開発の背景

 現在の最先端のマイクロプロセッサは、複数の命令を同時に実行できる スーパースカラ方式などが主流ですが、さらなる処理速度の向上は限界に近づきつつ あります。
 現在、次世代のアーキテクチャとして、複数個のマイクロプロセッサが 一つの主記憶メモリ(メインメモリ)に共有でアクセスしながら並列処理を行う 共有メモリ形マルチプロセッサ等が模索されています。

 従来の共有メモリ形マルチプロセッサにおいて、キャッシュメモリの データ管理は、キャッシュメモリ内のコントローラが共通のバスを介して行って いましたが、個々のマイクロプロセッサの処理速度に比べてバス上の速度が遅い などの障害が生じていました。
 このため、共有バスを介したキャッシュメモリ間のデータ通信の高速化が もとめられています。
 さらに、高いクロック周波数で動作するオンチップマルチプロセッサでは、 相対的に速度の遅い外付けメモリへのアクセスを極力抑える必要があります。

 当社は、これらのニーズに対応するため、速度の遅いバスを介さずに、 キャッシュメモリ間のデータ管理を高速かつ一元的に行える「CCU」や 「CCU」で制御されるプロトコルである「CRAC」を考案したものです。
 当社は、動作クロック周波数が500MHzでマイクロプロセッサ数 4個を想定したオンチップマイクロプロセッサのシミュレーションを行った結果、 「CCU」と「CRAC」を採用したオンチップマルチプロセッサは、従来比 約1.7倍の処理速度でデータ処理が行えることを確認しました。
 今回、当社が提案した新技術を用いた場合、高いクロック周波数でも各々の マイクロプロセッサの高性能を損なうことなく効率よく動作するオンチップマルチ プロセッサを比較的短い設計期間で実現することが可能です。
 また、例えば、4個のマイクロプロセッサを搭載したオンチップ マルチプロセッサを700MHz程度で動作させた場合、最大2.8GIPSの 性能を得ることができます。
 なお、今回の技術内容は、2月3日から米国サンノゼ市で開催される HPCA-2(2nd International Symposium on High-Performance Computer Architecture)学会において2月7日に発表する計画です。


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