国際輸送梱包開発プロジェクト

コスト削減と環境保護の両立を実現する重大タスク
木箱に代わる国際輸送梱包仕様の開発

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国際輸送の常識を見直す

2018年の冬、荷主側から社会インフラ向け電機製品の国際輸送にあたって、「梱包時の木箱のコストを削減したい」という要望がありました。通常、国際輸送には木箱が用いられるのが一般的です。木を用いるメリットは、その丈夫さと加工のしやすさ、安価な価格設定にあります。また通常現場に木材のまま保管され、製品に合わせて加工するため、箱サイズの自由度が非常に高く、リードタイムも部材の準備から梱包、出荷までが約3日程度と非常にスピーディーな対応が可能です。そうしたメリットの大きな木箱梱包ですが、一方で輸送費用や解体工数の負担、さらに廃棄による環境問題の発生などデメリットが存在することも確かです。これまでの「当たり前」を変える新たな輸送梱包仕様の開発という、大きなチャレンジが始まりました。

適切なサイズの梱包材をスピーディーに

木箱梱包の具体的なデメリットとしては、まず木箱自体の重量で加算される輸送コストが挙げられます。また組み立てに釘を用いるため、輸送先での解体作業が重労働となること、そして廃材の処理費がかかるのも問題です。
これに加え、環境負荷も懸念されます。私たちは、森林資源保全はもちろんのこと、梱包材をより軽量化し、輸送にかかる燃料の節約によってCO2削減にも貢献できればと考えました。そこで、単なるコスト削減だけではなく、社会的なメリットも考慮した新たな梱包仕様の開発に取り組みました。

業務イメージ
業務風景

デメリットのある木箱梱包に代わる梱包材は……

木製梱包からの脱却を図りつつ製品保護性なども考慮した結果、代替の候補として挙がった荷姿としてはスチール箱と強化段ボール箱でした。しかし両者とも納入までのリードタイムが約1週間と、時間を要するという難点があります。資材を在庫して対応することもできますが、資材発注の時点ではまったく情報がない先々の梱包に備えての対応のため、箱サイズの自由度は当然低く、実際に梱包した際に必要以上の大きさになる状況が生じてしまいます。このことは結果的に必要以上の輸送費がかかることにつながってしまうため避けなければなりません。

いったんは検討が行き詰まってしまいましたが、偶然見学した強化段ボール包装メーカーの工場で、解決のヒントを得ることができました。 見学先で目に入ったのが加工機。なんと一部の強化段ボール加工機が当社で使用している木材加工機械と同じものであることが判明したのです。それならば自分たちでも強化段ボールを加工することができるはず。そうして現存の加工機械を活用し現場で任意の寸法にカットする運用を確立したことで、適切なサイズの梱包材をスピーディーに確保することが可能になりました。さらにもう一つ、強化段ボールの納入時には新たに手配するトラックではなく、当社が製品輸送用に運行している定期便の空きスペースを活用することで、輸送費の削減にも成功しました。 これにより年間輸送費18.4%、年間梱包費17.6%、さらに輸送先での開梱作業量は93.3%削減するなどの効果を生み出すことができました。

プロジェクトを終えて

自分の発想がインパクトある数字上の成果を生み出したことは、大きな喜びでしたし、苦労してアイデアを実現したかいがあったと感じました。コスト削減のみならず環境への配慮もかなえるこの梱包方法は、営業担当者にとっても大きなアピール材料にもなっていると聞きます。 今後は段ボールの強度をさらに高め、適用できる製品の数を増やしていくことが課題になってきます。効率良い国際輸送を実現し、船の燃料効率をさらに改善していければCO2排出量の削減につながり、持続可能な社会実現への貢献も大きくなります。包装を考える立場からできることは、まだまだたくさんあると感じています。荷主の要望をクリアして貢献しながら、さらに様々な提案ができるようにアイデアの幅を広げていきたいと考えています。

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