「万年自鳴鐘」の重要文化財への指定について

2006年3月17日

 当社が所有する万年自鳴鐘が、本日の文化審議会の答申を受け、平成18年度の新指定重要文化財として、本年6月に文部科学大臣から指定をうける見通しとなりました。

 万年自鳴鐘は、当社の創業者である田中久重が1851年に製作した和時計で、1度ぜんまいを巻くとおよそ1年間動くことを意図して作られたものです。時計本体の6面では、季節によって一時(いっとき)の長さが変化する和時計、西洋の懐中時計、月の満ち欠け、二十四節気、干支、カレンダー機構など様々な表示ができるようになっているほか、天頂部では太陽と月の軌道が自動的に運行されるようになっています。時計という西洋の近代技術に、自然と調和して生きる日本人の生活スタイルとを融合させた、独創性に優れた世界に類のないオリジナルの作品です。昨年、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「江戸のモノづくり」の主要プロジェクトとして、万年自鳴鐘の調査を行い、機構部分の詳細を明らかにするとともに、当社の創業130周年を記念してそのレプリカをつくり、愛知万博で展示を行いました。

 今回、文化審議会から「わが国と外来の機械工作技術や天文・暦の知識、そして工芸技術を融合した和時計の最高傑作であるとともに、幕末の精密機械工作技術の水準を物語る貴重な資料である」と評価され、重要文化財に指定される見通しとなったものです。
 当社所有の万年自鳴鐘が、重要文化財に指定されることは、大変名誉なことであり、その意義、重要性を十分に認識し、今後も万年自鳴鐘の価値の維持・保存に努めてまいります。
 なお、万年自鳴鐘は、現在、独立行政法人 国立科学博物館に寄託されており、国立科学博物館で展示されているとともに、東芝科学館にもレプリカを展示しています。

万年自鳴鐘 概要
  万年自鳴鐘は、高さ約60cm、重さ約38kgの螺鈿や蒔絵などの装飾をほどこした外装と、種々の機構と機能を持つ和時計です。万年時計は2組の真鍮製ゼンマイを動力として、1度巻くと約1年動くと推定されます。6面にはめ込まれた各種の時計が動き、鐘を鳴らし、天頂部のプラネタリウムが動きます。第1面は、九から四まで昼夜を各六等分した文字盤の割り駒式和時計が外側にあり、内側に立春や夏至などを示す二十四節気の文字盤があります。第2面は、その年の二十四節気を示し、その年ごとの二十四節気の日にちを書き込むメモ板付きです。第3面は、曜日と鐘数を示し、第4面は旧暦の十干十二支で日を表すカレンダー面、第5面は月の満ち欠けを黒と銀で塗り分けた球を動かすことで示し、周りには陰暦の一ヶ月の日にちを示す文字盤と針があります。第6面は、フランス製とされる懐中時計がはめ込まれています。また、半球のガラスをはめた天頂部では、季節によって変わる太陽と月の軌道が自動的に運行されます。

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