プロジェクト紹介 不可能を可能に、雨防止治具の開発

不可能を可能に、雨防止治具の開発

建設サイトに1トンを超える制御盤を搬入する作業。
気まぐれな天気は、いつも微笑んでくれるとは限らない。
作業延期のロスを回避する治具製作に挑む。

発想の難しさ

「今回の案件は、Hさんが適任だ。やってくれるね。」

毎期行われる製品開発会議の際、扱う製品が前回担当した製品と同じということもあり、今回の「雨防止治具」開発のプロジェクトに私が主担当として選ばれました。
インデント製品(受注生産品)の搬出入を担当する部門の悩みは、雨天の場合に作業を延期しなくてはならないことでした。作業を延期すると、工期の遅れ、再搬入費、保管費が発生してしまい、荷主企業の物流費が嵩みます。
これまでも搬出入の部門内で製品にシートをかぶせたり、製品を吊るアイボルトの部分を覆ってみたりして、雨天時の作業ができるか試みていましたが、やはり隙間から雨が浸入してしまい、搬入先のお客様から許可をもらえなかったそうです。それを解決できる治具の開発を依頼され、とてもおもしろそうだと思いましたが、独自の工夫をすることで付加価値が生まれ、その後の仕事の受注にも有利になる二次効果も期待されていることを知り、プレッシャーも大きかったです。

まず現状の作業を知るために、搬出入部門にヒアリングを実施。どのような治具が必要とされているのかを確認しました。製品を雨に濡らさないことはもちろんですが、安全に作業を実施できることも非常に大切なことでした。ヒアリングした結果を持ち帰り、構想案の検討に入りました。なかなかアイデアが浮かばず、何度も絵を描いてイメージを膨らませました。ずっと考えているせいか、電車に乗っている時、友人と食事をしている時、家でリラックスしている時も、ふと治具のアイデアが降ってくることがあり、頭の中は治具でいっぱいでした(笑)。
依頼者が九州勤務だったために頻繁に打合せができず、メールで説明するときは図面ではなく立体図を使う等、構想案をできるだけ分かりやすく伝える工夫をしました。

思わぬ落とし穴

三ケ月後にようやく試作品を完成させ、ダミー製品を用いて試験検証を実施したところ、思わぬところに落とし穴がありました。屋根と壁をつなぐフレームの強度を上げるために梁を付けていたのですが、作業者が頭をぶつけやすく、安全が保たれなかったのです。安全は最優先項目、強度を上げるために良かれと思って設計したことが悪影響を与えてしまうこととなり、現場作業に対する理解がまだまだ足りなかったと反省しました。他にもフレームが重く持ち運びが不便なことなども分かりました。

開発した治具を現場で長く使ってもらうためには、ただ雨に濡れないだけではなく、組立・分解のしやすさ、持ち運びやすさ、作業性、安全性等も兼ね備えることが必要です。また、従来の作業方法を変更することは手間やリスクが伴うため、本当によいものでないと受け入れてもらえません。雨防止治具も、人によっては抵抗感を示されましたが、依頼者や検証試験に協力してくれた作業者の貴重な意見を反映させ、使いやすい治具を完成させることができたため、他の現場や他の製品でも使いたいという話もいただけました。

開発した「雨防止治具」

開発した「雨防止治具」

プロジェクトを終えて

世の中さまざま便利な治具がありますが、「物流現場の作業負荷を軽減する」「現場作業を安全に実施する」「不可能と思っていた現場作業を可能にする」という治具は、製品ごとのカスタマイズが必要であり、なかなか市販化されていません。だからこそ東芝ロジスティクスは物流現場の作業負荷軽減による物流の効率化推進を目指して、他社にない独自の技術を開発しています。現場の作業者、当社の担当部門、荷主企業、最終のお客様すべての方に満足していただけるよう、これからも固定観念に縛られずに、新しい発想を続けていきます。