4PLスペシャリスト「実践力」 4PLの知見をロジスティクス
体制に
落とし込み、
定着させる実践力

4PLの知見をロジスティクス体制に落とし込み、定着させる実践力

課題

  • 1 物流キーマンの高齢化により、物流企画・管理できる人財が不足
  • 2 事業伸長(5年後160%増)と連動した物流インフラ体制構築が急務
  • 3 物流指標の定量管理ができていない(売上高物流費比率・コストKPI)
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    物流キーマンの高齢化により、物流企画・管理できる人財が不足
  • 2
    事業伸長(5年後160%増)と連動した物流インフラ体制構築が急務
  • 3
    物流指標の定量管理ができていない(売上高物流費比率・コストKPI)

長年培ったロジスティクスの知見に基づき、業界にとらわれずお客様の課題解決を行う、当社の4PL。東芝ロジスティクス株式会社 プラットフォーム事業部 4PL開発室 の佐藤 貴之 氏は、2017年から現在(2019年)までの3年間に渡り、大手アパレル会社の4PLプロジェクトに携わっています。

アパレル業界での4PLの提供は、当社にとって初めての挑戦でした。「業界への知見がないままでは、お客様に満足していただけるソリューションをご提供することができない」と模索し、社内で検討した結果、実務ノウハウを持つ3PL業者と協業することを決定しました。管理と実務、双方の能力を活かしあうことで、ロジスティクス戦略の立案から業務対応まで、実現性の高い提案が可能となりました。

さらに、3PL業者の人材育成にも着手。そうすることで強固なロジスティクス体制ができ、ひいてはお客様への貢献につながると考えていると言います。

お客様目線の発想に加え、それを実現させる高い「実践力」が備わっていることが、当社の強みです。佐藤さんに今回のプロジェクトの詳細を伺いました。

アパレル物流が抱える課題
事業拡大に向けた
インフラ構築のニーズ

――お客様が抱えていた課題やニーズを教えてください

ロジスティクスの現場は、きつい・汚い・危険の「3K職場」と言われ、労働環境が悪いというイメージから、なかなか人が集まりません。それはアパレル物流も同様で、人材不足は深刻化しています。人材採用のために各社が選んだ解決策は、報酬の値上げ。その結果、物流コストが上昇するというスパイラルに陥っています。

加えて、トラックの確保や維持、荷役作業員の調達にも手間とコストがかかります。そこで「ロジスティクスは専門家に任せたい」というニーズ高まり、3PLが浸透しました。しかし、3PLは実務が中心。お客様は、ロジスティクスの企画や戦略を考える、頭脳となる部分もアウトソースしたいと望まれていました。

また、売上を現状の1.6倍に引き上げることを目標としており、そのためには今のロジスティクス体制では実現が難しいと判断。最適な物流インフラを構築したいというニーズがありました。

3PL業者と足りない部分を補いあうことで
実現性の高い提案が可能に

――4PL導入に至るまでの経緯を教えてください

十数社の物流会社を対象にお客様が主催したコンペに、当社も参加したのがきっかけです。最初の書類選考の段階で「4PLではアピールできるけれど、アパレル業界の物流加工に関する知見が不足しているため、お客様に最適なロジスティクス戦略を設計することができないのでは?」と危惧してました。そこで、かねてよりお客様のロジスティクスの実務の7割を担っていた3PL業者に、協業の提案をさせていただきました。

その3PL業者は、アパレルの業界の知見や実務実績はあるけれど、ロジスティクス企画管理に関しては不得手。逆に、当社はロジスティクス全体の管理や企画は得意だけれど、アパレル業界の見識に自信がありません。「お互いの足りない部分を補完しあうことで、ベストソリューションにつながれば」と、協業することに至りました。

――3PL業者とは、すぐに合意できたのでしょうか?

3PL業者は、提案当初から当社をとても信頼してくださっていました。過去に当社の別の部署の人間が協業させていただいたことがあり、その者の対応が良かったことから、当社自体を信頼してくださっていたのだそうです。もともとその3PL業者には、「一緒に仕事をするなら、信頼できる人や会社と」という思いがあったようで、快く合意していただけました。

4PLは管理ノウハウがある当社が提供し、実務は長年お客様を支えている3PL業者が担う。お客様には、この提案の実現性の高さを評価していただき、導入が決定いたしました。

3PL業者と足りない部分を補いあうことで実現性の高い提案が可能に

事業戦略を実現するために
ロジスティクス体制をどうすべきかを考える

――今回の4PLの施策は具体的にどのようなものですか?

お客様の事業戦略を達成するためのロジスティクス戦略を立てるのが、当社の役割でした。具体化した施策は、3PL業者に実施してもらいます。

当社が評価対象としているのは、売上高物流費比率。売上が500億円で物流費が25億円だったら、売上高物流費比率は5%。売上が上がれば当然物流費も上がるので、売上高に占める物流費の比率を管理します。当社は、東芝グループの売上高物流費を長年下げ続けてきました。そのノウハウを活かして、施策を考え、物流費の予算と実績の数値を分析して、ギャップがあればPDCAを回して改善に導きます。

さらに、KPIも設定。当社の物流改革推進部が主導で評価の物差しを作っています。本プロジェクトでは、「歩く」「ものを取る」など、1個ずつの動作を研究して、「標準工数」という物差しを採用しました。例えば、100個の靴に値付けをする作業の標準工数が45分だとする。しかし、実際には作業に1時間かかっている。その場合は、15分のギャップがなぜ生まれたのかを調べて、問題はどこなのかを洗い出し、改善策を考えます。標準工数をつくるのが非常に大変なのですが、この独自の技術が当社の強みであり、財産であると思っています。

事業戦略を実現するためにロジスティクス体制をどうすべきかを考える

また、本プロジェクトに関して3名を専任させることにしました。当社から2名、3PL業者から幹部候補生を1名です。当社の人間だけでは、現場に寄っていない考えになってしまう可能性があるので、3PL業者の実務ノウハウを元に、実現性のあるロジスティクス戦略や改善策を検討したいという思いから、このような人員配置にしました。

――現在プロジェクトは進行中ということですが、すでに改善のためにおこなった提案はありますか?

出荷のタイミングについての問題提起を行いました。アパレル業界特有のルールなのですが、通常は受注日翌日に納品。お客様の場合は、値付け作業があるので、受注日に商品を揃えて、翌日に値付けをして出荷し、翌々日に納入でした。しかし、最近では「受注日翌日に納品してほしい」という納入先のニーズが高く、作業時間を延ばして対応していたそうです。

手慣れたパートの方は夕方に帰ってしまうため、そこからは派遣の方に作業をお願いしているのですが、両者の生産性の違いは私から見ても明らか。その差を可視化するべく、生産効率データを取りました。単価は2倍、生産性は半分。4倍の物流コストがかかっていることを明示しました。

お客様としても、もともとそこにロスがあることは認識していたのですが、業界の商慣習と長い付き合いの中で人材派遣を断ることができずにやってきたそうです。しかし、当社が可視化して「当日出荷をやめれば、これだけ物流コストが下がります」と提案したところ人材派遣の見直しを前向きにご検討いただけました。

人材育成をおこない
筋肉質なロジスティクス体制をつくる

――3PL業者の社員も4PL業務をおこなっているのですか?

現在、プロジェクトに参画している3PL業者の社員さんは、OJTの最中です。4PL管理を一緒にやってもらい、3PL業者の社員がノウハウを習得することで、3PL業者全体に4PLの理解が浸透して、業務改善効率が向上すると考えています。特に、今回プロジェクトに参画している3PL業者の社員さんは、現場からの信頼が厚いので、社内の周知のスピードも上がるでしょう。それが、結果的にお客様のロジスティクス改善につながると思っています。

――パートナー企業の人材育成も行なっているのですね

そうですね。さらに、お客様の社内にも知見が貯まるように、社員を数名選抜していただき、当社の社屋や倉庫で2〜3ヵ月間の研修を行う予定です。他社向けの研修にはすでに実績があり、これは、お客様からのニーズでもありました。

3PL業者が4PLを理解した3PLパートナーとして育ち、お客様の物流部門の人材も育つことで、筋肉質なロジスティクス体制がつくれるのではないかと思っています。

プロジェクトメンバーである3PL業者の社員さんは、当社の従業員としての立場で、プロジェクトに参画してもらっていますので、時に3PL業者の社内に対し、厳しいことを言わなければない立場です。大変だろうし、葛藤もあるのだろうと思いますが、4PLの知見はきっと将来の大きな財産になるだろうと、温かく見守っています。

人材育成をおこない筋肉質なロジスティクス体制をつくる

――今回の4PL導入で一番の苦労はどこですか?

当社の4PLがもっとも大切にしていることは、お客様の物流コストを削減すること。それはすなわち、私たちロジスティクス業者の売上が下がることにつながります。
3PL業者は、自らお客様に対し、物流コスト削減施策を提案することが、あまりありません。なぜなら、自社の売上や利益を下げたくないという思いは誰にでもありますから。今回の提案でも、売上が下がることを懸念されていました。

とはいえ、4PLの視点でコスト削減に取り組むことでロジスティクス業者が得られるものが何もない訳ではありません。まず、新たな仕事が受注できます。次に、倉庫集約や業務の効率化によって、売上の下がり幅以上に3PL業者の原価が下げられるようになるというメリットもあります。当社からも、自動化やKPI管理をして、人員や物流コストを削減するためのノウハウを提供することも可能です。

そして重要なのが、ゲインシェアスキームの確立。プロジェクトの活動によって出た効果を3社で割るためのスキームを整えることをさします。オペレーション改善の結果、お客様の利益率は上がります。その利益差分を3社で分け合うことを最初に約束しました。このようなスキームの確立により、継続的なロジスティクス改善のPDCAが回せると考えています。

様々な業界で4PLを活用して
ロジスティクスの課題を解決していきたい

――ここまでの取り組みにおいて、印象深かった出来事を教えてください。

印象深かったのは、「なぜ、うちの会社のことをそこまで一生懸命に考えてくださるのですか?」と質問をいただいたこと。一番の理由は、当社が目指している"No.1 4PLカンパニー"というビジョンを体現するためでした。「東芝グループで培った4PLノウハウは、どの業界でも通じる、役に立つと信じているので、4PLでお客様に貢献したい」と、思いを伝えさせていただきました。

――4PLの設計が終わり、7月からいよいよ実稼働と伺っています。今後は、どのような展望を見据えていますか?

まず、EC事業に注力して取り組んでいきます。お客様が今期いっぱいでEC事業の新たな戦略を打ち出そうとしているので、それを踏まえた上で、ロジスティクス戦略を立てて体制を整えます。

現在、多くの企業が「人材がいない」「ロジスティクス戦略が立てられない」「どうやって物流組織を形成するかわからない」という悩みを抱えています。今回、アパレル業界でも4PLのノウハウが存分に活かせることを確信したので、今後も様々な業界にアタックしていきたいと思います。

事業戦略に沿ったロジスティクス戦略を設計して実行できることに加え、3PLパートナーやお客様の人材を育成することで、ロジスティクスの現場にまで4PLの考え方を浸透させられるのは、多くの実績とノウハウを持つ当社だからではないかと思います。

課題解決アプローチ

  • POINT 1

    ロジスティクス体制
    の構築

    ロジスティクス体制の構築

    アパレル物流の知見が深いパートナーと協業し、お客様の業態に特化した体制を提供。

  • POINT 2

    物流KPIの
    導入

    物流KPIの導入

    売上高物流費を下げるため、各種指標(KPI)を定め、標準工数を導入。

  • POINT 3

    3PLパートナー
    の人材育成

    3PLパートナーの人材育成

    3PLパートナーの担当者に4PLの知見を共有し、4PLを実践しやすい筋肉質なロジスティクス体制を実現。

佐藤貴之

SPECIALIST PROFILE

4PLスペシャリスト プロフィール

東芝ロジスティクス株式会社
プラットフォーム事業部 4PL開発室
参事 佐藤 貴之

参画プロジェクト

物流戦略コンサルティング(精密機器メーカー/医療メーカー)
経営企画(東芝家電製造会社)
現場改善等の合理化推進(当社事業部)
中期計画・予算策定(当社事業部)

趣味

カラオケ(最近は米津玄師さんのLemonにハマってます!)(2019年7月現在)

聞き手:前川 有香(株式会社GIG)