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5G無線バックホール回線(中継回線)向け伝送試験で20Gbpsの伝送速度を達成
−送受信アナログ回路の歪みを補正する新技術により伝送速度の高速化とコスト削減を両立−

2019年12月12日
株式会社東芝

当社は、第5世代移動通信システム(5G)において、通信事業者の基幹回線網(注1)などで末端のアクセス回線と中心部の基幹通信網(バックボーン回線)をつなぐ中継回線・ネットワークであるバックホール回線向けの超高速無線技術を開発し、通信距離5kmと等価に設定した(注2)伝送実証試験において、伝送速度20Gbpsを達成しました。本技術により、バックホール回線で従来必要とされていた光ファイバなどのケーブルの設置が不要となり、工事費やメンテナンスの削減が可能となります(図1)。
当社は、本技術の詳細を、米国・ハワイで開催される通信系技術の国際会議「Globecom2019」にて、12月10日(現地時間)に発表しました。

図1:バックホール無線化による効率化イメージ

工場内の各種センサーをつないで製造プロセスを最適化するスマートファクトリーや、モビリティの自動運転を可能にする次世代通信インフラとして、5Gの構築が進められています。5Gでの基地局とモバイル端末間の伝送速度を高速化するには、基地局と基幹回線網を繋ぐバックホール回線の大容量化が必要です。5Gでは、満遍なく電波が届かないと性能を発揮できないため、山間部などの光ファイバの敷設が困難なエリアにおいても新たに基地局を設置する必要があります。光ファイバを敷設せず、基地局を基幹回線網に接続する方法として、バックホール回線の無線化が挙げられますが、無線バックホールを大容量化するには、70/80 GHzの高い周波数で広い帯域を確保することが不可欠とされており、安定して通信を行うことが課題でした。また、送受信機に搭載されるアナログ回路の周波数特性が不均一なため、受信信号に劣化が生じ、広い帯域にわたって高品質に信号を伝送することが困難でした。

そこで当社は、複数の送受信アンテナ間で、それぞれ垂直方向と水平方向の2つの偏波(電磁波)を用い信号を多重化して伝送することで大容量高速通信を可能にする偏波MIMO-OFDM方式に着目し、この方式に新たに歪み補正技術を用いることにより、広帯域において伝送速度20Gbpsの安定した高速大容量通信を実現しました。
無線バックホールでは、送受信アンテナがビルなどの障害物がないエリアに設置されます。従来の複数アンテナを用いた信号多重化技術であるMIMO伝送は、アンテナ間に存在する障害物による反射波を利用して、各信号の独立な経路を確保しているため、反射波が利用できない環境では各信号の独立した伝搬経路が確保できず性能が劣化しますが、今回採用した偏波MIMOを用いると、偏波の違いで互いに干渉せず独立経路を確保することができ、安定的に伝送速度を2倍にすることができます。
また、複数の直交する周波数にデータを載せるOFDM伝送はMIMO伝送との親和性が高く、周波数領域の劣化に耐性を有するといった利点があります (図2)。更に、アナログ回路の周波数特性が不均一なことによる受信信号の劣化については、独自の歪み補正技術により、受信側の情報を高品質に取り出すことに成功しました(図3)。
今回開発した技術を用いることで、高周波帯の広い帯域幅を有効活用して、長距離かつ超高速の安定した無線通信が実現できます

当社は、今後も長距離大容量伝送技術の開発を進め、5Gをはじめとする通信技術の発展に貢献します。

図2:偏波MIMO-OFDM技術

図3:歪み補正方式の効果

図4:伝送実証試験

(注1)基地局同士や他の移動体通信網と接続を行うネットワーク。

(注2)送受信間距離は900m,受信側に減衰器を入れて5kmを模擬。


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