ソニー・コンピュータエンタテインメントと、IBM、東芝、ブロードバンド時代に向けた超並列プロセッサの共同研究および開発に合意

2001年3月12日

米国Austinで共同開発拠点設立へ

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント
IBMコーポレーション
株式会社 東芝

 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCEI)、 IBMコーポレーション(以下、IBM)、株式会社東芝(以下、東芝)は、 日本時間3月9日(米国現地時間3月8日)、次世代のブロードバンド・ネットワーク時代の基幹となる、 汎用プロセッサのアーキテクチャの研究・開発に着手することで基本合意いたしました。

 コンピュータ・エンタテインメントの世界におけるSCEIの強力なリーダーシップと将来へのビジョン、 IBMの卓越したコンピュータ・システム技術力と先端的な半導体技術、 東芝の民生機器を中心としたシステムLSI開発・製造技術を相互に結集し、 3社は今後5年間にわたり総額4億ドルを超える投資を行い、 新しい概念に基づくスーパー・コンピュータ・オン・チップの開発に取り組みます。

 今回の合意に則り、三社は共同で米国テキサス州オースティン市のIBMの施設内に、'共同研究・開発センター'を設立します。 当面は初期研究段階として、少数の精鋭コンピュータ・アーキテクトとLSI設計チームが集結し、 開発がピークに達する時点では約300名のエンジニアが、本プロジェクトに参加する計画です。

 コードネーム:CELLと命名された新マイクロチップは、銅配線、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、 低誘電体層間絶縁膜などの世界最先端の半導体製造技術を採用する事により、 人間の髪の毛の千分の1(0.1ミクロン)という極めて微細な線幅での加工を想定しています。 これらにより、「ディープブルー」(チェスの世界チャンピオンと対戦)の愛称で知られるIBMのスーパー・コンピュータよりも高性能で、 低消費電力の民生機器向けプロセッサの実現が可能になります。 一つの'CELL'は、テラFLOPS(*)級の処理能力実現を目指して開発されます。 人間の総演算能力は1京回の浮動小数点演算(10ペタFLOPS)と推定されています。

 今回の合意のもと、3社は様々な分野に向けてそれぞれが新しいプロセッサの製造を行います。

 「誰もが夢見ていた世界に向け、これまで想像も出来なかったプロジェクトが今スタートしようとしています。 この開発により生み出される'CELL'と命名されたプロセッサは、 これまで単独で存在していたマイクロ・プロセッサがブロードバンド網により相互に密結合されて行く、 新たなパラダイムの幕開けとなるでしょう。 現在、個別に存在しているマイクロ・プロセッサは、将来相互にしっかりと結びつき、 ブロードバンド・インターネット網そのものを構成していくでしょう。 'ディープブルー'を超える演算能力を持つ一つ一つの'CELL(細胞)'が有機的に数千個密結合して、 一個の生体'BODY(身体)'へと進化します。 そしてそれらが世界中で無数に光ファイバーで接続されて真のブロードバンド網が生まれ、 柔軟なスケーラビリティで世界中に広がっていきます。数年後を目指した航海に、 IBMと東芝と共に乗り出せる興奮を、今感じています。」(SCEI代表取締役社長:久夛良木 健)

 「私どもは次世代コンピューティングを、 コンピュータ・インテリジェンスと幅広いネットワーク・アクセシビリティをコンシューマ・エレクトロニクス分野に提供するものと定義しています。 その結果、IBMの先端チップ・テクノロジーは今まで以上により広く使われていくでしょう。 このプロジェクトには、米国ニューヨーク州イーストフィッシュキルのIBMの新最先端300mm半導体製造施設の相当の部分を担当させていきたいと考えています。」 (IBMシニア・バイス・プレジデント&グループ・エグゼクティブ-テクノロジー・グループ:ジョン・ケリー)

 「東芝の最先端の民生用システムLSI技術と量産技術が、 今回の次世代プロセッサの開発に貢献する機会を得た事に、大変エキサイトしています。 IBMとSCEIと共に、東芝の高性能システムLSI技術を持ち寄ることにより、 ブロードバンド・ネットワークで急速に拡大する市場に向けて革新的なプロセッサを使った強力なソリューションを提供することが可能になります。 そして、将来のデジタル家電を中心とした半導体市場のリーダーとしてのポジションを目指したいと考えています。」 (東芝取締役専務、セミコンダクター社 社長:森本 泰生)

 SCEI、IBM、東芝の3社は、今回の新しいプロセッサの開発を通して、 最先端の半導体技術に支えられたブロードバンド・ネットワーク技術の研究・開発、 将来のブロードバンド・ネットワーク上でのエンタテインメント、情報、 コミュニケーションなどの新たなサービスや製品の開発促進に、今後とも貢献して参ります。

(*)テラFLOPS:1テラFLOPSは毎秒1兆回の浮動小数点演算に相当します。


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