ニュースリリース

車載向け画像認識用LSIの製品化について

2011年10月13日

 

車載向け画像認識用LSI「Visconti(TM)2」シリーズの写真

 当社は、車載向け画像認識用LSI「ViscontiTM2(TMPV7500)」注1シリーズを製品化し、11月からサンプル出荷を開始し、2012年9月から量産を開始します。

 「Visconti TM 2(TMPV7500)」シリーズは、カメラからの入力映像を処理し、自車周辺の車線、車両、歩行者、標識などを認識する車載向けの画像認識用LSIです。

 「TMPV7506XBG」は、人物認識に適した当社独自の画像処理アクセラレータを搭載したことで、従来の夜間歩行者検知に加え昼間の歩行者検知もリアルタイムに可能になります。また、新たに高解像度カラーカメラに対応するため、検知対象の明暗だけではなく色を識別することができ、信号色や標識の認識が可能になります。さらに、最大4台のカメラの同時接続が可能となり,自車画像と4つのカメラ映像を合成できるようになったため、上空から見下ろしたような映像を生成する駐車支援アプリケーションに適用できます。

 「TMPV7506XBG」とともに、最大2台のカラーカメラの接続が可能で、車両・白線・標識など複数の対象物を同時に検知する前方監視システムなどに適している「TMPV7504XBG」も製品化しました。

 当社は、今後も画像認識用LSIラインアップを強化し、車載市場に加え産業市場、民生市場においても事業を拡大し、2015年度には「Visconti TM」シリーズ全体で年間200万個の販売を目指します。

注1 ViscontiTMは株式会社東芝の商標です。

新製品の概要 

品番

サンプル価格

(税込)

サンプル出荷時期

量産開始時期

量産規模

TMPV7506XBG

6000円

2011年11月

2012年9月

年間50万個

TMPV7504XBG

4000円

2011年11月

2012年9月

年間100万個

製品化の背景 

 先進運転支援システム(ADAS)やデジタルサイネージの普及にともない画像認識用LSI市場は2015年度までに2010年度の1.5~2倍にあたる750~1000億円に拡大すると見込まれています。注2そこで、当社は、2004年に画像認識用LSI「Visconti TM」を製品化し、夜間の歩行者認識をする車載機器や監視カメラなどの機器に搭載されました。そして、今回「Visconti TM」シリーズの新製品として、性能が向上した「Visconti TM 2 (TMPV7500)」シリーズを製品化しました。

注2 当社調べ。

新製品のおもな特長 

1.人物認識に適した当社独自の画像処理アクセラレータを搭載(TMPV7506XBG)

 輝度勾配方向ヒストグラム(HOG)特徴量注3を扱う当社が独自開発した画像処理アクセラレータを搭載しています。これにより、明るさの変化の影響を受けにくくなるため、従来の夜間歩行者検知に加え昼間の歩行者検知も可能になります。

注3 輝度勾配方向ヒストグラム(HOG)特徴量は、候補領域を複数のブロックに分割して、各ブロック内にどの程度縦・横・斜め方向のエッジがブロック内にどの程度あるかを定量化したものです。

2.高解像度カラーカメラに対応

 従来製品から対応するグレースケールカメラに加え、最大130万画素の高解像度カラーカメラに接続できます。物体の認識精度が向上するとともに、色認識を必要とする信号色や標識の検知をするアプリケーションに適用できます。

3.最大4台のカメラに同時接続が可能(TMPV7506XBG)

 従来製品では最大3台だったカメラの同時接続台数が今回最大4台に増加するとともに、カメラ映像の視点を変換する画像処理アクセラレータおよび自車画像と4つのカメラ映像を合成表示するビデオ出力インタフェースを搭載したため、上空から見下ろしたような映像を生成する駐車支援アプリケーションに適用できます。

4.高性能の画像認識を低消費電力で実現

 従来製品では、0.15GHz動作の画像認識エンジン「MPE(メディアプロセッシングエンジン)」3個と画像処理アクセラレータ1個でしたが、今回0.266GHz動作の「MPE」4個と画像処理アクセラレータを最大6個搭載したことで、より高性能に物体検出が可能になります。また、新製品は、ノートPC用の3GHzクラスのプロセッサに匹敵する演算性能を0.266GHzの動作周波数で達成し、低消費電力を実現しました。

新製品のおもな仕様 

品番

TMPV7506XBG

TMPV7504XBG

CPUコア

東芝オリジナル 32ビットRISC CPU

MeP( Media embedded Processor)

画像認識エンジン

東芝オリジナル マルチコア メディアプロセッサ「Venezia」注4

画像処理

アクセラレータ

アフィン変換

1ch

フィルタ

2ch

ヒストグラム

1ch

輝度勾配方向ヒストグラム(HOG)

1ch

-

マッチング

1ch

内蔵メモリ

マスクROM:64キロバイト

SRAM: 2080キロバイト

内蔵周辺機能

ビデオ入力

インタフェース

4ch

2ch

ビデオ出力

インタフェース

1ch

メインメモリ

コントローラ

DDR2 SDRAMコントーラ

NOR Flash/SRAMコントローラ

PCI Express

1lane

-

CANコントローラ

3ch

I2Cインタフェース

4ch

UARTインタフェース

5ch

SPIインタフェース

4ch

PCMインタフェース

2ch

タイマ/カウンタ

11ch

電源電圧

内部: 1.1V、I/O: 3.3V及び1.8V

動作周波数

最大 266MHz

動作温度範囲

Ta=-40 ~ 85 ℃、Tj=-40 ~ 125 ℃

パッケージ

BGA 516ピン、27mm×27mm、1.0mmピッチ

注4 「Venezia」は、 MPE(Media Processing Engine)を4個搭載しています。

本製品についてのお客様からのお問い合わせ先:

セミコンダクター&ストレージ社
車載営業推進部
TEL : 03(3457)3428