デジタル放送受信機向けシステムLSIチップセットの製品化について

2005年9月26日

フルHD(1080p)表示対応デジタルテレビに向け今月より量産開始

東芝 デジタル放送受信機向けシステムLSIチップセット「TC90411XBG」(左)「TC90111XBG」(右)

 当社は、デジタル放送受信機向けシステムLSIの新製品として、CPU、MPEG-2デコーダ、グラフィック、高画質化処理の機能を統合した「TC90411XBG」およびHDMI等の多彩な外部入力のインタフェース機能を搭載した「TC90111XBG」とで構成されるチップセットを開発しました。本チップセットを使用することにより、デジタル放送受信機においてフルHD(High Definition)表示の高画質化が可能となります。本チップセットは、今月より量産を開始します。

 新製品「TC90411XBG」は、現在放送されているBSデジタル放送、110度CSデジタル放送および地上デジタル放送に対応可能です。新製品は、圧縮されたデジタル放送の映像を伸張するMPEG-2デコーダ、これらを制御するCPU、グラフィックエンジン、高画質化処理までを1チップで実現しています。
 また、機能をアプリケーションにあわせて自由にカスタマイズすることが可能な当社独自開発のマイクロプロセッサ「MeP」(Media embedded Processor)を搭載しています。MePはオーディオ、ビデオを専用で処理するコプロセッサとして内蔵し、メインプロセッサを全体システムの制御に専念させることにより、トータルシステムの効率化を図っています。
 また、各種インタフェース機能として、USBやSDカードのホストコントローラを搭載していますので、他のデジタル機器と接続させる場合も設計が容易になります。
 さらに別チップとして開発した外部入力用の「TC90111XBG」は、高画質なフルデジタル処理のHDMI入力、コンポーネントをはじめとする多彩な外部からのAV入力に対応することも可能としています。

 なお、本製品は10月4日から幕張メッセで開催するCEATEC JAPAN 2005にて展示する予定です。

開発の背景とねらい

 地上デジタル放送が開始されて以来、放送エリアの拡大に伴いデジタルテレビの普及が大きく促進されました。地上デジタル放送においてもHD映像が配信されるようになり、高画質化が進んでいます。それに伴いFPD(フラットパネルディスプレイ)も大型化、フルHD化が進んでおり、HD映像の解像度を保ったままパネルに出力することが必要となっています。これには、高い演算処理能力、メモリ処理能力が必要とされるため、当社は、独自の画質補正回路を開発し、高速処理の可能なDDR2-SDRAMを採用することにより、フル解像度である1080pを出力可能なデジタル放送受信機向けシステムLSIチップセットを開発しました。

新製品のおもな特長

1. ハイビジョン放送信号の水平1920画素を圧縮することなくip変換、ノイズリダクション、高画質化補正処理を行うことが可能で、フルHDパネル解像度の1080p出力が可能となり、高精細な映像を表現することができます。また、パネル表示用出力にはLVDS形式を採用しており、FPDとの接続が容易です。
   
2. 従来のDDR-SDRAM(動作周波数166MHz)に対し、DDR2-SDRAM(動作周波数333MHz)に対応したことにより、処理性能を向上させました。また、画質補正機能をチップに内蔵することで、MPEGデコードをはじめとする他の機能とのUMA(Unified Memory Architecture)の効率を改善しました。
   
3. 高画質化補正処理の、画質補正からRGB変換処理ブロック間において、輝度・色差信号ともに多階調処理を行うことで、階調再現性やディテール表現力が向上しました。また、新たに入力映像信号をヒストグラム検出により高精密分析し、内蔵CPUにより高速処理し、階調補正を含む各種テンプレート及びレジスタ値をフレームごとにリアルタイムで書き換えるアーキテクチャーを採用しました。
   
4. 社団法人電波産業会(ARIB)が定める規格に準拠しているため、日本国内のBSデジタル放送、110度CSデジタル放送および地上デジタル放送の対応が可能です。また、すでに放送が開始されている米国のデジタル地上波放送(ATSC)の規格にも対応しているため、米国市場向けの製品にもご使用いただけます。

新製品のおもな仕様

新製品のおもな仕様

新製品のおもな仕様

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