東芝会社案内2024
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ナノ材料・フロンティア研究所機能材料ラボラトリー2016年入社 工学研究科 金属フロンティア工学専攻アナリティクスAI部門2016年入社 応用生命システム工学専攻笹谷 典太Sasaya Tentaノイズに埋もれた異常信号を検出する 私はスイッチギアと呼ばれる電源設備の絶縁診断サービスに向けて異常検知技術の開発に取り組んでいます。スイッチギアは工場や大型の商業施設などに備えられ、大きな電流を制御する装置です。非常時にはスイッチギアが電流を遮断しますが、万が一その絶縁性能が劣化していると重大事故につながります。そこで、劣化初期に生じる微弱な異常信号をノイズに埋もれた状態から既検出し、スイッチギアの絶縁性能の劣化の予兆を早期に検知しようというのが私の研究テーマです。ほとんど文献もなく、一からあれこれ試していく中で従来の信号処理の枠組みではうまく対応できないことがわかり、機械学習を利用しています。この技術はスイッチギアで生じる異常信号に限定したものではないので、公開データ等を利用してその他の用途への応用の探索も始めています。システムAI部門2014年入社 生命医科学専攻福島 亜梨花Fukushima Arika機械学習でバッテリー残量を予測 これから普及が見込まれる電気自動車が一回の充電で走れる距離は、ガソリン車が一回の給油で走れる距離と比較すると、短いのが現状です。途中でバッテリーが空になるのではないかと不安なので、給電所の間隔が長い高速道路には乗らない、という電気自動車ユーザもいます。そこで「あなたの車はこのあたりまで行けます」「ここの給電所で充電することをおすすめします」といった情報を提供するシステムを開発しています。ドライバーが走行前にスマートフォンで自車の基本情報を入力すると、走行開始後はGPSで車の位置と移動状況を計測し、機械学習の技術を利用して道路の勾配や気象状況も加味したバッテリー残量を予測します。「Bパーキングエリアでは残量が40%あります」「Cパーキングエリアでは残量が20%になります。充電が必要ですが、Cパーキングエリアの給電所は混雑しているので、あらかじめBパーキングエリアで充電を済ませてください」といった情報提供が可能です。ませんでした。ところが電池関連の大きな国際学会で発表した際にたくさんの質問を受けたことで、多くの人が興味のある大事なことを研究している実感が得られ、とても良い経験となり、また大きな自信にもなりました。経験がないからと尻込みするより、自分が積み重ねてきたことに自信を持つことが大切だと思います。 電池の研究開発チームには学生時代からずっと電池を研究していた人もいますし、電池を構成する有機材料や無機材料それぞれの分野に詳しい人も揃っており、すごく恵まれた研究環境だと思います。メンバーそれぞれの担当部分の実験や評価の結果を持ち寄ってミーティングを開いたり、自分で手を動かしてみて初めてわかることもたくさんあり、日々学びながら開発を進めています。https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc.html働きながら博士号(論文博士)を取得 私は修士の時に東芝のインターンシップに参加して、医療機器の研究をするつもりで入社しました。しかし、医療機器事業は東芝グループから離れたので、研究対象が大きく変わりました。そして、医療機器の研究をしたいという思いを捨てきれず、勤務終了後に自宅で学生時代に取り組んでいた画像センシングの研究を続け、論文博士の取得を目指しました。当時の上司が会社に入ってから博士号を取った方で、理解が得られたのは幸いでした。日中、自分が会社に行っている間に実験が終わるように自宅のパソコンでプログラムを回し、帰宅後に解析するということを繰り返し、4年間かけて博士号を取得しました。研究開発センターには、他にも入社後に博士号を取得した研究者が何人もいます。現在の私の研究は計測されたデータを処理することが多いのですが、今後は学生時代に培ったセンシングの知識を生かしながらデータを計測する部分にも踏み込んだ提案をしてみたいと考えています。社内のセンサを作っている部門と連携してハードウエアに工夫を凝らし、新たに取得できるようになったデータをさらに加工して意義のある情報を抽出するというような、上流から開発できるテーマを手掛けたいと思っています。遺伝子から電気自動車へ転進 私の所属している部門では、機械学習やデータマイニングのアルゴリズムを利用して、機械に分析/解析/予測させる研究に取り組んでいます。その対象は様々です。私の大学時代の専攻は生命情報系で、脳のネットワーク解析がテーマでした。入社してから2年間はヘルスケアの分野で遺伝子の型判定技術を担当し、主に遺伝性の病気を解析する研究をしていました。その後、研究対象が遺伝子から電気自動車に変わって6年あまりになります。研究対象が電気自動車に変わるとは予想もしていませんでしたが、技術の核は変わっていません。これからも技術の核を磨きながら、技術が社会に実装されるまで、しっかり取り組むつもりです。27LinkLink脱炭素化に貢献できるリチウムイオン二次電池の研究をしています。機械学習を用いて設備の異常を察知する。機械学習技術。電気自動車の“電欠”を防ぐ。現在働いている社員がシゴト内容を紹介Staff Voice草間 知枝Kusama Tomoe 東芝には脱炭素化に貢献できる製品の一つとして、SCiBTMという名前のリチウムイオン二次電池があります。SCiBTMは高い安全性や急速充電性能をもつ電池ですが、私たちはその負極材料をチタン酸リチウムからニオブチタン酸化物に替えて、SCiBTMの優れた性能を維持しつつ、より高い容量や出力を出せる新しい電池を開発しています。その中で私は大きな電流を流して大きなパワーを出すことに重点を置いた高出力タイプの電池の開発を担当しています。電池の中の抵抗成分を小さくする必要があり、たとえば電池部材同士の界面の抵抗を減らすなどの取り組みをしています。 実は私は磁性材料を研究するつもりで入社したのですが、それまで経験のない電池を担当することになり、当初は戸惑いなかなか自信が持て

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