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当社は、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーを融合し、MEMS(微細な機械装置)から発する微小な振動により、ナノサイズの微粒子を細胞内に導入する操作技術を初めて開発しました。 本技術は、レーザー光などで細胞に物理的作用を及ぼす従来手法に対し、多数の細胞を同時に扱えるなどの利点があり、バイオ分野において、細胞の物理的な作用に対する反応や詳細な性質を調べる医科学分析ツールとしての応用や、将来的に特定の細胞に作用を及ぼす手法への応用が期待されます。
本技術の原理は、MEMSの振動によって、溶液中で微粒子が細胞表面に吸着するよう促し、さらに細胞表面に止まった状態の微粒子に振動を与え続けると、振動が熱エネルギーに変換されて細胞表面に物理的な作用を及ぼし、さらに微粒子が細胞に導入されるというものです。 今回、半導体の微細加工技術を用い、撥水処理した約20μm角のMEMS振動台を格子状に多数配置した装置(微粒子マニュピレータ)を作製し、酵母菌とシリカ(ガラス)の微粒子を内包した微量な液滴を用いた実験により原理を実証しました。
当社では、今回の技術について、将来的に、種々のナノマテリアルとMEMSにより励起される物理的エネルギーの様々な組み合わせを検証し、化学的手法を使わずに特定の細胞に選択的に作用を及ぼす新たな手法としての活用を検討していきます。 また、今回のMEMS構造は、機械駆動部を数μm角程度まで微細化することが可能であり、細胞の種類に合わせた構造の最適化や、細胞を扱う以外のナノマニュピレータへの応用も図ります。
なお、本技術については、半導体技術に関する世界有数の国際学会IEDM(International Electron Devices Meeting、米国ワシントンで現地時間12月5日から開催)において、半導体エレクトロニクスの新領域を開拓する技術に関するセッションで速報(レートニュース:最新の成果)として発表しました。
参考資料(180KB/PDFデータ)