ナノ・スケールの単一電子現象を応用した暗号処理用超小型物理乱数生成回路の開発について 2002年12月5日
当社は、ナノテクノロジーの一つである、ナノ・スケールの半導体素子において特徴的に現れる単一電子現象を利用することにより、暗号処理チップの超小型化・省電力化を可能にする高レベルの物理乱数生成回路を開発しました。 現在、個人情報を保有している電子機器の多くには、情報漏洩防止のために、機器の回路内において、暗号技術が使われており、個人データを暗号鍵にて暗号化し、情報を保護しています。この暗号鍵が外部に漏れると、暗号化した個人情報を復号化することができるため、暗号鍵を読み出せないように、乱数を用いて多段的に暗号化するという処理が行われます。乱数が真にランダムなものでないと、この処理の効果が脆弱になります。 当社は今回、電子1個が通れるほどのナノ構造において、電子が準不安定な場所を選んで不規則に流れるという単一電子現象に着目し、単一電子素子の回路としての不安定さを乱数生成に応用し、外付けの回路も不要で、かつ極めて不規則で非周期的な信号を抽出できる回路をつくることに成功しました。 本乱数生成回路の特長は以下のとおりです。
本開発成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受けて実施した量子化機能素子での研究成果を土台として、これをIT分野に応用し、通信・放送機構(TAO)からの委託研究により、実施したものです。 なお、この乱数生成回路は、12月9日より米国サンフランシスコにて開催される電子デバイスの国際会議IEDM(IEEE International Electron Devices Meeting)にて論文発表します。本論文は、ハイライトペーパー(注目すべき論文)に選ばれております。 |
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