世界最速・最大容量の16メガビットMRAMを開発

2006年2月7日

携帯機器向け低電圧動作も実現

株式会社 東芝
日本電気株式会社

 株式会社東芝(以下、東芝)と日本電気株式会社(以下、NEC)は、世界最高速の1秒当たり200メガバイトの読み書き速度と、世界最大容量の16メガビットを両立し、さらに1.8Vの低電圧動作を実現したMRAM*1を共同で開発しました。

 従来のMRAMでは、書き込み用の磁場を起こす電流駆動回路が、周辺のセルの読み出し動作に電気的な悪影響を及ぼし、高速化しにくい課題がありました。
 今回開発したMRAMは、読み出しと書き込みの経路を分離できる配線構成に改良して高速化を実現すると同時に、この配線構成を生かし、書き込み電流を部分的に分岐させて配線の電気抵抗を約38%低減しました。
 これにより、データ転送速度(バンド幅*2)が1秒当たり200メガバイト、動作速度(サイクルタイム*3)が34ナノ秒と、いずれも16メガビットMRAMとして世界最高速処理に加え、携帯機器での使用に適した1.8Vの低電圧動作を実現しています。
 さらに、配線構成の改良に加えて全般的な設計の最適化を行った結果、従来方法で製造した場合に比べチップサイズを約30%削減し、16メガビットMRAMとして世界最小の78.7mmを実現しました。

 なお、今回のMRAM開発は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成により、東芝とNECが共同で行ったものです。
 今回の成果については、米国・サンフランシスコで開催されている国際固体素子回路学会(ISSCC2006)において2月6日(現地時間)に発表しました。

(注) *1 MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory):磁気抵抗変化型ランダムアクセスメモリ
  *2 バンド幅:単位時間当たりのデータ転送能力
  *3 サイクルタイム:データの格納されているアドレスを指定し出力させるまでの所要時間

今回開発したMRAMの主な仕様

今回開発したMRAMの主な仕様

(補足説明)書き込み配線の電気抵抗低減のしくみ
 下図のように部分的に書き込み電流を分岐させる配線方式を採用し、1書き込み配線あたりの抵抗値を約38%低減しました。
従来の抵抗値をRとした場合、今回方式では、R/2+R/2/4=5/8R=0.625R

(補足説明)書き込み配線の電気抵抗低減のしくみ

プレスリリース記載の情報(製品価格/仕様、サービスの内容、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。最新のお問い合わせ先は、東芝全体のお問い合わせ一覧をご覧下さい。