東芝トップページ お問い合わせ
東芝レビュー
HOME > 概要一覧
概要一覧
 
VOL.74 NO.4(2019年7月)
英文ページへ

特集:デジタル時代におけるロボット技術と自動化ソリューション

巻頭言 CPSはロボット技術のマトリョーシカ (p.1) 本文PDF(144KB/PDFデータ)
堀 修

 
トレンド CPSの実現に向かうロボット技術の高度化と実用化 (p.2-7) 本文PDF(1.28MB/PDFデータ)
宮内 孝・近藤 浩一・山本 健彦・山本 宏

少子高齢化などの社会構造の変化に伴う人手不足の深刻化,及び作業内容の多様化・複雑化に応えるため,ロボットや自動化機器には,従来のような定型的な繰り返し作業に加え,周囲環境や作業内容に応じて柔軟に判断し,自律的に働くことが,期待されている。
これまで,東芝グループは,各種のロボットや自動化機器を開発し,様々な形で社会や市場のニーズに応えてきた。また,人手不足や作業内容の多様化・複雑化に対応するため,個々のロボットの知能化・高度化に加え,ロボットをCPS(サイバーフィジカルシステム)のエッジコンピューティング端末とすることで,これまでの単体機器では成し得なかった価値創出を実現し,様々な顧客に自動化ソリューションとして提供していく。

 
ロボットの的確な判断を可能にする認識技術 (p.8-11) 本文PDF(894KB/PDFデータ)
松村 正文・伊藤 聡・赤木 琢磨

近年,AIや深層学習の急速な進歩により,ロボットの進化と普及が進んでいる。一方,国内では少子高齢化や人手不足などの解決といった社会課題に対応するため,ロボットへのニーズや期待が年々増加し適用範囲が拡大している。ロボットの高度化を実現するには,状況を的確に認識する目に相当する機能の役割が重要になっている。
東芝グループは,ピッキングや,荷積み・荷降ろし,自律移動,スポット溶接検査など,多種多様な機能を持つロボットを開発している。今回,ロボットの高度化を可能にする,物体の種類に依存しない物体領域抽出技術や,様々な形状の物体に対応できる3次元姿勢推定技術,マーカーなしで回転誤差1°以下,並進誤差10 cm以下で自己位置を推定する技術,スポット溶接の非破壊検査を効率化する超音波センシング技術などの認識技術を開発した。

 
はやく・やさしく・緻密な動作を実現するロボット制御・把持技術 (p.12-15) 本文PDF(621KB/PDFデータ)
平栗 一磨・河合 宏文・中本 秀一

産業用ロボットの適用範囲は,製造現場での単純な組立作業などから物流・サービス分野など,多種多様な対象物を含む非定型作業へと拡大しつつある。このため,ベンダーが異なるロボットを自由に組み合わせて,ユーザー要求に従って様々な動作を実現できる自動化システムが求められている。
東芝は,様々なロボットを共通の命令で動作させるため,ベンダーごとに異なるロボットの設定手順や命令系統を,一般化された通信インターフェース(IF)で統一的に扱うことができるソフトウェアを開発した。また,“ものをつかむ”という動作に対して,吸着と挟持の二つの持ち方ができる複合把持機構や,荷物の質量によって把持方法を切り替える機構なども開発した。これらにより,“はやく”(早くかつ速く),“やさしく”(優しくかつ易しく),緻密な動作を実現する。

▲このページのトップへ
効率的なロボット開発を実現するソフトウェアプラットフォーム (p.16-19) 本文PDF(517KB/PDFデータ)
平山 紀之・澤 和秀・野口 恵古

自動化や省人化を目的として様々な分野でロボットの導入が進み,ニーズの多様化に対応して多種多様なロボットシステムを,短期間に低コストで開発することが求められている。効率的なシステム開発には,ソフトウェアプラットフォームの構築が不可欠である。
東芝グループは,ロボットをCPS(サイバーフィジカルシステム)のエッジコンピューティング端末と位置付け,ロボット共通のリファレンスアーキテクチャーを定義した。OSS(オープンソースソフトウェア)のROS(Robot Operating System)を最大限に活用しながら独自に開発した機能を加えることで,ピッキングロボット及び自律型移動ロボットのシステムを最適化する,それぞれのソフトウェアプラットフォームを構築した。

 
物流現場の省力化や効率化に貢献するピッキングロボット・荷積みロボット (p.20-24) 本文PDF(1.59MB/PDFデータ)
小川 昭人・牛山 隆文・江原 浩二

近年,物流分野では,eコマース(電子商取引)の普及に伴って多種多様な商品が大量に取り引きされるようになり,物流センターの建設投資が拡大している。しかし,大量の物品の仕分けや箱詰めなどの多くは人手に頼っており,人手不足が顕在化していることから,ロボットによる現場作業の自動化に期待が集まっている。
東芝インフラシステムズ(株)は,物流センターの省力化・全自動化の要求に応え,荷降ろしロボットの製品化に続き,ピッキングロボット・荷積みロボットを開発した。これらのロボットは,センサー情報による状況認識,動作計画の生成,動作実行のサイクルを行うCPS(サイバーフィジカルシステム)で構成され,様々な物品が行き交う物流現場で,扱う物品や状況を自律的に判断して適切な作業を遂行できる。また,これらロボット群を,エッジコンピューティング端末として倉庫統合制御システム(TWCS:Total Warehouse Control System)につなげることで上位のCPSを構成し,物流センター全体を効率化する。

 
非破壊検査で省人化と信頼性向上に貢献するスポット溶接検査ロボット (p.25-28) 本文PDF(892KB/PDFデータ)
牛島 彰・齊藤 真拡・松本 真

スポット溶接は,自動車や鉄道車両などの強度品質を大きく左右する重要な工程であるが,溶接箇所が数千点もある製品の場合,抜き取りによる破壊検査が主流になっている。しかし,高張力鋼板(ハイテン)材の増加に伴い,スポット溶接部を人手によらず短時間で精度良く検査可能な非破壊検査へのニーズが高まっている。
そこで,東芝グループは,スポット溶接部の自動探傷を実現するため,開口合成法を用いて溶接内部の3次元(3D)画像化が可能な超音波検査装置 Matrixeyeとロボット制御技術を組み合わせて,スポット溶接検査ロボットを開発した。熟練を要していた超音波プローブの角度調整操作(あおり操作)を,超音波画像解析技術と緻密なロボット位置制御技術を用いて短時間で行うことができる。フィールドテストによる改良を重ねて信頼性や使い勝手の向上を図り,早期実用化を目指している。

▲このページのトップへ
短期間で構築可能な自律移動ロボットシステム (p.29-32) 本文PDF(727KB/PDFデータ)
山本 大介・岸 伸享・平 和樹

少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化する中,様々な分野で,人手による作業をロボットに置き換えることが期待されている。しかし,分野ごとに異なる多様な作業をロボットで実現するには,多くの専門知識と時間が必要である。
東芝グループは,物流センターでのかご台車による搬送作業,及び店舗での棚監視作業という二つの作業で使用する自律移動ロボットをターゲットに,ハードウェアを機能ごとにユニット化し,ソフトウェアをプラットフォーム化したシステムの開発に取り組んでいる。作業に必要なハードウェアユニットとソフトウェアモジュールを組み合わせ,短期間で自律移動ロボットが開発できることを実証実験で検証し,システムの有効性を確認した。

 
人とロボットの協働で製造ラインを省人化するロボットアーム搭載型AGV (p.33-36) 本文PDF(720KB/PDFデータ)
寺田 明人・堀江 一宏・原 直行

国内の労働人口の減少に伴う深刻な人手不足やアジアを中心とした賃金上昇の加速などから,生産現場の自動化が喫緊の課題となっている。現場での搬送作業は,搬送に加えて部品の載せ替えなどの移載作業も自動化することで,より大きな省人化が図れることから,設備投資の効果が大きくなる。
そこで,東芝グループは,製品や部品の移動を自動化するために,ロボットアームを搭載したAGV(無人搬送車)を開発し,社内外の生産現場への導入を進めている。半導体製造ライン向けには,ウエハーケースを搬送するロボットアーム搭載型AGVを,工場の製造ライン向けには,段ボール箱のパレット上への積み上げ作業を行う移動式パレタイザーを,それぞれ開発した。作業者監視センサーによって作業者とロボット間の安全距離を確保することで,製造ラインの安全な作業を実現できる。

 
既存機器への後付けでシステムのIoT化を可能にするCPSエッジツール (p.37-41) 本文PDF(839KB/PDFデータ)
日下 翼・瀧 利和・林 家佑

生産現場には,稼働中のロボットやレガシーな自動化機器などが数多くあり,これらフィジカル空間にある既存機器のデータをネットワークで収集してサイバー空間で処理することで,最適なCPS(サイバーフィジカルシステム)を構築することが求められている。そこで,機器に後付けして容易にIoT(Internet of Things)化し,CPSに組み込むための仕組みが必要になる。
東芝は,CPSの構築に向けて,既に稼働中の機器に後付けすることで必要なデータを収集できるCPSエッジツールを開発した。様々なセンサーを容易に追加してデータを収集できる技術や,メーターの表示をカメラで撮像して数値化するメーター読み取り技術など,データ収集の省人化やロボットによる巡回点検などへの活用が期待できる。

▲このページのトップへ



一般論文
重み係数のスパース化による深層ニューラルネットワークのコンパクト化技術 (p.42-45) 本文PDF(672KB/PDFデータ)
谷口 敦司・浅野 渉・谷沢 昭行

深層学習で用いられる多層のニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Networks)は,画像認識などの処理で高い性能を実現している。しかし,DNNは大規模・複雑化する傾向があるため,演算能力や搭載メモリー量の制約があるエッジデバイス上で動作させることが困難であった。
東芝グループは,一般的な学習条件下で,DNNにおける多数の重み係数のうち一部が自動的にゼロ近傍に収束する(スパース化)現象を発見した。国立研究開発法人 理化学研究所(以下,理研と略記)と共同で,その発生原理を解明するとともに,学習後にゼロとなった重み係数を削除することでDNNのデータ量を削減するコンパクト化技術を開発した。画像認識の公開データセットを用いた実験の結果,この技術が認識精度の低下を抑えながら,重み係数を約80 %削減できることを確認した。

 
リチウムイオン二次電池を適用した変電所向けSCiB™直流電源装置 (p.46-49) 本文PDF(517KB/PDFデータ)
豊崎 智広・川本 真也・木内 麻紗子

電力会社の変電所では,鉛蓄電池が直流バックアップ電源(以下,バックアップ電源と略記)用の蓄電池として主流である。しかし,設置面積が大きく,整流器に比べて交換時期が早いことや,蓄電池の劣化状態を把握するためには定期的に現場で電圧及び内部抵抗の測定を行うなどメンテナンスコストが掛かる。そこで,省スペースでかつメンテナンスが容易なリチウムイオン電池の適用が期待されているが,バックアップ電源として適用する場合,安全性の確保とフロート充電時の寿命の低下といった課題がある。
東芝グループは,フロート充電時でも長寿命特性が検証された東芝製リチウムイオン二次電池SCiB™を適用した変電所向けSCiB™直流電源装置を開発し,市場への展開を目指している。

▲このページのトップへ
蒸気タービン・ガスタービン材料への金属3次元積層造形技術の適用 (p.50-53) 本文PDF(804KB/PDFデータ)
日野 武久・大西 春樹・只野 智史

金属3次元(3D)積層造形技術は,熱源として電子ビーム又はレーザービームを用いて,金属粉末の溶融・凝固を繰り返して金属部品を製作することができ,金型を必要とせず短期間で成形できる利点から幅広い分野に適用されつつある。一体製造で部品点数を削減できる点や,複雑な形状が可能となり設計の自由度が増す点などから,発電プラントなどインフラ機器への適用も検討されている。
東芝エネルギーシステムズ(株)は,金属3D積層造形技術を,蒸気タービンやガスタービンなどのエネルギー機器に適用するための技術開発を進めている。タービン翼に使用される高温材料について,原料粉末や造形パラメーターなどを最適化した結果,試作材料で良好な組織と機械的特性が得られることを確認した。また,造形時の変形を抑制するためのサポート部品の設計に最適なシミュレーション手法も開発した。

 
安心・安全なUV-LEDを光源とした流水殺菌装置 (p.54-57) 本文PDF(512KB/PDFデータ)
櫻井 公人・加藤 剛雄・田内 亮彦

水の殺菌用途では,いまだに塩素処理や水銀ランプを使ったUV(紫外線)処理が主流になっており,塩素や水銀ランプ破損による水銀の流出など環境への悪影響が懸念されている。UV発光のLED(発光ダイオード)(以下,UV-LEDと呼ぶ)は,発光効率が低いものの,水銀フリーのUV光源としての安全性と小型化により,装置設計の自由度が広がることから,既存水銀ランプからの置き換え需要のほか,新たな市場への応用展開も期待されている。
東芝ライテック(株)は,安心・安全への要求が高まっている食品・医療分野を対象に,波長280 nmのUV-LEDを光源とする流水殺菌装置を開発した。流体に効率良くUVを照射できる独自の流路設計を採用することで,流量10 L/minの1パス殺菌処理で,大腸菌殺菌率99.9 %以上を実現できた。

▲このページのトップへ


R&D最前線
透明材料の屈折率均一性を低コストで評価できる背景型シュリーレン法を用いた可視化手法 (p.58-59) 本文PDF(378KB/PDFデータ)
戸谷 公紀

精密な光学部品の品質を低コストで評価する技術を開発し,製造条件の最適化を効率的に行う仕組みを構築
光学部品を高精度に製造するためには,材料内部の屈折率を均一に制御することが重要です。射出成形で製造される樹脂光学部品は,製造条件によって応力が生じて密度が不均一になると,屈折率が変化します。
東芝は,従来手法と比較して簡易な光学系で,透明材料内部の屈折率分布を定量的に測定する,背景型シュリーレン(BOS:Background-Oriented Schlieren)法を用いた可視化手法を開発しています。開発した手法により,応力で生じる微小な屈折率変化を定量的に測定できることが分かりました。製品検査工程において,屈折率の均一性を低コストで評価することで,製造条件を効率的に見直し,生産性を向上させる新しい仕組みを構築できます。

▲このページのトップへ
   

東芝レビューに記載されている社名,商品名,サービス名などは,それぞれ各社が商標として使用している場合があります。

東芝トップページ | 個人情報保護方針 | サイトのご利用条件 Copyright

English