ニュースリリース

シンガポール公益事業庁と排水処理技術の開発に関する覚書を締結

「水研究センター」をシンガポールに設立
2012年04月11日

 当社は、半導体工場などにおける排水処理技術の研究開発を加速するため、本日シンガポール政府公益事業庁(以下、PUB)と同技術の開発に関する覚書を締結しました。これに先立ち、4月1日付で、当社の現地法人「東芝アジア・パシフィック社」傘下の組織として「水研究センター」を新設し、PUBの研究開発拠点である「ウォーター・ハブ」内で、研究開発に取り組みます。

 シンガポール政府は、世界的に成長が見込まれている水ビジネスを戦略的な産業と位置付け、シンガポールを水・環境技術の研究・開発・応用の拠点とすることを目指して「グローバル・ハイドロ・ハブ構想」を策定しています。その一環として、ウォーター・ハブを設立し、国内外の入居企業にシンガポールの大学・研究機関と連携して水・環境技術の研究・開発を行うことのできる環境と、アジア・太平洋地域へのビジネス拡大を目指すための拠点を提供しています。

 当社は、2008年から排水中に存在する有害物質やレアメタルなどの有価物を回収できる吸着剤である「機能粉」という粉末を活用した産業用排水処理技術の開発を進めてきました。機能粉は、薬品の代替となるうえ、再生利用できるため、薬品費や汚泥処理費を大幅に削減し、有価物回収ができるという点で、従来にない新しい水処理システムが構築できます。

 本技術をグローバルに展開・加速するため当社は、PUBと「機能粉を活用した排水処理プロセスの開発」に関する覚書を締結し、ウォーター・ハブ内に自社の研究所を開設することとしました。当面は、機能粉を活用して半導体などの電子デバイスの製造過程で使用されるフッ素を含む排水から機能粉を活用してフッ素を分離するプロセス技術を開発する予定です。

 当社は、今回の開発を機に水処理システムの技術開発を推進するとともに、同事業の海外展開を加速します。なお、シンガポールで行う研究開発の内容について、今年7月1日から5日に開催される、国際的な水システム関係の展示会である「シンガポール国際水週間2012・水エキスポ(SIWW2012)」で展示予定です。

注 機能粉とは:水中の有害物質や有価値物質を選択的に捕捉・回収し、更に再利用が可能な水処理用の粉末。無機系排水からターゲットとなる資源の回収や廃棄物の削減が可能となり、水処理に関するコスト低減にも貢献します。

水研究センターの概要 

(1)設置目的:水処理技術の研究・開発
(2)設置場所:シンガポール公益事業庁の研究開発拠点「ウォーター・ハブ」内
(3)設立時期:2012年4月
(4)責任者 :センター長 河野 龍興(前 水・環境エンジニアリングセンター 水・環境ソリューション技術開発部 参事)