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環境活動

人と、地球の、明日のために。

生物多様性の保全

生物多様性保全に向けた取り組みの重要性

近年、生物多様性の保全活動と持続可能な利用の重要性に対する認識が世界中で高まっています。2010年には生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において、世界が取り組むべき共通目標として「愛知目標」が採択されました。そして、2015年には国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、生物多様性に関係する項目を含むSDGs(持続可能な開発目標)が示されました。さらに、2019年にはIPBES(生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム※1)が地球規模アセスメントの結果として「100万種の生物が絶滅の危機にある」「生態系は人類史上のどの時期よりも急速に低下している」と、人間活動による生態系への影響について言及しました。生物多様性保全に向けた取り組みは、企業が持続可能な経営を推進するうえで、切り離して考えることができない課題となりつつあります。

東芝グループでは、地球温暖化の防止や資源の有効活用、化学物質の管理など、モノづくり、製品・サービスにかかわる環境施策について、生物多様性を含む環境への影響を評価し、環境負荷の低減に向けた活動目標を設定しています。同時に、自然に直接的に働きかける保全活動を推進することにより、自然と共生する社会づくりに貢献しています。生物多様性や生態系の回復・向上には長い年月がかかります。生物多様性への対応が当グループに及ぼしうるリスクと機会を分析したうえで、長期的・継続的に生物多様性保全活動を推進していきたいと考えています。

「東芝グループにとっての生物多様性保全に取り組まない場合のリスクと取り組みによって得られる機会」のイメージ

※1
生物多様性と生態系サービスの分野を対象とする政府間プラットフォーム。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の“生物多様性版”と称される。「科学的評価」「能力養成」「知見生成」「政策立案支援」の4つの機能を活動の柱としており、多様な学問領域の専門家とともに、人と自然のかかわりを評価し、新たな知見をつくり、能力を養成し、政策に展開する。2019年5月に「生物多様性及び生態系サービスに関する地球規模アセスメント報告書」の政府決定者向け要約を公表

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「愛知目標」10目標への貢献

2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において「生物多様性戦略計画2011-2020」が採択されました。同計画は、2050年までに「自然と共生する」世界を実現する中長期「ビジョン」をもって、2020年までに「ミッション」および具体的な行動目標である「愛知目標」の達成をめざすものです。愛知目標は5つの戦略目標と、20の個別目標で構成されています。

東芝グループでは生物多様性保全活動を環境経営の重要な要素と考え、「第6次環境アクションプラン」の一項目として管理しています。愛知目標の20の個別目標のうち、東芝グループの事業活動との関連が強い10目標(目標1, 2, 4, 5, 8, 9, 11, 12, 14, 19)への貢献を2020年までの活動目標として設定しました。現在これらの目標への貢献をめざし、グローバル63拠点(国内39、海外24)でそれぞれの地域特性に応じた活動を推進しています。

■ 第6次環境アクションプラン(2017年度-2020年度)−生物多様性保全活動−

愛知目標の分類 愛知目標 東芝グループの活動目標
テーマ 活動例
戦略目標A 生物多様性を「主流化」することにより、生物多様性の損失の根本原因に対処 目標1 普及啓発 従業員教育、情報発信、外部との連携
目標2 戦略・計画への組み込み 環境方針、環境アクションプラン、ISO14001目標への取り込み
目標4 持続可能な生産 地球温暖化防止、資源有効活用
戦略目標B 直接的な圧力を減少させ、持続可能な利用を促進 目標5 生息地破壊の抑止 自然生息地と事業所を結ぶ生態系ネットワークの構築、植林活動
目標8 化学汚染の抑制 化学物質管理
目標9 外来種の防除 事業所における外来種の防除
戦略目標C 生態系、種および遺伝子の多様性を守ることにより生物多様性の状況を改善 目標11 保護地域の保全 事業所内外保護地域の保全に資する活動
目標12 種の保全 希少な動植物の保護、生息域外保全
戦略目標D 生物多様性および生態系サービスから得られるすべての人のための恩恵を強化 目標14 生態系サービス維持・管理 文化的サービスの維持・向上
戦略目標E 参加型計画立案、知識管理と能力開発を通じて実施を強化 目標19 知識・技術の向上と普及 生態系調査データの蓄積・開示(生き物マップ含む)、保全技術の創出

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グローバル63拠点で生物多様性保全活動を展開

2019年度における、愛知目標10目標に対応した活動の全拠点実施率(全体平均)は71%でした。目標1,2,4,5,8,11,12は取り組み度合いが高く、目標9,14,19は低い結果となりました。

実施率の低かった目標については課題の洗い出しと、対応策の検討を愛知目標の最終年に向けて進めていきます。

■ 2019年度目標別実施率(全63拠点対象)※2

「目標別実施率」のイメージ

※2 全拠点対象目標数(63拠点×10目標)に対する各拠点で達成した目標の合計数の割合(%)

  目標別の実施状況
目標1 ステークホルダー向けの教育、自然観察会・ワークショップ、情報発信などを推進
目標2 「ISO14001:2015版※3」に沿った形で生物多様性保全活動を計画・実施
目標4 温室効果ガスの排出削減や資源の有効活用など、従来からの事業活動を通して推進
目標5 2012年から2016年にかけて展開した第5次環境アクションプランの「生態系ネットワークの構築」の継続実施や、植林活動などを推進
目標8 事業活動や環境調和型製品・サービスにおける化学物質の管理を中心に推進
目標9 事業所内の外来種駆除を進めたが、法律の縛りや専門的な知識を要する場合が多く、東芝グループ全体として実施が進まず
目標11 事業所外の保護地域のみならず、事業所内における生物多様性保全活動を推進
目標12 2012年から2016年にかけて展開した第5次環境アクションプランの「希少種の保護」を継続的に推進
目標14 地下水の保全を目的とした植樹活動などへの参加を行ったが、行政や地域を巻き込んだ大がかりな施策になることが多く、東芝グループ全体として対応が進まず
目標19 緻密な生態系調査やその開示、また生物多様性保全技術の創出活動を東芝グループの活動目標として落とし込みきれず、東芝グループ全体として展開が進まず
※3
環境保全活動の対象範囲として「持続可能な資源の利用」「気候変動の緩和及び気候変動への適応」とともに「生物多様性及び生態系の保護」が追記された

■ 生物多様性関連媒体での活動紹介

東芝グループの生物多様性保全活動が環境省発行による「生物多様性民間参画事例集」(2020年5月)および経団連自然保護協議会発行による「KNCF NEWS 85号」(2020年8月)にて紹介されました。

「環境省発行「生物多様性民間参画事例集」(東芝紹介ページ)」のイメージ
環境省発行「生物多様性民間参画事例集」
(東芝紹介ページ)

「経団連自然保護協議会発行「KNCF NEWS 85号」(東芝紹介ページ)」のイメージ
経団連自然保護協議会発行「KNCF NEWS 85号」
(東芝紹介ページ)

■ 東芝グループ生物多様性保全活動データベース

拠点による活動をデータベース化し、ウェブサイトで公開しています。各活動が対応する愛知目標も表示しています。

「東芝グループ生物多様性保全活動データベース」のイメージ

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【事例1】事業所内での希少動植物の保護
(対象となる主な愛知目標:目標12

東芝キヤリア(株) 掛川開発センター

「トノサマガエルのための日よけ」のイメージ
トノサマガエルのための日よけ

希少種であるトノサマガエルとシランを保護対象とし、継続的な生息状況調査を行っています。トノサマガエルについては、敷地内の湿地に日よけを設置し産卵・生息場所を保全しています。また、敷地内の緑地を利用して近隣小学生を招いての生物観察会を行っているほか、敷地内で育ったカブトムシの幼虫を近隣の保育園へ寄贈するなど、自然豊かな環境の創出と地域貢献に努めています。

【事例2】水道会社、政府機関と連携した植樹活動
(対象となる主な愛知目標:目標14

テックインドネシア社

「植樹による緑と水の回復活動」のイメージ
植樹による緑と水の回復活動

インドネシア バタムでは過去数年間で貯水池地域における森林破壊が進み水資源への大きな影響が懸念されていることから、管理を行っている水道会社がバタム中央政府下組織BPバタムに呼びかけ最も被害が深刻なSei Harapan貯水池の緑の回復活動を行っています。テックインドネシア社はこの活動に賛同し、CSR活動の一環として植樹活動に参加し緑の回復、維持活動に貢献しています。

【事例3】全国の半導体製造拠点で行う地域密着型活動
(対象となる主な愛知目標:目標1,12

東芝デバイス&ストレージ(株)

「「生物多様性アクション大賞2019」受賞式」のイメージ
「生物多様性アクション大賞2019」受賞式

当社グループの主要製造8拠点において、専門家、NPO・NGO、地域住民、行政、従業員などさまざまなステークホルダーと連携し、地域密着型の生物多様性保全活動を継続的に推進しています。活動内容については各拠点が相互に共有を行い活動のブラッシュアップを図るとともに、グループ内の一体感および環境意識の醸成につなげています。この活動の成果が評価され、「生物多様性アクション大賞2019」への入賞と、「日本自然保護大賞 2020」への入選を果たすことができました。

【事例4】外部ビオトープとの生態系ネットワーク構築
(対象となる主な愛知目標:目標5

西日本家電リサイクル(株)

「パンジービオトープ」のイメージ
パンジービオトープ

4km西にある日本最大級の「響灘ビオトープ」より鳥や蝶が飛来することを期待して、事業所内のビオトープにパンジーを植えた結果、毎年多くの蝶が飛来するようになりました。また、北九州市が行っている植樹プロジェクトにも参画しており、地元のどんぐりを発芽させたイチイガシ、ウバメガシなどの照葉樹を育苗し、育てた苗の一部を自社敷地内に植え、それ以外を公共の場に植樹する活動を行っています。

事例ごとに表示している目標は各活動が対応する代表的な愛知目標であり、表記以外の目標に対応している場合があります

名古屋大学大学院 環境学研究科
社会環境学専攻環境政策論講座 教授
香坂 玲 氏

「香坂 玲 氏」のイメージ2020年という年は、生物多様性の保全や持続的な利用を目標に、2010年に合意した愛知目標の目標年にあたる。国や地域がいわば取り組みの成績表を渡される年であり、当然事業者の取り組みも重要な要素となる。冒頭で言及されているIPBESの報告書にもあるよう、残念ながら事態は好転どころか、多くの面で悪化が加速しているのが実情である。

その意味において今回の報告書は、一事業者の取り組みという立場ながら、そのタイミングと民間セクターの主流化の進捗を示すものとして国際的にも重要となる。

今回の報告書では、愛知目標のうち、10の目標について国内外の取り組みの進捗と、事例を紹介している構成は読みやすい。特に自社や関連会社の枠を越え、大日本印刷グループと共同で希少生物の保護、生物調査、観察会などを実施している点は注目したい。さらに行政や市民社会と、国内外での保全活動において連携を多層化させていただきたい。

特に東芝の取り組みの伝統は、本社に加え、各拠点・工場に自主性をもたせて、どのような保全、取り組みを実施するのかを、自主的に考える、ボトムアップのアプローチであることが特色となっている。その輪が、海外にも広がっていることが読み取れる。愛知目標と、その目標に連動している持続可能な開発目標(SDGs)との双方において、海外にも生物多様性をはじめとした環境の保全と持続可能な利用の活動を展開していくことは事業が急速に国際化している今日では急務であり、この動きを歓迎したい。

全体の枠組として冒頭でリスクと機会の明確化をしている。生物多様性分野では各社が頭を悩ますことが多いなか、サプライチェーン、評判(レピュテーション)のリスク、モチベーションなどに整理している。さらに踏み込み、保全や持続可能な利用の数値目標を掲げ、直接、消費者や投資家との接点がある企業として、地域や社会の一員として本業のなかでの貢献を今後も期待したい。

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業界団体や他社との連携を推進

東芝グループでは、電機・電子業界団体や他社との連携を通して、生物多様性保全の普及啓発や情報発信を強化しています。

電機・電子4団体生物多様性ワーキンググループに参加

業界の生物多様性保全活動の啓発と推進を目的に、メンバー各社とともに生物多様性保全の「主流化」に向けた施策の展開や、SDGs、海洋プラスチックごみ問題、愛知目標に続く国際目標(「ポスト2020生物多様性枠組」)など、生物多様性に関する国際的な課題のリサーチと議論を継続的に行っています。2018年には、これから生物多様性保全活動を開始したい企業を対象に、取り組み事例を解説した冊子「Let's Try Biodiversity」を発行しました。その後、同冊子の英語版や、「海洋プラスチック問題」ならびに「持続可能な紙の利用」にフォーカスした別冊も発行しました。電機・電子4団体では愛知目標が最終年度を迎えるにあたり、電機・電子業界としての総括を行うとともに、2021年度以降の活動テーマについて検討を進めていきます。

「企業が取り組むはじめての生物多様性 Let's Try Biodiversity」のイメージ
『企業が取り組むはじめての生物多様性 Let's Try Biodiversity』

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大日本印刷グループと連携

東芝グループと大日本印刷グループは国内2地域4事業所でお互いの敷地を活用した生物多様性保全活動を進めています。希少生物の共同保護、合同生物調査、合同自然観察会などを行い、両社従業員の環境意識の向上をめざしています。

連携①岩手県北上地区
(株)ジャパンセミコンダクター 本社・岩手事業所/ディー・ティー・ファインエレクトロニクス(株) 北上工場
連携②神奈川県川崎地区
(株)東芝 小向事業所/ディー・ティー・ファインエレクトロニクス(株) 川崎工場

「希少種花壇の下草取り(連携①)」のイメージ
希少種花壇の下草取り(連携①)

「大師河原干潟の生物調査(連携②)」のイメージ
大師河原干潟の生物調査(連携②)

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東芝グループの生物多様性ガイドライン

東芝グループでは、2009年9月に生物多様性ガイドラインを制定しました。事業活動と、生物多様性を含む多様な環境問題を包括的に把握することにより、影響の低減、持続可能な利用につなげていきます。

東芝グループ生物多様性ガイドライン

基本方針

東芝グループは、生物多様性の保全および生物多様性の構成要素の持続可能な利用のため、次の取り組みを行う。

  • 事業活動が生物多様性に及ぼすかかわりを把握する。
  • 生物多様性に配慮した事業活動などにより、生物多様性に及ぼす影響の低減を図り、持続可能な利用を行う。
  • 取り組みの推進体制を整備する。

具体的な取り組み

  1. 工場の立地や再配置において、生態系の保護などに配慮する。
  2. 地方公共団体や民間団体などとのコミュニケーションを図り、連携した活動を行う。
  3. 持続可能な社会の一員として、継続的な社会貢献活動を行う。
  4. 環境対策による生物多様性を含む種々の環境側面への影響・効果を評価する。
  5. 資源採掘までを視野においたサプライチェーンにおける生物多様性保全への取り組みを推進する。
  6. 事業活動に由来する資源の消費や環境負荷物質の排出による影響を評価する。
  7. 自然の成り立ちや仕組みに学び、事業の特性に応じて、技術による貢献をめざす。

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