年後の2023年度には売上高4兆円、ROS 10%レベルまで向上することを目標に掲げ、利益ある成長で企業価値の最大化・TSR(注2)の拡大を図ります。

基礎的な収益力を強化する施策として4つの改革を進めます。構造改革として、液化天然ガス(LNG)事業や海外原子力新規建設事業などの非注力事業からの撤退、人員適正化、生産拠点及び子会社の再編を推し進めています。調達改革では原価率の低減に向けた各種の施策を実行します。営業改革では、営業活動の効率化、営業体制の強化、プロジェクト受注時における審査の拡充を実施します。プロセス改革として、IT基盤を整備するための投資を行い、グループ全体で業務を効率化して生産性の改善を図ります。

成長に向けた施策として、今後5年間で約8,100億円の設備投資と、約9,300億円の研究開発投資を計画しています。これらの投資により利益を拡大し将来キャッシュ・フローの創出を図るとともに、新規事業も育成します。

(注2) TSRとは、Total Shareholders Returnの略であり、キャピタルゲインと配当を合わせた、株主にとっての総合投資利回りを意味します。

(2)事業ポートフォリオと事業別施策

既存事業においては、市場の成長性と競争力の観点で整理を行い、今後成長が見込まれる事業については適正な投資のもと、自律的な成長の実現を目指します。モニタリング対象事業については、事業構造転換により収益を改善させる施策を策定しました。施策の進捗状況については、定期的かつ厳格にモニタリングします。

(3)株主還元の考え方

当社は、7,000億円を上限とする自己株式の取得につき決定しました。加えて、「東芝Nextプラン」の5年間を通じては、平均連結配当性向30%(注3)程度を目標とし、配当の継続的な増加を目指してまいります。また、状況に応じた自己株式の取得を組み合わせることにより、株主への還元を強化してまいります。

(注3) 当面の間、東芝メモリホールディングス(株)に係る持分法投資損益は、当該還元方針の対象外としています。

(4)新規成長分野への集中投資

都市インフラニーズの増大、ヒトとモノのモビリティ拡大、先端技術の発達による自動化、高度医療技術の拡大及び再生可能エネルギーへのシフトといったメガトレンドの中で、破壊的イノベーションによる環境変化をチャンスと捉え、当社グループがもつ独自の技術力と資産を結集し、経営資源を注入することで、新規事業の成長を目指します。リチウムイオン二次電池においては、当社グループが開発したSCiB™の特性を活かせる成長市場を開拓します。パワーエレクトロニクスにおいては、当社グループのデバイス技術を競争力の源泉に、モビリティ・産業システム市場で差異化を図り、競争優位性を実現します。精密医療においては、ライフサイエンス分野で当社グループが保有する最先端の技術を活かし、がんの超早期発見と個別化治療の実現を目指します。

(5)デジタルトランスフォーメーション

デジタル革命が進む世の中において、当社グループ自身が変革を進め、デジタル文化を組織の隅々まで展開します。当社はインターネット上のシステム(IoTシステム)の基本設計図であるIoTアーキテクチャを標準化し、その上に様々な事業領域において実践した知識を結集し、CPSテクノロジー企業としての成長を目指します。

(6)実行のための仕組み構築

東芝のDNAであるベンチャースピリットを呼び覚まし、その一環として新規事業を創出する新たなインキュベーションの仕組みを導入します。また、デジタルトランスフォーメーションを推進するための人材育成、外部人材の登用を積極的に進めます。

事業運営体制の強化及び意思決定の迅速化のために、事業部の大括り化や階層のシンプル化等の組織見直しを図ります。あわせて、内部統制機能の更なる強化のため、コーポレート部門による統制機能の拡大と強化を図っていきます。また、株主と一層の価値共有をするとともに、中長期的な業績向上に対するインセンティブを有効に機能させることを目的に、相対TSRを反映した業績連動報酬制度とし、併せて、執行役の業績連動報酬の過半を譲渡制限付株式報酬で支給することとしました。

◎「東芝Nextプラン」の実施状況

1.モニタリング事業

「東芝Nextプラン」にて、モニタリング対象事業とした事業の状況は次のとおりです。

(1)システムLSI事業

領域の絞り込みによる開発費削減を実現したものの、中国市況の悪化等による物量減の影響を受けました。今後は、ロジックLSIは収益性を軸に案件を限定し、車載デジタルやモーター制御技術を武器にしたアナログ、マイコンへ注力し、注力領域をさらに絞り込むこととします。また、早期退職プログラムの実施、役職者を対象とした特別対策の継続、並びに研究費、製造固定費及び販売固定費の適正化により固定費削減を実施します。

(2)火力事業

温室効果ガスの排出防止への取り組みが国際的に加速することにより、主に石炭火力への投資抑制や再生可能エネルギーへのシフトが進み、新設案件が減少している現状に対し、サービス・ソリューション事業の強化、製造拠点のレイアウト刷新や、人員最適化を推進しました。

(3)産業モータ事業

世界経済や各国の貿易政策による素材価格変動、為替変動などが製造コストに影響し、収益性に影響が生じていたことから、機種ラインアップの見直し、低採算機種の値上げを行い、また、人員・生産体制の最適化を実施しました。

(4)モバイルHDD

モバイルHDDの市場規模は縮小していくものと認識しており、これに対し、製造自動化の加速、適切な需要予測に応じた製造能力で収益を安定化させるとともに、データセンター向けニアラインHDDへのシフトを加速して行っており、ニアラインHDDの開発、顧客による製品認定取得をすすめております。

2.早期退職優遇制度の実施

「東芝Nextプラン」にて、構造改革の一環とした人員最適化につき、2018年度、当社、東芝エネルギーシステムズ(株)、東芝デジタルソリューションズ(株)及びその傘下の一部子会社に在籍する従業員に対して、早期退職優遇制度を適用いたしました。

また、2019年5月、東芝デバイス&ストレージ(株)において早期退職優遇制度を適用することを決定しました。

◎債務超過解消による上場廃止に係る猶予期間の解除

当社は、2016年度末において債務超過の状況となり、(株)東京証券取引所及び(株)名古屋証券取引所における上場廃止に係る猶予期間入り銘柄となっておりましたが、2017年度、第三者割当増資を実施し、また、ウェスチングハウスエレクトリックカンパニー社関連資産の売却等により、株主資本が改善し、2017年度末において債務超過が解消されたため、2018年6月、両取引所において猶予期間入り銘柄から解除されました。

◎資本金の額の減少等

当社は、2018年7月31日を効力発生日として、資本準備金299,999,997,000円の全額、及び資本金の額499,999,997,000円のうち299,999,997,000円を減少し、それらすべてをその他資本剰余金に振り替えるとともに、当該振り替え後のその他資本剰余金の全額758,687,345,174円を繰越利益剰余金に振り替えることにより、当社単独の貸借対照表の繰越利益剰余金の欠損てん補を行いました。

◎米国液化天然ガス事業

当社グループは、米国産液化天然ガス(LNG)を販売することを目的として、2013年に米国の天然ガス液化役務提供会社であるFLNG Liquefaction 3, LLC(以下「FLIQ3」という。)との間で20年間に亘る天然ガスの液化に関する加工委託契約を締結し、その後もパイプライン利用契約をはじめとするLNGに係る事業(以下「LNG事業」という。)の準備を進めておりました。LNG事業については他事業とのシナジーも期待できず、かつ将来的な損失リスク、その他不透明な市況等や当社グループを取り巻く状況を踏まえて当社グループのコア事業として扱わないこととし、様々な施策を検討してまいりました。

2018年11月、中国のENN Ecological Holdings Co., Ltd.(以下「ENN社」という。)との間で、米国現地法人東芝アメリカLNGコーポレーション社(以下「TAL」という。)の発行済株式の全てを譲渡し、当該株式譲渡の完了と同時に、当社グループ会社間で締結しているLNG事業に係る各契約、また、当社グループと顧客との間で締結している取引契約を含む、当社グループのLNG事業に係る全ての契約も移管又は解除することを合意いたしましたが、株式譲渡契約の完了期限である2019年月31日を徒過し、かつ短期間で条件充足をすることができないため、当該譲渡に多大な不確定性を生じさせることなどを理由として、2019年月、ENN社から、株式譲渡契約に基づく取引を中止する旨の連絡を受けたことから、同月、ENN社との株式譲渡契約を解除し、LNG事業の第三者への売却プロセスを迅速に再開し、早期事業撤退を目指していくことといたしました。

2019年月、当社は、当社グループのLNG事業を、仏国エネルギーメジャーTotal S.A.のシンガポール子会社であるTotal Gas & Power Asia Private Limited (以下「Total」という。)へ売却することを決定し、Totalと、TALの発行済株式の全てをTotal社へ譲渡する株式譲渡契約(以下「本件株式譲渡」という。)を締結しました。

また、当社とTotalは、本件株式譲渡の完了と同時に、当社グループ会社間で締結しているLNG事業に係る各契約、当社グループと顧客との間で締結している取引契約が含まれる、当社グループのLNG事業に係る全ての契約も移管又は解除する(以下「本件契約譲渡」という。)ことも合意しました。その中で、当社とTotalは、当社が米国の天然ガス液化役務提供会社であるFLIQ3へ提供しているTALの液化契約上の義務に対する保証を、Totalグループからの保証に置き換えることで解除することでも合意しています(本件株式譲渡及び本件契約譲渡と併せ、以下「本件譲渡」という)。今後、当社とTotalは、FLIQ3の承認取得などの必要な手続きを経て、2020年月末までに本件譲渡を完了させる予定です。

◎メモリ事業

2018年6月、(株)Pangeaに対し、旧東芝メモリ(株)の全株式を譲渡し、同時に(株)Pangeaに対し3,505億円を再出資しました。その後、(株)Pangea及び旧東芝メモリ(株)は、2018年8月、(株)Pangeaを存続会社、旧東芝メモリ(株)を消滅会社とする吸収合併を行い、同時に、(株)Pangeaは、商号を東芝メモリ(株)に変更しました。2019年3月、東芝メモリ(株)を株式移転完全子会社とする株式移転により、東芝メモリホールディングス(株)が発足し、当社は、同社株式を取得し、東芝メモリホールディングス(株)は、当社グループの持分法適用会社となりました。

当社は、当社が保有する東芝メモリホールディングス(株)の株式について、締結済みの株主間契約に則り新規上場の実現に向けて協力し、安定株主として当面の間保有を継続する方針です。

◎株主還元

2018年11月、成長分野への投資等、「東芝Nextプラン」の実行に必要な原資は確保しつつ、旧東芝メモリ(株)株式の譲渡が完了したことにより計上される相当額の譲渡益のうち当面活用の予定がないものについては、今後の成長投資余力の確保、事業の性質等を踏まえた健全な株主資本比率の維持を勘案し、リスク耐性を阻害しない範囲でその一部を株主に還元することが、ROE(株主資本利益率)の向上などにつながり、資本コストを考慮すれば、株主価値の更なる向上という観点から適切であると判断し、2018年11月9日から2019年11月8日までを期間とし、7,000億円を上限とする自己株式の取得を決議いたしました。また、2018年9月30日を臨時決算日とする臨時決算によって、株主還元を実施するのに十分な分配可能額を確認することができたため、長期間無配が継続していたことも勘案し、剰余金の配当について、2018年12月31日を基準日とする特別配当として、1株につき20円の配当を2019年2月に実施し、また、期末は1株につき10円の配当とすることを決定いたしました。これにより年間の剰余金の配当を30円としました。

本ホームページには、業績見通し及び事業計画等も記載しております。それらにつきましては、各資料の作成時点においての経済環境や事業方針などの一定の前提に基づいて作成しております。従って、実際の業績は、様々な要素により、これらの業績見通しとは異なる結果となりうることをご承知おきください。