ニュースリリース

富士通長野工場への「無薬注ろ過システム」の納入について

凝集剤を一切使用しない東芝独自システム
2012年06月27日
「無薬注ろ過システム」の写真

 当社は、富士通株式会社長野工場に、凝集剤を一切使用しない東芝独自の排水処理システムである「無薬注ろ過システム」を納入し、本日から同工場で運用が開始されます。本システムは、一般的な排水処理システムに用いられている薬品である凝集剤注1を一切使用せず、ろ過助材注2に当社独自開発の機能粉注3を用いた環境調和型の排水処理システムです。また、システム内で機能粉を循環・再利用できるため、システムの運用コストを約40%注4削減できます。

 従来、浮遊物質(以下SS)注5の粒子が細かく、ろ過比抵抗が高い排水は、凝集沈殿処理や加圧浮上処理といった凝集剤を用いる水処理法で行われていますが、薬品由来の汚泥など環境影響負荷が発生していました。また、産業排水処理分野において、廃棄物発生量の低減は重要な課題になっており、含有されている金属などの成分を高純度で回収することが望まれていました。

 本システムは、排水中のSSを除去する際に、SSの除去を促進するろ過助材として機能粉を用いることにより、凝集剤を一切使用せずに処理水のSS濃度を低減します。磁気により磁性体の機能粉とSSを分離することで、薬品由来の汚泥を削減し廃棄物の処分費用を低減できるほか、SSに含まれている成分を高純度の有価物として回収することを可能としています。また、分離・回収した機能粉をシステム内で循環・再利用するので、ランニングコストを大幅に削減することが出来ます。

 本システムについては、7月2日~4日に開催される国際的な水システム関係の展示会である「シンガポール国際水週間2012・水エキスポ(SIWW2012)」で展示します。

 当社は今後も本システムをはじめとした環境調和型製品の創出と産業排水処理分野における事業活動を国内及びアジア地域を中心にグローバルで展開していきます。

注1
自然の重力では水と分離することが困難な排水中の微粒子の沈降を促進する薬品。
注2
排水をろ過する際に使用することで、より清澄(せいちょう)な処理水が得られること、ろ材の目詰まりを防止できること、ろ過面積が増加しろ過速度が大きくなること、の効果が得られる。
注3
本システムで使用しているろ過助材用の機能粉は、水中の微細なSSを捕捉・回収し、さらに再利用が可能な水処理用の粉末である。
注4
同工場への導入での例。
注5
浮遊物質(suspended solids)は、水中に浮遊または懸濁している直径2mm以下の粒子状物質で、SSと略される。

富士通長野工場に納入したシステム

 当社が富士通長野工場に納入した「無薬注ろ過システム」は、プリント基板の製造工程より発生する銅含有排水から、薬品由来の汚泥を削減し、銅を高純度な有価物として回収できる排水処理システムとして運用されます。

プロセスフロー

プロセスフローのイメージ図

 ろ過処理のイメージ

ろ過処理のイメージ図

機能粉の写真

機能粉の写真

 

本製品についてのお問い合わせ先:

水・環境システム事業部 環境システム営業部
TEL : 03(3457)4198
URL :  http://www.toshiba.co.jp/sis/menu/environment.htm