放送局用の映像制作・編集システムでの協業について

2007年4月09日

両社の技術力を生かし、フラッシュメモリを採用した機器を共同で開発

池上通信機 株式会社
株式会社 東芝

 池上通信機株式会社(以下、「池上通信機」)と株式会社東芝(以下、「東芝」)は、全世界的に進行する放送のデジタル化・HD化の中で、今後テレビ放送局や番組制作会社向けに需要拡大が見込まれる新世代の映像制作・編集システムの分野において、新たなコンセプトに基づいたシステムの共同開発から製造、販売を含めて両社でグローバルな協業を進めていくことで基本合意しました。

 本合意に基づき、池上通信機と東芝は、2008年4月の発売開始を目標に、記録媒体として半導体フラッシュメモリを採用した放送業務用カメラ、レコーダー等の共同開発を行うとともに、これらの商品を中心として、収録からアーカイブまでの全てをカバーする新世代のテープレス映像制作・編集システムに関して、両社共同でコンセプト提案と受注活動を行っていきます。

 なお、両社は、今回の協業に基づいて開発を進める具体的な製品群について、アメリカのネバダ州ラスベガスで本年4月16日より開催される「2007年全米放送協会展」(NABショー2007)において、概要を発表いたします。

両社の協業の背景

 近年、全世界的に放送サービスのデジタル化、HD化への移行や、大画面ディスプレイを有したテレビ受像機の急速な普及が進むなか、放送局内の制作・編集システムのHD化・ネットワーク化へのニーズが高まっています。
 現在、放送局内の制作・編集システムは、ビデオテープを中心とする「リニア編集システム」と、ハードディスクなどの記憶媒体を採用したノンリニア編集機とネットワークサーバを組み合わせた「ノンリニア編集システム」が混在する形となってきていますが、放送の多チャンネル化やデジタル化、HD化を背景に、映像素材の収録段階から、編集、共有、アーカイブ段階までの一連の工程のシームレスなテープレス化、ネットワーク化を進めることで、作業時間、運用コストの低減と生産性の大幅な向上を実現する新世代の映像制作・編集システムのニーズが高まっております。

フラッシュメモリを採用する理由

 ハードディスクや光ディスク、フラッシュメモリなど、コンピュータやネットワークとの親和性の高い電子記録媒体(以下、「テープレスメディア」)の高度化、大容量化、低価格化が進展する中で、放送局内システムにおいても、直接ノンリニア編集機で編集が可能となるテープレスメディアへの期待が高まっています。特に、テープレスメディアの中でも半導体のフラッシュメモリは駆動部分がないため、光学式ディスク等と比較して、気温の大きな変動や衝撃、振動などに強く、映像カメラによる素材収録段階において求められる厳しい環境下で高い信頼性が確保できます。フラッシュメモリ製品は大容量化が進み、携帯電話やデジタルカメラ用のメモリカードなどの民生用中心から、放送局用のシステムなど業務用のニーズへ大きく市場も拡大しつつあります。

両社の強みの融合による新たなコンセプト提案へ

 池上通信機は、1995年に、放送業務用としては世界で初めてハードディスクを記録媒体として採用し、ノンリニア編集機との高い親和性を実現したカメラレコーダー「Editcam(エディカム)」を発売、2006年にはHDに対応した「Editcam HD (HDN-X10)」の販売を開始するなど、テープレスレコーディングの分野では他社に先駆けて、商品展開を図ってきました。また、テープレスカメラの導入により大きく省力化される撮影から編集、送出、アーカイブまでのワークフローを構築し、テープレスのネットワークソリューションを提案しています。

 東芝は、1996年、世界で初めてNAND型フラッシュメモリを記録媒体とした放送業務用ビデオサーバー「VIDEOS」を商品化し、高信頼性、高速レスポンス、メンテナンスフリーなどの高い運用性の実現により、CM(コマーシャル)バンクシステム及びVAF(Video Audio Filing)システムとして、日本の多くの放送局に採用されています。また、フラッシュメモリの大容量化、低価格化にともなって、長時間の収録時間を要するニュース送出サーバや番組送出サーバ等への「VIDEOS」の商品ラインアップ展開を図るとともに、「VIDEOS」を核としたサーバとネットワークによる次世代の放送局内システムコンセプト「Workflow Innovation」を提案しています。

 池上通信機と東芝は、今回の協業により、両社の技術力を結集し、取材現場におけるカメラでの素材収録から、放送局内での制作・編集作業、完成映像データの送出、アーカイブまでのワークフロー全体を、フラッシュメモリメディアとネットワークでシームレスに統合することにより、放送業務の運用効率化、業務改善を実現していきます。

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