英国での次世代移動体通信技術の研究所設立について

1998年7月30日

 当社は、次世代の移動体通信の通信規格や無線系のアクセス系技術など最先端の通信技術の研究開発を行う 「通信研究所(Telecommunications Research Laboratory:TRL)」を8月1日付けで英国・ブリストル市に設立します。

 新研究所の資本金は432,000ポンド(約1億円)で、 所長には通信分野の研究開発では世界的権威であるブリストル大学の通信研究所教授マクギーハン教授(Professor Joe McGeehan)が就任し、 当社の日本の研究開発センターと連携して研究開発を推進します。 人員は当初5-6名でスタートしますが、 設立3年目の2001年をめどに約20名の研究スタフに増員する予定です。 また、今後5年間で1千万ポンド(約23億5千万円)の研究開発費を計画しています。

 現在、移動体通信の規格として欧州及びアジア各国ではGSM方式が主要規格となっていますが、 将来の高速・大容量のデータ通信に対応した広域帯システムの開発がおこなわれています。 今年1月に欧州通信標準化委員会(ETSI)では欧州次世代移動体通信システム規格「UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)方式」 に日本が提唱するW-CDMA方式を取り入れることで合意しました。

 UMTS方式は次世代の移動体通信端末の世界規格となると期待されており、 TRLは、UMTS方式に対応した移動通信端末、 チップセットで必要となる制御技術や信号処理技術の研究開発に注力し、 同分野における知的所有権の取得を含めたイニシアチブを取得することを目指します。 さらに無線アクセス技術等の次世代技術についても研究開発を進めます。

 当社は、91年ケンブリッジ市に次々世代の半導体デバイスの基本動作原理となる量子効果力学の研究をおこなう 「東芝ケンブリッジリサーチセンター(Toshiba Cambridge Research Centre Ltd.:TCRC)」を設立して以来、 研究開発のグローバル化を進めています。

 今回の新研究所の設立は、こうした研究開発のグローバル化の一環であり、 特に欧州は世界の通信技術の研究開発の最先端であると同時に市場として今後も急速な発展が見込まれるため、 英国に研究所を設立するものです。

 本通信研究所の設立により、 東芝の欧州の研究拠点は半導体と通信という2つの成長分野における確かな基礎を築くこととなります。 現在のTCRCはToshiba Research Europe Limited(TREL)と改正し、 下部組織としてCambridge Research LaboratoryとTelecommunications Research Laboratoryの2部門を設立し、 将来の他分野の研究部門増設を容易にする組織形態とします。


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