モバイル・コンピューター機器の共通規格で合意

1997年6月23日

IBMコーポレーション
アップル・コンピュータ
サン・マイクロシステムズ
株式会社東芝
ネットスケープ コミュニケーションズ コーポレーション
ネットワーク・コンピューター Inc.(NCI)
ノキア・モービルホン
株式会社日立製作所
富士通株式会社
三菱電機株式会社
ロータス ディベロップメント コーポレーション

 IBMコーポレーション、アップル・コンピュータ、サン・マイクロシステムズ、 株式会社東芝、ネットスケープ コミュニケーションズ コーポレーション, ネットワーク・コンピューター Inc.(NCI),ノキア・モービルホン, 株式会社日立製作所、富士通株式会社、三菱電機株式会社、ロータス ディベロップメント コーポレーションの11社は23日、 今後急速に市場の拡大が予想されるネットワーク・コンピューター(NC)機器について、 モバイル環境下での利用が可能な、操作性に優れたモバイル・ネットワーク・コンピューター機器を開発・製造するための共通規格「モバイル・ネットワーク・コンピューター・リファレンス仕様(MNCRS)」を策定し、 その内容に合意したことを発表しました。今後は、詳細仕様を決定し、 業界の標準として提案していきます。

 これら11社が策定した共通規格では、 1)モバイルNC機器に適したディスプレイ画面の表示方式や消費電力制御機能 2)ネットワークと接続されていない状態での機器の利用機能 3)モバイル機器とサーバー間の相互接続仕様 4)接続方式や場所によって伝送速度や伝送方式が異なるネットワークへの接続仕様 5)モバイル環境でのセキュリティー機能などについて規定しており、 モバイルNC機器に固有の課題を解決する内容となっています。

 今後11社は、より詳細の仕様を策定するため、 関連業界各社と協力しながら、3つのワーキンググループ(データ同期化ワーキンググループ, モバイル通信ワーキンググループ,ネットワーク環境自動適応ワーキンググループ)を設けて、 詳細仕様の検討を行います。 広く他のハード、ソフトメーカーに仕様策定に参画してもらうことで、 その内容の充実を図りながら、数カ月以内に詳細仕様を決定します。 なお、14社が、「MNCRS」に賛同し、ワーキンググループへの参画の意向を表明しています。

「MNCRS」と「NCRP」との関係
 この共通規格(仕様)「MNCRS」は、1996年5月に米国企業5社(アップル・コンピュータ, IBM,ネットスケープ,オラクル,サン・マイクロシステムズ)によって合意された「ネットワーク・コンピューター・リファレンス・プロファイル(NCRP)」を拡張したものです。 「NCRP」は、ハードウェアおよびソフトウェアについての共通規格を設けることによって、 NC機器の技術的枠組みを提供し、NC製品の市場拡大に大きく寄与しています。

 「MNCRS」は、「NCRP」をモバイル・コンピューティングのエリアに拡張したものであり、モバイル製品固有の課題を解決し、 機器およびソフトウェアの開発、製品化を促進することによって、新市場の創出に大きく貢献することが期待されます。 また、「NCRP」が持つ、セキュリティー、可用性、処理能力、 さらにはモバイル製品の導入・運用にかかわるトータル・コスト面での優位性のほか、 様々なメーカー製品を相互に連動させる優れた特長が生かされています。 さらに、モバイル製品について、既存のあるいは将来の製品との「インターオペラビリティー(相互運用性)」を確保する共通規格が規定されており、 コンピューター製造各社は、これに基づいた独自の製品を開発することが可能です。

モバイルNCのメリット
 ネットワーク・コンピューティングは、パソコンを中心とした既存システムに比べ、 運用管理が容易であり、トータル・コストの低減が図れるなどの大きな利点があります。 一方で、近年、PDAや携帯パソコンなどのモバイル端末を使ったモバイル・コンピューティングが急速に拡大してきています。 しかし、既存のモバイル機器では、ネットワークとの親和性、モバイル機器間でのソフトウェアの互換性が不十分であるため、 モバイル・コンピューティングもその利用形態において、 大きな制約を受けていることも事実です。

 「MNCRS」に基づいたモバイルNC機器は、NCのメリットを生かしつつ、 モバイル環境での固有の課題を解決することで、モバイル・コンピューティングの利用形態を大きく拡大することが可能になります。

モバイルNCの概要
 「MNCRS」では、モバイルNC機器を以下の3種類に大別しています。 当初は、第一のタイプ(「プロフェッショナル・アシスタント」)についての詳細仕様の策定を行い、 順次、第二、第三のタイプについても策定していきます。

  1. 「プロフェッショナル・アシスタント」は、Java(*)のフル機能を提供し、 Javaで記述された個人生産性向上ツールや、データベース・アクセス、 業務サーバーへのアクセスを行う業務アプリケーションなどを実行できます。 さらに、ネットワークと接続していない状態でも、操作が可能となるように、 サーバー上のファイルやデータをNC機器に自動複製し、 ネットワークへ再接続時に更新されたファイルまたはデータを自動的にサーバーに反映することができます。 デスクトップ仕様と同等の機能を、利用場所に制限されず自由にどこでも利用できる、 移動能力を兼ね備えたフル機能のNC機器となります。屋内外を問わずに、 自由に場所を移動しながら仕事を進めたり、デスクトップ仕様のNCと同等の機能を利用することができ、 移動性と非接続モードでの利用を兼ね備えたフル機能のNC機器となります。

  2. 第二のタイプは、「プロフェッショナル・アシスタント」に比べ、 機能を限定し、主に「情報アクセス」機器として位置づけられるものです。 WWWブラウザー機能や基本的な電子メール機能を持つとともに、 Javaアプレットに対して限定的なサポート(比較的パフォーマンスが低く、メモリー消費が多い)を行います。 一部の機能については、非接続モードでも操作できます。

  3. 第三のタイプは、極めて基本的なメッセージング、ページング、 電信電話機能を持つ「ベーシック」機器です。 オフィスとの連絡を絶やせないビジネスマンを対象としています。 限定的で基本的なブラウザー機能を持ちます。 この種のモバイルNC機器は、カストマイズされたソフトウェアや業種向けに特化したアプリケーションに適した設計がなされています。

 その他のテクニカル面の項目には次のものがあります。

必須項目

  • HTML(ハイパーテキスト・マークアップ言語バージョン3.2) およびHTTP(ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル・バージョン1)対応のWWW規格
  • LAN、WAN、有線・無線接続など多種多様なネットワーク接続に対するサポート
  • TCP/IP対応規格などの通信プロトコル

オプション項目
  • ISO7816の「スマートカード」テクノロジー規格、EMV(ユーロペイ/マスターカード/ビザ)仕様、 Open Card Framework
  • ビデオおよび/またはデータの通信会議に対するサポート
  • Cardbus、Universal  Serial Bus、 シリアル&パラレル・ポート、赤外線データ協会(IrDA)が定義する赤外線機能など、 モバイル機器とリンクして使用できるモバイル機器付属オプション

 さらに詳しい情報、仕様の完全リストについてはWWWページ(www.ibm.com/nc)をご覧ください。

*Sun Microsysytems(米国)の商標


スポンサー企業一覧(アイウエオ順)

    IBMコーポレーション
    アップル・コンピュータ
    サン・マイクロシステムズ
    株式会社東芝
    ネットスケープ コミュニケーションズ コーポレーション
    ネットワーク・コンピューター Inc.(NCI)
    ノキア・モービルホン
    株式会社日立製作所
    富士通株式会社
    三菱電機株式会社
    ロータス ディベロップメント コーポレーション
    (計11社)

賛同企業(エンドーサー)

    Institute for Information Industry (III)
    株式会社セコム情報システム
    Degital Equipment Corp. (DEC)
    Telxon Corp.
    東京インターネット
    Thompson-CSF France
    日本電気株式会社 (NEC)
    日本テレコム株式会社
    PeopleSoft, Inc.
    PSION Inc.
    Hugh Symons Group Plc.
    船井電機株式会社
    松下電器産業株式会社
    ユニデン株式会社
    (合計14社)


モバイル・ネットワーク・コンピュータ白書


プレスリリース記載の情報(製品価格/仕様、サービスの内容、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。最新のお問い合わせ先は、東芝全体のお問い合わせ一覧をご覧下さい。