ニュースリリース

ランディス・ギア社の株式取得について

スマートコミュニティ事業のグローバル展開を加速
2011年05月19日

 本日、当社は、スイス法人であるランディス・ギア社(Landis + Gyr AG、以下 L+G社)の全ての株主及びワラント保有者が保有する全株式の取得に関する契約を締結しました。買収額は23億ドル(1,863億円、81円/ドルで換算、純負債額含む)です。今後、当社とL+G社は、行政許認可などの諸手続を経て、株式取得手続きを完了する計画です。

今回の株式取得の意義

 現在、世界各国において、低炭素化の取組みや急速な経済成長に合わせたインフラ整備のためにスマートグリッドの構築に向けた取り組みが推進されており、今後10年で約6倍の5兆8,000億円の市場規模へと拡大が予測されています。また、最近では、電力供給を中心とした狭義の「スマートグリッド」から、都市環境やインフラのインテリジェント化を目的とした街全体のトータルソリューションを提供する「スマートコミュニティ」といったより広い概念での取り組みが活発化しています。

 このような背景のもと、低炭素社会実現に資する環境調和型事業を推進している当社グループは、スマートコミュニティ事業を将来に向けた新たな注力事業と位置付けています。L+G社は、世界に8,000以上の顧客を有する、スマートグリッドのキーコンポーネントであるスマートメーターのリーディングカンパニーであり、世界各地域で有力な営業網を有しています。L+G社は、スマートメーターのデータを収集する高度な双方向通信技術から 収集データを用いたアプリケーションサービスまでのメーターシステムを一括して提供することが可能であるとともに、先進的な通信技術とそれらを活用したサービス事業を有しております。このL+G社の顧客網・サービス事業及び技術と、当社がノウハウを持つ電力会社等のユーティリティ企業、およびビルや家庭等の需要家向けのエネルギーマネジメント技術との補完関係により、エネルギーサービスに不可欠な計量管理からクラウドを用いたサービス領域までをワンストップで担当することが可能となり、エネルギー総合管理を核としたスマートコミュニティの新たな事業領域に進出し、相乗効果を発揮することができます。

 L+G社を当社グループの一員として迎えることにより、スマートグリッド及びスマートコミュニティ事業の展開を加速させ、この事業分野で、当社は、売上高を現状の約3,000億円から2015年度に約7,000億円を目指します。

注:富士経済調べ

L+G社について

 L+G社は、エネルギー計測で116年の歴史を持つ国際的企業で、世界約30の国と地域に事業展開しており、各地の公共事業体向けに、電気、ガス、水道メーターの設計、製造、販売を行なってきました。近年では、スマートグリッドのコア製品であるスマートメーターに加え、データ通信、計測データ管理、サービスなどの製品を提供できる世界的なトップ企業としての地位を確立しています。

当社のスマートコミュニティ事業について

 当社は、スマートコミュニティ事業を推進するため、昨年10月1日付けで社長直轄組織の「スマートコミュニティ事業統括部」を設立しました。さらに、本年4月には、T&D(送変電・配電)事業や鉄道システム、自動車システム、二次電池等の社会インフラシステム事業を統合した新しい社内カンパニー「社会インフラシステム社」を設立し、スマートコミュニティ事業の推進体制の強化を図っています。

 当社は、これまで国内をはじめ、米国、フランス、インドなど世界各地の実証事業プロジェクトや国際標準化活動に参画するなど、スマートコミュニティ関連事業に積極的に取り組んでいます。今回、L+G社の買収によって、当社グループとL+G社とのシナジーを発揮させるとともに、クラウド、ソリューションを中心に他社との提携関係も推進し、グローバルにスマートコミュニティ事業を展開していきます。

株式取得後の事業運営

 当社は、L+G社とともに総合エネルギーソリューションを実現するためのハードウェア及びソフトウェアの標準方式を確立し、スマートグリッド及びスマートコミュニティ製品とサービスを世界に提供していきます。

 L+G社は、当社の連結子会社となった後も、世界各国の拠点の資産、設備、従業員、商標等の権利を保持し、当社との補完関係を生かして事業の拡大、強化を図ります。今後、低炭素化社会実現に向けた欧州、米国や、社会インフラの整備が急務な中国、インド、ブラジルで受注拡大を目指します。

 L+G社と当社のエネルギーマネジメント技術が補完し合うことで最大限に相乗効果を発揮し、新たな事業機会を創造するため、共同で今後の事業戦略を構築、共有し、事業運営にあたります。さらに、クラウド、ソリューションを中心に他社との提携関係も推進し、グローバルにスマートコミュニティ事業を推進していきます。

今後の見通し

 本件による2011年度業績に与える影響は未定です。

L+G社の概要

創業 :1896年
資本関係 :プライベートエクイティファンド及び個人株主
最高経営責任者 :社長 アンドレアス・ウンバッハ(Andreas Umbach)
売上高 :約15億3,300万 米ドル
従業員数 :約5,000人
本社所在地 :スイス ツーク(Zug)