半導体製造ライン向けIPA除去装置の開発について

2008年6月4日

株式会社 東芝
大日本スクリーン製造株式会社

 株式会社東芝(以下「東芝」)と大日本スクリーン製造株式会社(以下「大日本スクリーン」)は、半導体製造ラインの洗浄工程で、ウエーハ洗浄装置から揮発により大気中に放出されるIPA(イソプロピルアルコール)を約75%除去する装置を共同開発しました。本装置については、東芝の四日市工場と大分工場で導入を予定しています。

 共同開発した装置は、ウエーハ洗浄装置内部に設置可能な排気と排液を分離する気液分離ボックスで、排気からIPA蒸気のみを効率よく捕集し、排液に溶解除去させることで、排気中のIPA濃度を大幅に低減するものです。開発にあたっては、東芝が基本コンセプトの技術提案を行い、大日本スクリーンが洗浄装置に内蔵するための装置設計などを担当しました。

 これまで、IPAは製造ラインの外に設置された室外除害装置で除去されていましたが、今回開発した装置を用いることで、既設のウエーハ洗浄装置等でも気液分離ボックスの改造等により、IPAを洗浄装置内で効率的に除去し、総排出量を削減することができます。なお、排水中に溶解させたIPAは工場内などの排水処理施設で生物分解処理により無害化することが可能です。

 近年、半導体製造に関わる処理プロセスの高度化や生産量の増加に伴い、各製造工程で使用される化学物質の排出量も増大しています。このため、環境負荷低減の観点から、これら大気汚染物質のひとつであるVOC(揮発性有機化学物)の浄化・無害化が急務となっており、その中でもウエーハ洗浄工程で使用されるIPAの排出濃度および排出量削減が、化学物質管理において大きな課題となっています。

 東芝グループでは、「廃棄物発生量の削減」について様々な施策に取り組んでおり、今回の開発はその一環として、IPA排出量の削減に取り組むものです。今回得られた成果については、2009年度より四日市工場、大分工場から順次導入を目指すとともに、今後も装置メーカーと連携し、環境に配慮した製造プロセスを追求していきます。

 大日本スクリーンでは、今後も東芝と協力し、IPA除去効率の向上をはじめとする環境負荷低減への活動を積極的に推進します。また、本装置について外販を進めることで、半導体メーカー各社の環境活動に配慮した取り組みをサポートし、業界の発展と地球環境の保全に貢献していきます。

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