1回転あたり0.5秒でスキャンできる、世界最速のヘリカルスキャン方式X線CT装置「Aquilion(アクィリオン)」の販売について

1998年9月17日

株式会社 東芝
東芝メディカル株式会社

 当社は、従来比*11.5倍のスピードに相当する1回転あたり 0.5秒でスキャンできるヘリカルスキャン方式*2の全身用X線CT装置の最上位機種として「Aquilion(アクィリオン)」を商品化し、 10月1日より販売を開始します。なお、販売は東芝メディカル株式会社が行います。

 スキャンスピードを向上したことで、一般的な胸部検査において、 従来2回必要であった患者の息止めが1回で済むなど(フル撮影で30cm領域を15秒でスキャン可能)検査効率が大幅に向上します。 また、1回転0.5秒のスピードを実現したことで、 心拍の拡張時を狙ってスキャンすることができるため、 従来難しかった心臓、循環器領域でのX線CT装置の利用が可能になりました。

 0.5秒の高速スキャンを実現するためには、 高速化による架台の振動や従来比2倍以上である13Gに達する遠心力への対応、 スキャン時間の短縮化に伴うX線照射量不足などの課題がありました。

 新製品では、架台回転機構に振動・騒音を最小限に抑えるリニアモーター式ダイレクトドライブ方式を採用することで、 安定した高速回転を実現しているほか、遠心力に対しては、 X線を照射するX線管球やX線発生器(ジェネレータ)など複数のキーコンポーネンツを改良することで、耐圧性能を向上させています。 また、世界最大出力の60kWのジェネレータと世界最大の冷却効率1,386kHU/分のX線管球を新たに開発し、 X線照射量を補うと共に広範囲に及ぶ連続・繰り返しスキャンを可能としました。

 なお、新製品は、当社が開発した最先端の「マルチスライスヘリカルCT技術」*3に対応できるよう、 基本システム設計がなされています。ユーザーの要望により、 将来アップグレード対応が可能です。
 新製品の販売価格は、標準構成で定価6億円です。 また、国内市場と同時に海外市場へも新製品を投入し、 年間で300台の販売を予定しています。

*1: 当社製の上位機種であるヘリカルCT「Xvigor/Laudator」。1回転あたり0.75秒。
*2: ヘリカルスキャン方式
 X線管の連続回転照射と寝台の連続スライドの組み合わせで、 体軸方向に沿ってらせん状に撮影データを連続収集するスキャン方式。 1断層撮影ごとに寝台をずらして間欠的に撮影データを収集する従来CT撮影方式に比べ、 臓器全体などの広範囲を高速に撮影できる。
*3: マルチスライスヘリカルCT技術
 広範囲な領域を短時間で撮影するため、 1回転のスキャンで複数の断層像を得られるようにしたCT撮影方式。 当社が開発を終えた技術は、1回転のスキャンで4断層像が得られ、 0.5秒の高速スキャン技術と組み合わせることで、現在主流の1秒CTとの比較で8倍、 今回発表する0.5秒の新製品と比較した場合でも4倍のスピードを実現できます。


開発の背景と狙い
世界最速CT「Aquilion」の新技術
新製品の主な特長
新製品の主な仕様
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