ジャパンラグビー トップリーグ2021 第7節
2021年4月11日(日)13:00〜
ミクニワールドスタジアム北九州
東芝ブレイブルーパス | 49 − 14 | 宗像サニックスブルース |
- 49
- 14
チーム名 | 時間 | T | G | P・T | P・G | D・G | 小計 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() |
前半 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 14 | 49 |
後半 | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 | 35 | ||
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前半 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 14 | 14 |
後半 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
出場メンバー
- 1藤野 佑磨
- 2平田 快笙
- 3眞壁 照男
- 4伊藤 鐘平
- 5小瀧 尚弘
- 6シオネ・ラベマイ
- 7佐々木 剛
- 8〇リーチ マイケル
- 9高橋 昴平
- 10ジャック・ストラトン
- 11濱田 将暉
- 12ジョニー・ファアウリ
- 13桑山 淳生
- 14ジョネ・ナイカブラ
- 15桑山 聖生
- 16大内 真
- 17金 寛泰
- 18知念 雄
- 19マット・トッド
- 20山本 浩輝
- 21杉山 優平
- 22松永 拓朗
- 23東口 剛士
○印 ゲームキャプテン
交替
前半 | ||
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後半 | ||
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4分 | 金 寛泰(藤野 佑磨) | 入替 |
知念 雄(眞壁 照男) | 入替 | |
11分 | マット・トッド(伊藤 鐘平) | 入替 |
20分 | 大内 真(平田 快笙) | 入替 |
26分 | 杉山 優平(高橋 昴平) | 入替 |
東口 剛士(桑山 淳生) | 入替 | |
31分 | 山本 浩輝(リーチ マイケル) | 入替 |
36分 | 松永 拓朗(ジャック・ストラトン) | 入替 |
一時
前半 | |
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後半 | |
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カード
前半 | |
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後半 | |
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トライ
前半 | |
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8分 | 小瀧 尚弘 |
40分 | 平田 快笙 |
後半 | |
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8分 | 高橋 昴平 |
14分 | シオネ・ラベマイ |
16分 | 平田 快笙 |
31分 | シオネ・ラベマイ |
40分 | 杉山 優平 |
概要
レビュー
リーグ最終節の第7節、宗像サニックスブルース(以下:サニックス)との対戦は、福岡県北九州市に位置するミクニワールドスタジアム北九州にて行われました。
この試合は、先発メンバー15人中11人が4年目以下の選手で構成されました。
過去シーズン、東芝にはベテラン選手が比較的多いというイメージがありましたが、この試合のメンバー構成は、スタメンの平均年齢が25.2歳という過去の東芝の試合の中でも上位に位置する若手主体のラインナップとなりました。
ベテラン選手が主として揃うチーム、若手選手が多くメンバー入りするチーム、どちらがいいのでしょうか。
ベテラン層が多くメンバーに残るチームは、コンスタントに高いレベルを維持できる選手が多いということであり、経験も豊富なためプレーの仕上がりの振れ幅が少なく、チーム力が計算しやすいというメリットがあります。
しかし、常に同じメンバーが試合に出ていると、競争の機会が減ってチームとしてのモチベーションが低下し、徐々にBチームの士気が下がってしまいます。Aチームにとっても、仮想相手チームの役割を果たしてくれるBチームのレベルが下がると、試合に向けた良い準備が出来ないというデメリットがあります。
一方、若手選手が多いチームは、フレッシュで勢いのあるラグビーが出来ることによってよりチャレンジングな発想が生まれ、チーム内の競争も激化しチーム全体の熱が高まります。
ところが、経験値が少ない選手ばかりだと、チーム状態が良くないときや試合中で劣勢の状況に置かれたとき、立て直す術が足りないという脆さがあります。
勿論、両年齢層のバランスを保っているチームが理想的ではありますが、怪我人や採用人事面での調整においてその均衡を常に保つことが難しい事態が起こり得ます。
そのため、どのような選手起用によってチームを構成するかは、シーズンを通して戦う上で、ひいてはチームの今後を考える上で、非常に重要な決断となります。
どちらが正解というわけではありません。良い結果が出れば、その選択が正解だったということになります。
若手主体のメンバー編成になったこのサニックス戦では、ベテランと中堅選手の存在がキーパーソンとなりました。
ゲームキャプテンを務めた8番リーチマイケル選手は、豊富な経験値を活かしてチーム全体をコントロールしながら、若手選手が活躍できるよう、細部にわたり気を配っていました。
全体に目が行き届く選手がいることは、選手間の円滑な世代交代を生み出し、良いチームを作り出すために不可欠な要因なのかもしれません。
ここで、若手とベテランが巧みにリンクした素晴らしいプレーをひも解いていきたいと思います。
それは、後半15分のトライに繋がったプレーです。
サニックスのキックオフを15番桑山聖生選手がキャッチすると、ディフェンスの隙をつき11番M田将暉選手にパスします。ここからM田選手が自慢の快足を活かし、相手4人を抜き去って一気に65mを走り抜け、トライライン手前15mの地点まで攻め込みます。その後右へ展開したところで相手に奪われそうになりますが、10番ジャック・ストラトン選手、8番リーチ選手、5番小瀧尚弘選手が奪い返し、アタックを継続します。そのラックから、9番橋昴平選手⇒12番ジョニー・ファアウリ選手⇒6番シオネ・ラベマイ選手⇒19番マット・トッド選手と繋ぎ、最後は2番平田快笙選手がトライを奪いました。
この場面は、1人の経験豊富なベテラン選手の類まれな2つのプレーによって生み出されたトライシーンでした。
それは、この日19番をつけた、元オールブラックスのトッド選手のプレーです。
チームでもトップクラスのM田選手のスピードに、なぜついていけたのか?
トッド選手よりも足の早い選手はいるのに、なぜ誰よりも早くそこに辿り着いたのか?
キックオフからのカウンターアタックのため東芝の選手は誰一人倒れておらず、全員がM田選手のポイントに到達することが出来たはずなのに、なぜトッド選手一人だったのか?
それは、トッド選手の、ランコースのセンスとスピードチェンジのスキル、そして予測能力が成しえた技です。
キックオフ時はグラウンド中央付近にいたトッド選手が、桑山(聖生)選手がボールをキャッチした瞬間にはすでに動き出しはじめ、M田選手が走り始めた瞬間には追い越しそうにまでなっていたのです。
これは、フランカーというポジションには特に必要不可欠な「予測能力」によって成せる技です。もしかしたら、トッド選手の予測では、M田選手はもっと加速すると読んだのかもしれません。
そして、M田選手が相手を抜き去ったときも、最短距離のコースをとりスピードを上げてついていきます。本来ならばもっと多くの選手が瞬時に判断しながらスピードチェンジを繰り返すことがベストですが、トッド選手は若手選手の未達部分をつとめて自然にアシストしていました。
その後、M田選手がタックルを受けてラックになり、サニックスの選手がジャッカルを仕掛けますが、トッド選手がお手本のようなテイクオーバー(ボールを奪いに来る相手を排除するプレー)からたった一人でボールを守りきり、次のプレーへと繋ぎます。これが、このトライを生んだ最も重要なポイントであり、このプレーが無ければM田選手のビッグゲインは無駄になってしまうところでした。
そしてその後に続くフェーズでも、練習量と経験値で培った予測能力を武器に、すぐさま切り返しのアタックに備えます。
最後は、右サイドのラックから、高橋選手⇒ファアウリ選手を経由して、ラベマイ選手が縦へ切り込んだところへ、再びパスを受けたトッド選手がゴール目前まで切り込み、トライを決定づけるオフロードパスを平田選手に繋いで加点しました。
試合後半に得点力が上がった要因、若手選手が躍動できた背景には、リーチ選手やトッド選手のようなベテラン選手の縁の下の大きなサポートがあったのです。
両世代のそれぞれの役割が上手く噛み合わさったとき、チームが組織としての力を2倍3倍に高めていくことは間違いありません。
今シーズンは中々結果が出ない試合が続きましたが、苦しみながら試行錯誤を重ねた結果、リーグ最終戦おいてチームのバランスがとれる傾向が垣間見えたことは、非常に大きな成長であり、自信にも繋がりました。
サニックス戦における一番の収穫は、チームの将来に明るい兆しが見えたことです。
若手選手の活躍は、会場を熱気で包みます。
ベテラン選手の働きは、観客を思わず唸らせます。
中堅選手のリーダーシップは、周りの雰囲気を熱くさせます。
本来の東芝の形に、新しい東芝のエッセンスが加わり、新たなチーム像が見えてきたこの試合は、今後のターニングポイントとなるかもしれません。
リーグ戦はレッドカンファレンス5位という結果でしたが、トーナメント戦まで2週間の準備期間を得た順位であることを前向きに捉え、しっかりとリフレッシュをして、最後のトップリーグで有終の美を飾れるように、覚悟をもってやり切ります。
プレーオフトーナメント初戦の2回戦は、愛知県のパロマ瑞穂ラグビー場にて、4月24日(土)12:00 K.O. リコーブラックラムズとの対戦になります。
トーナメントも応援宜しくお願いします。
ジャパンラグビートップリーグ2021の第7節は4月11日(日)にミクニワールドスタジアム北九州にて、宗像サニックスブルースと対戦した。試合は前半4分、敵陣ゴール前の左中間スクラムの1次攻撃でBKがトライラインまで迫ると、ラックからボールを受けた小瀧がインゴールに飛び込みトライ、ストラトンのゴールも決まり7-0とする。前半35分、37分とサニックスに得点を許し7-14とするも、前半40分、敵陣ゴール前右ラインアウトからFWがモールを組むと、そのまま押し込みトライ、ストラトンのゴールも決まり14-14で前半を折り返す。
後半8分、敵陣ゴール前中央スクラムから橋が持ち出すとタックルを受けながらもトライ、ストラトンのゴールも決まり21-14。後半14分、敵陣ゴール前相手ボールスクラム、橋が相手No.8からボールを奪うと、ラックサイドをついたラベマイ選手が力でねじ込みトライ、ストラトンのゴールも決まり28-14。後半16分、キックオフのボールを受けた桑山(聖)がディフェンスをかわしM田にパス、M田が自陣22mから約60mを走り敵陣深くまで持ち込むとボールを継続、最後はファアウリからボールを受けたシオネ→トッド→平田とオフロードパスをつなぎトライ、ストラトンのゴールも決まり35-14とリードを広げる。後半31分、敵陣22m右ラインアウトからの攻撃、ボールを継続する中でラックからボールを受けたトッドが抜け出しゴール前に迫ると、最後はラベマイが3人のタックルを受けながらインゴールに押さえトライ、ストラトンのゴールも決まり42-14。後半40分、ハーフウェイ付近でボールを奪うとバックスに展開、桑山からボール受けたトッドがラインブレイクをすると、サポートした杉山がパスをもらいそのままトライ、松永のゴールも決まり、49-14で勝利した。チームは勝ち点5を獲得し、リーグ戦(レッドカンファレンス)の最終順位を5位で終了。(総得点16)
この後に行われるジャパンラグビートップリーグ2021プレーオフトーナメントは2回戦から参戦、初戦は4月24日(土)12:00からパロマ瑞穂ラグビー場でホワイトカンファレンス4位のリコーブラックラムズと対戦する。