投資家情報
証券コード:6502
株主通信2020年秋号
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新型コロナウイルスによる影響を受けられた方々に心よりお見舞い申しあげます。当社は社会インフラを支える企業として、従業員および関係者のみなさまの安全を重視しながら、その社会的使命に応えてまいります。
7月31日開催の定時株主総会において、取締役12名が選任されました。昨年大きく刷新した取締役会の体制を継続し、執行役兼務は代表執行役社長 CEOのみで、社内出身の取締役2名、社外取締役10名、内4名は外国籍という、ガバナンスと多様性の観点で、きわめて先進的なものです。
全社変革計画「東芝Nextプラン」は、2018年11月の発表以来、「フェーズ1」として主に基礎的な収益力強化に取り組んでまいりました。さらに、資本市場の声に耳を傾け、上場子会社3社の完全子会社化、事業外資産の売却、課題事業のモニタリングにおける撤退基準の明確化、役員報酬の見直し等も追加的に実施しました。今後も株主・投資家のみなさまとの建設的な対話を継続してまいります。
今後は、積極的な成長への取り組みを「東芝Nextプラン・フェーズ2」として進めてまいります。当社は「インフラサービスカンパニー」として、企業価値の最大化とTSR(株主総合投資利回り)の拡大を目指します。当社の20近い事業体を「デバイス・プロダクト」、「インフラシステム(構築)」、「インフラサービス」、「データサービス」の4つの機能別セグメントとして整理し、それぞれのセグメントが互いに連関し相乗効果を生み出すことで、新しい需要の創出や付加価値の高い製品、サービスを提供してまいります。11月にはより具体的なプランをお示ししたいと考えております。
また、内部管理体制とコンプライアンスの強化も引き続き重要な経営課題です。内部統制の継続的な改善やコンプライアンス強化の施策に対して、社外の有識者の目を入れて提言を行う「コンプライアンス有識者会議」を新設し活動を始めました。サステナビリティ強化の取り組みとしては、パリ協定に沿った、気温上昇2℃未満の目標を達成する事業計画を2020年度中に策定するなど、各種ESG投資基準への準拠を目指します。
新型コロナウイルスによる2020年度業績への影響額は、売上高で▲2,800億円、営業損益で▲900億円を想定していますが、構造改革費用等や新型コロナウイルスの影響を除く、実力値としてのコア営業損益は、通期で2,200億円を見込んでいます。
株主還元の方針については、これまで通り、平均連結配当性向30%以上の実現を基本とし、適正資本を超える部分は、自己株式取得を含む株主還元の対象としてまいります。また、当社が保有するキオクシアホールディングス(旧 東芝メモリ)の株式については、現金化の可能な方策について継続的に検討していますが、この現金化がなされた際は、手取金純額の過半を原則として株主還元に充当することを意図しています。
新たな体制の下、インフラサービスカンパニーとしての当社の成長に引き続き温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い申しあげます。
2020年8月
代表執行役社長 CEO
1. 第181期定時株主総会
7月31日に開催した第181期定時株主総会において、下記のとおり決議がされました。議決権行使結果は下記のとおりです。
- ◆決議事項
-
- <会社提案>
-
- 〇第1号議案 定款変更の件
- 剰余金の配当や自己株式の取得に関する事項は、株主総会によらず、取締役会の決議によって定めるものとしてきましたが、これらの事項は、株主様にとって重要な事項であり、会社法上は原則として株主総会決議事項であるとされていることから、株主総会においても、剰余金の配当や自己株式の取得に関する事項を決議できるようにすることにつき、原案のとおり承認可決されました。
- 〇第2号議案 取締役12名選任の件
- 取締役に綱川 智、車谷 暢昭、古田 佑紀、太田 順司、小林 伸行、山 内 卓、藤森 義明、ポール ブロフ、ワイズマン廣田 綾子、ジェリー ブラック、レイモンド ゼイジ、永山 治の12名が選任され、それぞれ就任しました。
- <株主提案>
-
- 〇第3号議案 取締役2名選任の件
- 〇第4号議案 取締役3名選任の件
- 第3号議案および第4号議案は、否決されました。
(賛成割合) | ||
<会社提案> | ||
〇第1号議案 | 定款変更の件 | (97.74%) |
〇第2号議案 | 取締役12名選任の件 | |
取締役: | 綱川 智 | (89.95%) |
車谷 暢昭 | (57.96%) | |
社外取締役: | 古田 佑紀 | (81.42%) |
太田 順司 | (59.58%) | |
小林 伸行 | (85.56%) | |
山内 卓 | (81.44%) | |
藤森 義明 | (78.09%) | |
ポール ブロフ | (76.60%) | |
ワイズマン廣田 綾子 | (76.64%) | |
ジェリー ブラック | (76.63%) | |
レイモンド ゼイジ | (68.99%) | |
永山 治 | (97.70%) | |
<株主提案> | ||
〇第3号議案 | 取締役2名選任の件 | |
Allen Chu | (31.14%) | |
清水 雄也 | (31.14%) | |
〇第4号議案 | 取締役3名選任の件 | |
竹内 朗 | (41.95%) | |
杉山 忠昭 | (37.68%) | |
今井 陽一郎 | (43.43%) |
7月31日以降の取締役会の議長及び委員会構成
新しい体制の取締役会議長、各委員会の構成は下記のとおりです。(下線は新任)
2015年に取締役に就任し、2017年から取締役会議長を務めた小林喜光が退任し、新任取締役の永山治が取締役会議長を務めます。指名委員会、監査委員会、報酬委員会の各委員は、すべて社外取締役によって構成されます。指名委員会の人選プロセスに多様性および資本市場の視点を取り入れるため、ワイズマン廣田 綾子が新たに指名委員会の委員に就きました。
取締役会議長 | : | 永山 治 |
指名委員会 | : | 永山 治(委員長)、太田 順司、山内 卓、藤森 義明、ワイズマン廣田 綾子 |
監査委員会 | : | 太田 順司(委員長)、古田 佑紀、小林 伸行、山内 卓 |
報酬委員会 | : | 古田 佑紀(委員長)、藤森 義明、ジェリー ブラック、永山 治 |
当社は2019年の第180期定時株主総会において、コーポレートガバナンス・コードに基づく、ジェンダーや国際性の面を含め、国際的な事業経験や事業ポートフォリオ、事業再構築及びM&Aに関する豊富な知識と経験並びに資本市場や資本配分の専門性という点で十分な多様性を有する取締役を選任し、取締役12名のうち10名を社外取締役、社外取締役には4名の外国籍の方を含む、きわめて革新的な構成としました。
今年の第181期定時株主総会においても、当社の継続的な成長と中長期的な株主価値の向上という観点から、引き続きこの構成を継続することとしました。
コンプライアンス有識者会議の新設
内部統制システムのさらなる強化への取り組みの一環として、「コンプライアンス有識者会議」を新設しました。本会議は、社外有識者として弁護士の小林英明氏と公認会計士の神林比洋雄氏の2名を含め、当社監査委員会委員、当社社長、副社長、CFO、法務担当執行役、内部監査担当執行役等で構成され、2020年度中に提言をまとめる予定です。
2.「東芝Nextプラン進捗報告」概要
1.「東芝Nextプラン」初年度を振り返って
「東芝Nextプラン」の初年度となった2019年度の連結決算は、売上高3.4兆円、営業損益1,305億円となりました。営業損益では、新型コロナウイルスの影響が203億円、また構造改革費用等の一時費用108億円がありましたが、これらの影響を除くと、1,600億円を超える営業利益となります。これは2018年度の実績から倍増となり、「東芝Nextプラン」の1年目の目標を超過して達成できました。
2.「東芝Nextプラン・フェーズ1」を着実に実施
「東芝Nextプラン・フェーズ1」として、構造改革、調達改革や営業改革を実施したことにより、基礎的な収益力改善の効果が目に見える形で現れ、全事業セグメントで黒字を達成しました。これらの改革に加えて、上場子会社3社の完全子会社化、事業外資産の売却、課題事業のモニタリングにおける撤退基準の明確化、役員報酬の見直し等も実施し、株主様への還元としては7,000億円の自己株式取得も実施しました。

3. インフラサービスカンパニーへ
今後は成長軌道へシフトし、「東芝Nextプラン・フェーズ2」として、具体化に取り組んでまいります。新たな事業セグメントとして、当社の20近い事業体を「デバイス・プロダクト」、「インフラシステム(構築)」、「インフラサービス」、「データサービス」の4つの機能別セグメントに整理しました。差別化された「デバイス・プロダクト」が「インフラシステム(構築)」の競争力強化・拡大につながり、「インフラサービス」のロケーションを拡大させます。より多くのお客様へのサービスやオペレーションのサポートを通して「データサービス」が拡大し、得られたデータを活用することで「インフラサービス」の品質や効率が改善、また「デバイス・プロダクト」、「インフラシステム(構築)」の製品開発の差別化につながるといったように、各機能のシナジーのループにより、「インフラサービスカンパニー」として企業価値を最大化していきます。


4. 新規分野の拡大
がん精密医療の分野を5年以内に主要な事業の一角に育てるべく、血液1滴で13種類のがんを99%の精度で検出できる「マイクロRNA検出技術」など、いくつかの領域で具体的な開発を進めています。
理論上盗聴が不可能な「量子暗号通信」の分野では、英国、米国を始め、世界各国での実証実験など、実用性の検証を行っています。

3. 2020年度第1四半期決算および通期業績予想(連結)
2020年度第1四半期決算

- 第1四半期における、新型コロナウイルスによる影響額(需要減、据付工事の遅れ、工場の稼働低下など)は、売上高▲1,494億円、営業損益▲493億円となりました。6月5日の2019年度決算発表時には、営業損益への新型コロナウイルス影響額を第1四半期で▲460億円、年間で▲900億円と見込んでいましたが、第1四半期の段階では、想定から大きな乖離はありませんでした。
■第1四半期における新型コロナウイルス影響額(営業損益) デバイス&ストレージソリューション ▲252億円 リテール&プリンティングソリューション ▲108億円 インフラシステムソリューション ▲50億円 ビルソリューション ▲37億円 その他* ▲46億円 - 営業損益から、構造改革費用等や新型コロナウイルスの影響を除いたコア営業損益は、前年同期に対して289億円増益の379億円となり、基礎的な収益力は着実に改善しています。
- フリー・キャッシュ・フローは、運転資金の改善により前年同期から大きく改善し、833億円となりました。
2020年度通期業績予想(連結)

想定為替レート 米ドル ¥105
当社はインフラ事業の比率が高く、新型コロナウイルスの影響に対しても、比較的レジリエント(強靭)な企業体質になっています。
2020年度通期の業績予想は、構造改革費用等や新型コロナウイルスの影響を除いたコア営業損益ではすべての事業で対前年で増益となる2,200億円を見込んでおり、これらの影響を含めても1,100億円の営業利益を見込んでいます。
(ご注意)本通信は2020年6月末時点で株主名簿に記録されている株主のみなさまにお送りいたしますことをご了承ください。また、本通信は、2020年8月12日時点の事実関係に基づき記載しております。その後の状況の変化等については、反映されておりませんのでご了承ください。