東芝会社案内2024
19/100

図3: Cu2Oタンデム型太陽電池の低減を図り、効率化・デジタル化に貢献します。また、EC拡大により需要が増す物流倉庫では、多品種な商品に柔軟に対応できるピッキングロボットなどの知能化物流ロボット群と、作業者とロボットへの作業振り分けを最適化するWES(Warehouse Execution System)を用いて自動化・省人化を実現します。ビルソリューションでは、スマートで品質の高い昇降機、照明機器やサービスを提供することにより、快適なビル環境を提供します。エレベーターの利用者に新しい価値を提供する「Elevator as a Service」を実現する昇降機プラットフォーム(※2)を活用し、エレベーターとロボットの連携やスマートフォンでエレベーターを呼ぶ機能、管理者支援など、クラウドを活用したサービスの拡充を目指していきます。リテール&プリンティングソリューションでは、お客様にとっての価値創造を原点に発想し、世界のベストパートナーとともに優れた独自技術により、確かな品質・性能と高い利便性を持つ商品・サービスをタイムリーに提供します。戦略パートナーとの共創によるグローバルリテールプラットフォーム「ELERA」上には、多種多様なマイクロサービスを構築するとともに、購買に伴う膨大なデータを集約します。店内、店外、バックヤード、そしてサイバーとフィジカルをつなぐさまざまなサービス群をラインナップすることで、店舗ごとの課題に即したソリューションを提供し、高付加価値のデータを利活用しながら小売業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を強力にサポートします。デバイス&ストレージソリューションでは、デジタル化・グリーン化社会の課題解決やビッグデータ社会への貢献を目指し、産業、車載、データセンター領域などに向け、高付加価値な半導体製品やストレージ製品を提供しています。シリコンパワー半導体においては、日本初となる口径300mmウエハーに対応した量産ラインを立上げ、世界トップクラスの高効率を誇るパワーMOSFETや東芝が世界に先駆けて開発したIEGTなどのラインナップを拡充していきます。さらに次世代の化合物半導体(SiC、GaN)デバイス開発を推進し、それぞれ材料固有の特長を最大限に引き出すデバイス技術・設計技術を通して、機器の高効率化、小型化、高信頼化を実現していきます。また、HDDでは、さらなる高記録密度を可能にするマイクロ波アシスト記録技術(FC-MAMRTM、MAS-MAMR)により、データセンター向けニアラインHDDの大容量化の開発を推進します(※3)。デジタルソリューションでは、産業ノウハウを持つ強みを生かし、IoTやAIなどのデジタル技術や量子技術を活用した新たなサービスや価値をお客様やパートナーと共創してまいります。例えば、組合せ最適化ソルバー「シミュレーテッド分岐マシン(SimulatedBifurcation Machine以下、SBM)」を核にソリューションとして体系化した、量子インスパイアード(※4)最適化ソリューション「SQBM+™」(エスキュー※1: https://www.global.toshiba/jp/cps/corporate/ai.html※2: https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2022/1011.html※3: https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2112-04.html※4: https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/ai-iot/sbm/intro.html※5: https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2102-02.html※6: H. Goto et al., Science Advances 7, eabe7953 (2021)※7: 受光面積400cm2以上の大面積フィルム型モジュールにおいて。  当社調べ 2022年10月時点。本成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。※8: https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2112-03.html※9: 当社調べ 2022年9月時点。本成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。※10: 2021年12月時点でのSi太陽電池の世界最高効率。Nature Energy 2, 17032 (2017).※11: https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/security-ict/qkd/cases.html※12: https://www.global.toshiba/jp/news/corporate/2018/08/pr2701.html※13: https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2106-02.html※14: https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2110-01.htmlビーエムプラス)を提供しており、用途に応じた最適化ソルバーをラインアップし、アルゴリズムには速度・精度・規模を大幅に向上させる新たなSBアルゴリズム(※5,6)を採用しています。各分野の専門知識を持つパートナーと連携・共創し、金融・創薬・遺伝子工学・物流・AIなどさまざまな領域で複雑化する社会課題の解決に貢献していきます。上記事業領域における研究開発の他、研究開発センターを中心として将来に向けたフロンティア領域の研究開発を行っています。新型太陽電池では、独自のメニスカス塗布印刷技術により世界最高のエネルギー変換効率16.6%を達成(※7)した「フィルム型ペロブスカイト」と、世界で初めて透明化に成功したCu2O発電層を用いた「Cu2Oタンデム」(※8)の開発を推進しています(図3)。「フィルム型ペロブスカイト」は軽量で柔軟という特徴を活かし、ビル壁面やビニールハウスなど、パネルが設置できなかった場所への適用が期待されています。「Cu2Oタンデム」では発電層の不純物を抑制し、加えてセルサイズを拡大しセル壁面での再結合を低減することで、世界最高の発電効率9.5%の実現に成功(※9)しました。さらに、このCu2O太陽電池をシリコン(Si)太陽電池に積層したCu2O/Siタンデム型太陽電池が、Si太陽電池の世界最高効率26.7%(※10)を超えるポテンシャル(効率25%のSi太陽電池とタンデム化した場合の試算効率は28.5%)を有することを確認しました。フロンティア領域の研究開発においては、オープンイノベーションも積極的に活用しています。その事例として、産官学連携により量子暗号通信の研究開発を推進しています(※11)。現在、北米、欧州、アジアなど、グローバルに事業展開を図るとともに、日本や欧州他のプロジェクトを通じた産官学連携により技術開発を進めています。世界で初めて実環境下で10Mbpsを超える鍵配信速度の実証に成功し(※12)、さらには、世界最長となる600km以上の通信距離の実証(※13)や、光集積回路を用いた小型化を実現しました(※14)。東芝グループの社会課題の解決に向けた注力技術領域の取組みについて概説しました。経営理念 「人と、地球の、明日のために。」 のもと、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの実現に向け、先端・基盤技術、そしてエンジニアリング技術の開発と社会実装に誠心誠意取り組んでまいります。19

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る