1999年度(平成11年度)の環境会計について

2000年4月27日

 当社は、企業活動のうち環境保全にかかわるコストとその効果を定量的に把握し、 企業活動の指針として活用するために「環境会計制度」を導入し、 このたび1999年度(平成11年度)の結果を公表します。

 環境保全コストについては、3月にまとまった環境庁のガイドラインに沿って算出しました。 当社は環境庁主催の「環境会計に関する企業実務研究会」において基準づくりに参画してきました。 このガイドラインでは、環境保全コストを事業者などの事業活動に起因する環境への負荷を低減させることなどを目的とした設備投資額と開発投資額および当期費用とし、 汚染防止、環境配慮型製品の開発、リサイクルなどの費用が含まれます。

 効果については、統一的な基準が定められていないため、環境負荷低減効果を物量表示するとともに、 経済的な「直接効果」に加え当社独自の基準を設けて「みなし効果」として金額ベースでも算出しました。 「直接効果」とは、電気料や上下水道料、リサイクルを含む廃棄物処理料などの削減により金額を直接換算できるものです。 「みなし効果」とは、大気や水域、土壌などへの環境負荷の削減量をEPA(Environmental Protection Agency:米国環境保護庁)の排出権取引や賠償費用のデータ、 環境基準などにより金額に換算したものです。この他、参考値として潜在効果も含めた「総合効果」を算出しました。

 この結果、連結ベースの環境保全コストは376億円、環境負荷低減効果額は191億円となり、 効果に対して約2倍のコストをかけていることが明らかになりました。 しかし、今回の集計から除いた将来のリスク回避効果や社会的な波及効果を考慮すれば効果がさらに高まることが予想されます。このため、環境保全への投資は企業活動や持続可能な循環型社会を維持発展させて行くために金額換算以上の効果が期待できると考えられます。

 今後は環境会計制度を継続し効果的な環境投資を行なうことで環境負荷の低減を図ります。 このため今年度から2002年度を対象とした環境中期計画を策定しました。 具体的な施策は、廃棄物ゼロエミッションの実行や化学物質排出量の削減、売上高CO排出量原単位の改善、 鉛フリーはんだの採用、HCFCの全廃などで、本計画の実行のために毎年80億円規模の設備投資を実施します。 今年度の主な投資内訳は、(1)水質汚濁防止:27億円(2)省エネ:20億円(3)研究開発:16億円です。 当社はこうした諸施策を計画的に実行することで、循環型社会の構築に先導的な役割を果たすことをめざします。

集計対象 東芝本体および、国内製造関係会社44社、国内環境関係会社2社、海外関係会社14社
対象期間 1999年4月1日~2000年3月31日
みなし効果算出方法 環境基準をもとに、排気関係はSO換算、排水関係はカドミウム換算し、 それぞれ米国EPA酸性雨プログラムに基づく排出権取引のSOx取引額とカドミウム公害の賠償費用を乗じて金額を算出した

環境保全コスト

(単位:億円)

効果

(単位:億円)
*マイナス効果は、生産増により削減効果以上の環境負荷の増大があったことを示す

(ご参考)

効果の内訳

(1)直接効果

(2)みなし効果

*総合効果について(ご参考)

今回当社は効果について「直接効果」「みなし効果」のほかに、参考値として「総合効果」という独自基準も算出しました。 これは、事業活動によって産み出された粗利や減価償却費などの付加価値と、 工場総費用に占める環境保全コストの割合とを勘案して算出したもので、 環境対応に使った費用によって産み出された付加価値の環境保全効果を想定したものです。 これによると、昨年度の総合効果は380億円(うち東芝本体は238億円、関係会社は142億円)で、 環境保全コスト376億円と比べると費用対効果はほぼバランスがとれていると考えられます。


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