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情報通信プラットフォーム

電池で10年間駆動可能な省電力無線マルチホップネットワーク技術を開発

2016年9月

概要

当社は、広範囲に設置したセンサーのデータを無線中継により99.999%以上の割合で収集でき、10年以上にわたる電池駆動が可能な省電力無線マルチホップネットワーク技術を開発しました。本技術により、災害の恐れがある自然環境や、老朽化の進む建物、橋梁やトンネルなどを少ないメンテナンスコストで監視できるようになります。本技術の詳細は、北海道大学で開催される電子情報通信学会ソサイエティ大会にて、9月23日に発表します。

開発の背景

近年、社会インフラの老朽化や気象災害が問題となっています。そこで事故や災害による被害を軽減するため、対象物にセンサーと通信装置を取り付け、ネットワークを介してデータを収集し監視するセンサーネットワークが注目されています。しかし、過酷な自然環境や人が容易に近づけない場所にも通信装置を設置する必要があり、設置や運用中のメンテナンスが困難という問題がありました。また、広い範囲を監視する際に手間がかかるという問題がありました。

本技術の特徴

そこで当社は、少ないメンテナンスコストで高信頼なデータ収集を実現する無線通信技術を開発しました。通信装置には、免許が不要なため導入が容易で、見通し環境では1kmを超える長距離通信が可能な920MHz帯特定小電力無線機を採用しました。また、電池駆動型のため通信線や電源線を必要とせず、容易に設置することが可能です。さらに、無線機が送信したセンサーのデータを、周囲の無線機が受信して再送信する中継送信(マルチホップ通信)により、広い範囲のデータ収集を実現しています。
データ送信時に通信が途切れた際には、周囲の無線機から通信条件の良い新たな通信相手を再選択しデータを再送する機能(図1)を設けており、本機能によりセンサーのデータを99.999%以上の確率で収集することができます(注1)。また、省電力化対策として、通信タイミングを一致させ、通信不要の時間帯は無線機をスリープさせる時分割通信(注2)を採用しています(図2)。データ収集に必要な無線中継回数と、自身に与えられた装置番号から、自律的に無線機をスリープさせるタイミングを判断できる仕組みを開発し、マルチホップ通信においても長時間のスリープを可能としました。これにより大幅な省電力が実現し、全ての無線機について10年間にわたり電池交換のためのメンテナンスが不要なことを計算機シミュレーション上で確認しました(注3)。さらに、試作機を用いた16日間の連続通信試験により、これを裏付ける結果を得ました。
これらの技術により、920MHz帯を用いた無線ネットワーク方式で、省電力化(電池動作10年以上)と、データ収集率99.999%以上という高い信頼性両立を可能にしました。

(図1)通信経路の再選択

(図2)時分割通信

図2はクリックで拡大画像を表示します

今後の展望

当社は、今回開発した省電力無線マルチホップネットワークを、さまざまな自然環境下やビル等に設置し、実証試験を進めています。引き続き、各種センサーを用いた監視に応用し、安心で安全な社会の実現を目指します。

本技術の紹介映像

※再生ボタンをクリックすると、YouTubeに掲載している動画が再生されます。
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(注1)計算機シミュレーションによる測定値です。当社の定める無線環境にて100台の無線機を動作させた場合の推定値であり、全ての環境での動作を約束するものではありません。

(注2)センサデータを収集する周期を、複数の細かい時間間隔に細分化し、無線機がいずれかの時間間隔を用いてセンサデータを送信する通信方式を指します。

(注3)計算機シミュレーションによる測定値です。CR-V3電池の使用と、30分間隔のセンサデータの送信を前提としています。


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