TOPICS東芝グループのホワイト物流宣言

東芝グループのホワイト物流宣言

業界全体の課題を共有、改革への意思表示を明確に!
東芝グループが取り組む「ホワイト物流」推進運動

東芝グループでは、深刻化しているトラックドライバー不足に対応し、ロジスティクスの安定的な確保や経済の成長に寄与するべく、国土交通省、経済産業省および農林水産省が推し進めている「ホワイト物流」推進運動に参加しています。そんな「ホワイト物流」推進運動への賛同表明を行った背景や、「ホワイト物流」への具体的な取り組みなどについて、株式会社東芝 生産推進部 ロジスティクス企画室 室長 山田 周氏にお話を伺いました。

業界全体の課題を共有、改革への意思表示を鮮明に!東芝ロジスティクスが取り組む「ホワイト物流」推進運動

「ホワイト物流」推進運動へ
賛同表明した背景

――今回のテーマである「ホワイト物流」推進運動が始まった背景について教えてください。

我々だけに限った話ではありませんが、そもそも物流リソースの調達がとても難しくなっていることが物流業界全体での大きな課題の1つです。高齢化も含めて深刻な人材不足に陥っているだけでなく、構造的な供給不足から物流コストも上昇し続けており、働き方改革の推進もあってコンプライアンス強化が叫ばれているなど、ロジスティクスを取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。このまま放置すれば、注文した商品や生産に必要な部品などを運ぶことができず、物が作れない、売上が立てられない、などの現実的な経営リスクとなってくるのは間違いありません。そんな状況を打開するための対策が、以前から求められていたのです。

「ホワイト物流」推進運動へ賛同表明した背景

――東芝グループが「ホワイト物流」推進運動に賛同表明を行った理由について教えてください。

東芝グループとしては、運賃改定も含めた物流コストの最適化をはじめ、配送頻度や時間指定などの条件見直し、ロジスティクスを意識した梱包・包装など改善提案、輸配送の共同化など、協力会社やお客様などと連携しながら物流業務の効率化や省力化に向けた様々な施策に取り組んできました。そのなかで新たに登場したのが、国土交通省、経済産業省および農林水産省が推し進めている「ホワイト物流」推進運動だったのです。これまで抽象的な概念で危機感が取り沙汰されていましたが、社会課題として「ホワイト物流」というキーワードが示されたことで、業界全体としての活動につながることが期待されています。だからこそ、我々としてもこの運動に参加すべきだと判断しました。


――東芝グループにおいて、東芝ロジスティクスはどのような位置づけにあるのでしょうか。

400を超える連結子会社を持つ東芝グループの事業プロセスに欠かせないサプライチェーンに対して、グループ内で唯一ロジスティクス機能を専門に提供している企業です。役割的には、私がコーポレート側として所属しているロジスティクス企画室にて、物流戦略の立案やグループ連携の促進、全社の計数管理を実施しています。また、東芝ロジスティクスは、グローバルな視点で最適なロジスティクスを設計し、オペレーション機能への落とし込みや事業者の査定、調達などを手掛けています。ロジスティクス企画室と東芝ロジスティクスが緊密に連携しながら、グループ全体のロジスティクスを牽引しています。

東芝グループにおける
「ホワイト物流」推進運動とは?

――現在「ホワイト物流」推進運動への賛同表明を行っていますが、どのような形で表明されたのか、具体的に教えてください。

東芝グループでは、主な荷主となる東芝と物流子会社である東芝ロジスティクスが協力し、トラック輸送の生産性向上や物流効率化はもちろん、ドライバーの負担軽減施策について取り組んでいくことを宣言しています。具体的には、事前情報の提供によって計画的な配車に取り組みながら、出荷に合わせた生産や荷造りを心掛けることでドライバーの待機時間の最小化に努めていきます。また、輸送時に無駄なスペースが生まれないよう、梱包サイズから逆算した製品設計への積極的な取り組みも加速させます。さらに、船舶や鉄道などトラック以外の輸送手段も活用することで、長距離トラック輸送の削減や二酸化炭素排出量の削減といった環境負荷低減につなげていくことはもちろん、災害時など生活物資や必要物資の優先運搬に協力していくことで企業の社会的責任も遂行していくことを宣言しています。


――「ホワイト物流」推進運動の活動について、具体例を挙げていただけますか。

突き詰めて考えると、「ホワイト物流」推進運動は、“荷物の輸配送に必要なトラックドライバーのなり手がいない”現状を打開するための運動といっても過言ではありません。そのためには、ドライバーの仕事に魅力を感じてもらえる環境整備が重要です。逆に言えば、魅力的でない状況を生んでいるものを見極める必要がありますが、その1つに挙げられるのが長い“待ち時間”。やりがいを持って働いてもらうためには、荷物を運ぶことで社会貢献の一翼を担っているという気持ちになってもらえる環境づくりが必要です。待つことそのものは魅力を高めてくれるものではありません。そこで、すぐにできることの第一歩として、宣言の取り組み内容にもあるように、各事業体に対して余裕をもって荷物の搬送指示を出してもらうことを徹底しています。予定がはっきりすれば、ドライバーの待ち時間を減らすことにもつながるはずです。


――どのように徹底させていくのでしょうか。

工場の生産計画担当者にロジスティクスのことを意識してもらえるようにすることが重要です。実際の工場では生産したら終わりで、あとは東芝ロジスティクスにお任せの状態となり、物流コストそのものをさほど意識していないケースも少なくありません。もちろん、生産遅延のために緊急手配したチャーター便の件数やコストは全体として見える化していますが、さらに、部門別にその原因まで含めて見える化し、改善提案も含めた愚直な活動を続けているのが現状です。こういった活動を続けていくことで、魅力ある労働環境を生み出すことにつながればと考えます。


――「ホワイト物流」推進運動を実りあるものにするためのポイントはどこにあるとお考えですか?

実は、ドライバーを待たせている原因を分析してみると、荷物を運ぶ起点となる工場を出るときよりも、お客様の拠点に到着した後の待ち時間のほうが圧倒的に多いというのが1つの結果として示されています。こういった状況を改善するためには、やはりお客様の協力が欠かせません。実際に「ホワイト物流」推進運動に参加しているのは、2019年7月19日時点で計134社と発表されていますが、そのなかには物流事業者だけでなく小売業なども含まれており、お客様サイドでも環境改善に前向きな動きが見えるのはとてもいい傾向だと思っています。我々も製造業として部品などの調達をする関係上、着荷主としての顔も持っていますが、その場合、自分たちで運送手段を手配しないために現場の痛みが感じづらいのが正直なところです。そのあたりの意識改革は「ホワイト物流」を推進するためには必要不可欠だと考えています。


東芝グループにおける「ホワイト物流」推進運動とは?

――ほかにはどんな活動をされていますか。

日本の場合、荷物の積み込みや積み下ろしをドライバーが行っているケースが多く、業務自体が煩雑になりがちです。特に、高齢者や女性にドライバーとして活躍いただくためには、運転に集中できるよう、荷物の積み込み・積み下ろしの負担が少ない環境が理想的です。具体的には、輸送する荷物がきちんとパレットに積み上げられていれば、フォークリフトで運んだり、自動的に積載したりといったことが可能になるため、ドライバーの負担も軽減されます。できるだけきちんとパレタイズされた状態に持っていけるよう、荷姿の改善を行っています。ただし、東芝グループで扱っている商材はパレットに積み上げて大量に運ぶものよりも、1点ものや小ロットで生産されるものが多いのが現実。それでも、エアコンなどの家電製品や医療関連機器など、できる限り運びやすくパレタイズするよう工夫しています。


――やはりドライバー目線での改善活動が重要になってくるわけですね。

ドライバーになりたいと思ってもらえる人材を増やすという意味では、そもそもドライバーは何に対して嫌がっているのか、をしっかりヒアリングするなど、正直ベースで考えていく必要があります。特に東芝ロジスティクスでは、運送事業者と直接話ができる環境があるため、どこを直したらもっと仕事がやりやすい職場になるのか、しっかりとドライバーの声を拾っていくことができます。これまでは、待ち時間や緊急手配車両の件数などの数字は追いかけていましたが、ドライバー目線で考えられたものではありません。経営的な視点とドライバー視点、双方の立場で見た上で目標数字となるKPIを設定していきたいですね。


東芝ロジスティクスと連携した特長的な取り組み

――特長的な試みという意味では、梱包設計などの取り組みもあると伺っています。

製品の企画・設計段階からロジスティクスに関するコスト抑制に寄与できるよう、既存の製品に関する包装評価を行った上で、輸送に最適な製品・包装設計・提案を行うDFL(Design For Logistics)を東芝ロジスティクスでは行っています。物流コストを分解していくと、倉庫の格納費や輸送費、梱包資材費などの観点で波及効果が大きな取り組みであり、コンテナ1台あたりにたくさん積むことでコストに大きく影響してくるところです。これはコストの面だけでなく、効率的な荷役という部分でもDFLの活動は重要になってきます。なお、倉庫環境という視点では、例えば、活動量計を作業者に装着して加速度から作業を推定し、改善のためのPDCAを回していく庫内作業ソリューションなど、働きやすい環境づくりを東芝ロジスティクスが中心となって行っています。


――女性活躍という観点で取り組まれていることはありますか。

倉庫や物流現場、特に重量物を扱うような現場では、暗黙のうちに男女間での役割分担が行われてしまっていて、生産性の向上が難しくなっているケースもあります。例えば、フォークリフトの運転や重量物を扱う機器は男性中心になってしまい、遅延が発生しても男性しかサポートできない、その結果職場全体で遅延が発生してしまうといった悪循環に陥ってしまいます。東芝ロジスティクスの現場では、女性でも男性が行っている作業をできるように、教育やライセンスの積極的な取得といった男女一緒に改善活動を行う「レディースアイ活動」を推進しています。結果、この活動で生産性が向上した実績もあります。現在は倉庫現場だけですが、今後こういった活動を女性トラックドライバーにとって魅力的な環境を構築していく活動につなげていければ思っています。


――事業会社を複数持っている東芝グループだからこそ取り組めることはありますか。

東芝ロジスティクスでは、水処理や受変電、防災通信、道路など公共インフラに資するシステムはもちろん、ビルや施設、鉄道・産業システムなどグループ内にある様々な事業体のロジスティクスを取り扱っているだけでなく、家電や医療機器など、かつてグループ会社だった企業に対しても継続して物流機能を提供しています。このように形態の異なる荷物やサービスを含めたロジスティクスを一括で担っているのが1つの特長です。これら事業横断型に取り組んで物流全体を効率化するべく、事業の異なる荷物の共同配送や倉庫内での共同保管などを行っていますが、トラックの待ち時間短縮にもつながる効率化に向けた活動を東芝ロジスティクスの裁量で行うことができる点は、なかなか他社ではできないことではないでしょうか。


――CPS(サイバー・フィジカル・システム)テクノロジー企業テクノロジー企業を目指すグループとして、ロジスティクスにおいてデータ活用した取り組みについても教えてください。

例えば、荷姿ごとにピッキング作業の標準的な時間を事前に把握し、ピーク時などには人員を効果的に振り分けるといった倉庫内作業における人員の適正配置などは、以前から継続して行っています。今後、東芝としては、業界全体での取り組みに注力したいところです。内閣府が推進する戦略イノベーション創造プログラム「SIP(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)」などでは、業界全体でサプライチェーンのデータプラットフォームを構築し、データを活用することでロジスティクスの効率化を図るような議論が進められています。情報をこれまで以上に流通させることで、社会問題を解決できることがたくさんあるはず。東芝としても、物流デジタルトランスフォーメーションに向けたソリューションを今後も検討していきたいと考えています。


特長的な取り組み