車載向けモーター制御用16ビットDSPの発売について

2007年3月05日

電動パワーステアリングやカーエアコンの精密な制御を実現

 当社は、電動パワーステアリング(EPS)やカーエアコン向けコンプレッサーなどに用いるモーターを高精度に制御できるデジタル信号処理プロセッサー(DSP)「TMP77FM70TUG」を開発し、本日からサンプル出荷を開始します。

 従来、EPS向け電子制御システムは、システム制御とモーター制御を1つのメインマイコンで行うものが主流でした。当社は、システム制御とモーター制御の機能分割を実現する車載向けモーター制御用DSPを開発することで、動作周波数の低周波化による消費電力の低減、機能分割による将来的なパフォーマンス向上、機種展開の容易性など、効率的な制御とフレキシビリティを備える新しいソリューションを提案します。

 新製品は、高速処理を実現する回路構成として、命令とデータを同時に参照できるハーバード・アーキテクチャ*1を取り入れた当社独自の16ビットDSPコアを搭載しています。また、2ユニットのアナログデジタル(AD)変換器で2系統のモーター電流波形を同時に2マイクロ秒毎に変換するほか、モーター駆動用の三相PWM回路*2は最小分解能25ナノ秒での出力を実現しています。

 これらの機能により、モーターからの外部信号の入力精度が高まり、かつ出力信号の分解能を細かく設定することで、より精密な制御が可能となり、EPSの操舵感の向上やカーエアコンのコンプレッサーの振動低減など、車載モーターアプリケーションの高性能化を実現します。

*1 プログラムメモリとデータメモリが独立した領域をもつ回路の構造。
*2

PWM(Pulse Width Modulation):出力電圧を安定化させるための制御方式

新製品の概要

新製品の概要

開発の背景と狙い

 地球環境に配慮し、燃費の向上を目指す自動車メーカーでは、従来の油圧式パワーステアリングのように油圧ポンプを回す必要がなく、必要なときにモーターで駆動力をアシストすることで燃費を改善できるEPSを採用する動きが拡大されつつあります。また、自動車用エアコンのコンプレッサー駆動に最も効率がよいベクトル制御を採用するケースが増えているため、三相PWM出力のほかに、高速な演算とAD変換が可能なプロセッサーへのニーズが高まるなど、より効率的で、精緻な制御が可能なシステムが求められています。
 当社は、こうしたニーズに応え、高速積和演算器を備えた独自開発の16ビットDSPコアをベースに、システム制御とモーター制御の機能を分割して行う新しいコンセプトのシステム提案が可能な車載向けモーター制御用のDSPを開発しました。

新製品の主な特長

1. モーター応用システム向け電子制御ユニットをシステム制御用メインマイコンとモーター制御用の本製品で構成することにより、システム側、モーター制御側いずれかに機能拡張が必要になった場合に、各部品の交換により対応が可能です。
2.

システム制御とモーター制御の機能分割により並列処理化することで、構成部品の動作周波数を低周波化できます。これにより、低ノイズ化、低電流化が実現できます。

3. PWMやタイマーと同期することが可能なAD変換器(変換時間2マイクロ秒)を2ユニット搭載しているため、2系統の外部信号を同時に高速変換可能です。最大8ch(4ch×2ユニット)まで自動で変換できます。
4. モーター制御用にデットタイム付加機能付き三相PWM出力を1ch内蔵しています。16ビットのアップダウンカウンターを持ち、最小分解能は25ナノ秒のPWMキャリア周波数を生成できます。また、EMG信号入力により、三相PWM出力の緊急停止が可能です。

新製品の主な仕様

新製品の主な仕様

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セミコンダクター社
車載営業推進部   
TEL 03(3457)3428

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