生物多様性保全への取り組み

当社グループでは、事業所内外での生物多様性保全に向けた活動を推進することにより、自然と人間が調和して暮らし、生態系からの恵みを享受し続けることのできる社会の構築に貢献します。

豊かな街づくりへの貢献 ~生態系ネットワーク構築に向けて~

一つ一つの緑地は小さくても、それが連続性のある緑地であれば、利用する生き物が増え、その地域の生態系はより良いものになっていきます。
周囲との連続性のある緑地の創出に向け、事業所内の緑地の質的向上などに取り組んでいる事例を紹介します。

緑の回廊づくりへの貢献 ~西日本家電リサイクル(株)~

イチイガシ、ウバメガシ、マテバシイ等の苗 イメージ
イチイガシ、ウバメガシ、マテバシイ等の苗

西日本家電リサイクル(株)のある北九州市では、「世界の環境首都」戦略の一環として、環境首都100万本植樹プロジェクトを行っています。市民、NPO、企業、行政など多くの団体がこのプロジェクトに参画しており、市内各地で植樹活動を実施、地域のみんなで緑の回廊づくりに取り組んでいます。
西日本家電リサイクル(株)でも、地元のどんぐりを発芽させたイチイガシ、ウバメガシなどの照葉樹を育苗し、育てた苗の一部を自社敷地内に植え、それ以外を公共の場に植樹する活動を行っています。

「鳥がさえずる緑の回廊植樹会」の写真
鳥がさえずる緑の回廊植樹会

「緑の回廊・植栽地草取り大作戦」の写真
緑の回廊・植栽地草取り大作戦

ジャコウアゲハが飛び交う街づくりへ参画 -姫路市の生物多様性保全に貢献- ~西芝電機(株)~

姫路市では平成元年に「ジャコウアゲハ」を市蝶と定めています。姫路城主であった池田輝政の家紋が「揚羽蝶」であったことから、瓦紋に、アゲハチョウのデザインが多数用いられていることや、蝶のさなぎの形が怪談(播州皿屋敷)のお菊さんに似ていることに由来するものです。

「ジャコウアゲハ」の写真
ジャコウアゲハ

その姫路市では、市民で結成された「ジャコウアゲハが飛び交う街姫路 連絡協議会」が中心となり、ジャコウアゲハを通して姫路市を魅力溢れる街にするため様々な活動が行われています。
企業や自治体、小学校などが、ジャコウアゲハの繁殖のため、幼虫の食草であるウマノスズクサの栽培を行ったり、「ジャコウアゲハ親子でスケッチ大会」やフォトコンテストなどのイベントも多数行われています。

姫路市に拠点をおく西芝電機(株)は、2013年度から幼虫の食草であるウマノスズクサを挿し木で増やしたり、成虫が好む花の栽培を行うなど活動を始めました。3年目の2015年度には43匹の羽化を確認するまでになりました。
2016年2月20日に開催された行政・市民による「第4回ジャコウアゲハサミット」では、当社の活動事例を発表し、3年間の取り組みの成果を集まった参加者と情報共有しました。

「ジャコウアゲハの幼虫の食草のウマノスズクサを栽培」の写真
ジャコウアゲハの幼虫の食草の
ウマノスズクサを栽培

「兵庫県立大学で行われた「ジャコウアゲハサミット」で西芝電機の取り組みをPR」の写真
兵庫県立大学で行われた「ジャコウアゲハサミット」で西芝電機の取り組みをPR

地域の特徴に応じたミニ・ビオトープの設置

すみれビオトープ ~東芝環境ソリューション(株)~

「スミレとタチツボスミレ」の写真

「ツマグロヒョウモン」の写真神奈川県横浜市にある東芝環境ソリューション(株)には、「スミレ」(左写真/右)と「タチツボスミレ」(左写真/左)のミニ・ビオトープを設置しています。タチツボスミレはどこにでも見られるスミレですが、もう一方のスミレの生息数はそれほど多くない為、保護して数を増やしています。
また、スミレ科の植物を食草とするツマグロヒョウモン(右写真)というチョウが飛来するようになりました。


チョウのビオトープ ~東芝EIコントロールシステム(株)九州事業所~

「アオスジアゲハの成虫」の写真

福岡県鞍手郡鞍手町にある東芝EIコントロールシステム(株)九州事業所では、2013年に、市の木であるクスノキを構内に植樹しました。クスノキは、本州でも庭木として多く見られますが、もともとは本州西部の太平洋沿岸と四国・九州で多く見られる常緑高木です。同事業所では、幼虫がクスノキを食草とするアオスジアゲハの成虫(写真)が多数飛来し、地域の生態系ネットワーク構築に貢献しています。


チョウのビオトープ ~東芝EIコントロールシステム(株)四国事業所~

「アオスジアゲハの幼虫とサナギ」の写真

「ナミアゲハの幼虫」の写真愛媛県松山市にある東芝EIコントロールシステム(株)四国事業所では、周辺緑地との連続性を考慮し、2013年、構内にクスノキを植樹しました。翌年には、クスノキを食草とするアオスジアゲハの幼虫(左写真/左)やサナギ(左写真/右)が確認されました。また、クスノキと同時にユズを植樹しましたが、そこでは毎年ナミアゲハの幼虫(右写真)が観察されています。

都市部におけるエコロジカル・ネットワークの役割とは?

東京23区や隣接する川崎市などの都心と、自然豊かな西多摩地区とは、多摩川で繋がっています。間にあるそれぞれの地域でエコロジカル・ネットワークを構築し、さらにネットワークとネットワークが繋がった時、この地域全体の生態系は強化され、豊かで健康的で快適な環境へとつながっていきます。

<首都圏(多摩川周辺)のエコロジカル・ネットワークを考える(例)>

首都圏(多摩川周辺)のエコロジカル・ネットワークを考える(例)(イメージ)

親子向け環境教育プログラムの実施 ~東芝インフラシステムズ(株) 府中事業所~

府中事業所では、生物多様性保全の取り組みとして、2013年10月から毎月、自然観察指導員の資格を持つ従業員を中心に構内のモニタリング調査を実施しています。植物、昆虫、鳥、菌類など、多様な生物種を確認しデータとして記録しています。
さらに、2015年度には、蓄積したデータをもとに従業員親子向けの自然観察会を2回実施しました。

「初めて見る虫に興味深々」の写真
初めて見る虫に興味深々

「ヤゴの泳ぎ方を観察」の写真
ヤゴの泳ぎ方を観察

「タンポポの花を丁寧に写生」の写真
タンポポの花を丁寧に写生

秋の観察会では、まず、講師のプロ・ナチュラリストの佐々木洋先生と自然観察指導員の資格を持つ従業員6名が、構内にあるビオトープを回りながら、身近な自然に潜む昆虫や植物、キノコなどを楽しく解説。参加者は、観察した生き物の絵をスケッチしました。

「親子で共同作業」の写真
親子で共同作業

「完成した生態系ピラミッド」の写真
完成した生態系ピラミッド

「作品を掲げ誇らしげな子供たち」の写真
作品を掲げ誇らしげな子供たち

プログラムの後半では室内に移動。スケッチした生き物の絵を、紙に描かれた大きな三角形の枠の中に貼ります。下段には植物やキノコ、中段には草食動物、上段には肉食動物を配置し、生き物たちのバランスと関わりを図形で表した「生態系ピラミッド:府中の秋版」を完成させました。
みんなで楽しく観察し作業することが、生物多様性保全について考えるきっかけになればと願っています。

府中事業所の生物多様性モニタリング結果の詳細はこちら