ニュースリリース

利用状況に応じてネットワーク経由でPCの省電力設定を制御

2011年09月21日

 

日本アイ・ビー・エム株式会社
株式会社 東芝

  日本アイ・ビー・エム株式会社(社長・橋本孝之、NYSE:IBM、以下 日本IBM)と株式会社東芝(社長・佐々木則夫、TOKYO:6502、以下 東芝)は、東芝の企業向けPCとIBMの管理ソフトウェア「IBM Tivoli Endpoint Manager(以下 TEM)」の連携により、堅牢なPCセキュリティや省電力などを実現する先進ソリューションを共同で開発してきました。今回、実際の企業の使用環境においてその省電力機能の実効性を測定する中で、PC使用者に過度な負担をかけず業務生産性を維持しながらも、平日9時~20時のPCのAC消費電力の約47%削減を実現できることを確認しました。

 不安定な電力供給が懸念される中、今冬や来夏に向け、社員への過度な負担や業務効率への影響が伴う一時的対応ではなく、管理者が状況に応じて柔軟に調節できる持続可能な節電の仕組みが求められています。今回実証した省電力ソリューションでは、PCのAC電力消費を実測して見える化し、利用傾向で分類したユーザーグループごとに、省電力設定をネットワーク経由でユーザーに意識させることなく設定・変更し、会社全体として業務生産性への配慮と確実な節電効果の両方を実現することができます。

 今回両社は、株式会社東京精密(東京都八王子市)で、8月22日から9月7日まで省電力ソリューションのテスト運用を実施しました。テスト運用では、部門ユーザーグループごとのPCの利用傾向に応じた省電力設定を、管理者がネットワーク経由で行いました。たとえば、内勤で管理業務の割合が多い利用者のPCには、より積極的な省電力設定を行う一方、画像解析などの技術用PCはディスプレイの輝度を高くしたり、またCAD作業中同時に仕様書等の確認に用いられるノートPCには、スリープに移行するまでの時間を長めに設定すると共に処理速度や輝度は低めにするなどきめ細かい設定を行いました。さらに、ユーザーごとのバッテリー利用に配慮しながら、昼間一部の時間帯を夜間に充電したバッテリーで稼働させるピークシフトを実施しました。

 また、利用者からの意見をもとに、業務生産性への影響を評価し、節電設定によるユーザーの不便、不都合を軽減するよう調節していきました。その結果、事業所内で使われるPC1台あたりの総電力使用量を約30%削減 (特に政府が掲げた節電目標15%の対象となる平日9時~20時ではAC電力使用量の約47%を削減)することに成功しました。(いずれも東芝製の2010~2011年モデルのビジネスノートPCを用い、Windows® 7注1の電源オプション設定の「バランス」を選択した場合との比較) この結果はPCに使われる電力料金を40%程度削減することに相当します。また様々な省電力設定がユーザーの業務生産性に及ぼす影響や、影響を緩和しソリューションの実効性を高めるために有用な知見を得られました。

 今回のテスト運用では、IBMのTEMサーバーから専用ソフトウェアを導入した東芝ビジネスPCに対して、ネットワーク経由で省電力設定、ピークシフト設定の制御を行うと同時に、東芝ビジネスPCのハードウェア機能を用いてPCのAC消費電力を実測し、TEMサーバーに収集、省電力、ピークシフトの効果を可視化しました。

 東芝は、当ソリューションに対応した製品を、今年度中に企業向けに投入していく予定です。日本IBMは当ソリューションに対応したソフトウェアを東芝に提供していく予定です。また、今回検証した省電力ソリューションの機能拡張、ハードウェア機能による起動制御を活用したセキュリティソリューションの機能拡張、可用性向上への応用、各種機器への対応、さらにIT資産管理システムやビルマネジメントシステムと連携することにより、業務と結びついた全社規模での最適制御を可能とする広範な管理運用ソリューションへの展開を検討していきます。

 今後、両社は引き続き、「PC省電力ソリューション」や「堅牢かつ柔軟なPCセキュリティ運用管理」をはじめとして、「エンドポイント・マネジメント注2」に関する技術分野において協業していきます。

注1
Windowsは米国Microsoft Corporationの登録商標です。
注2
エンドポイント・マネジメント:PC、スマートフォンやスマートメーター、バッテリーなどネットワークに接続された機器など様々な対象の計測・制御・管理を可能にする技術。