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ジャパンラグビートップリーグ 2020 第3節

2020年1月25日(土)11:30〜 パロマ瑞穂ラグビー場

東芝ブレイブルーパス 32 − 23 Honda HEAT
32
東芝ブレイブルーパス
23
Honda HEAT
試合結果のスコアボード
チーム名 時間 T G P・G D・G 小計 合計
東芝ブレイブルーパス 前半 4 2 0 0 24 32
後半 1 0 0 1 8
Honda HEAT 前半 1 0 1 0 8 23
後半 2 1 1 0 15

出場メンバー

  • 1三上 正貴
  • 2森 太志
  • 3深村 亮太
  • 4梶川 喬介
  • 5シオネ・ラベマイ
  • 6李 聖彰
  • 7マット・トッド
  • 8リーチ マイケル
  • ○9小川 高廣
  • 10ジャック・ストラトン
  • 11桑山 聖生
  • 12中尾 隼太
  • 13リチャード・カフイ
  • 14松延 泰樹
  • 15コンラッド・バンワイク
  • 16平田 快笙
  • 17田中 圭一
  • 18知念 雄
  • 19トム・パーソンズ
  • 20山本 浩輝
  • 21大島 脩平
  • 22渡邊 太生
  • 23松岡 久善

○印 ゲームキャプテン

交替
交替前半の一覧表
前半
   
交替後半の一覧表
後半
13分知念 雄(深村 亮太)入替
17分トム・パーソンズ(マット・トッド)入替
21分松岡 久善(松延 泰樹)入替
25分渡邊 太生(小川 高廣)入替
29分山本 浩輝(李 聖彰)入替
34分平田 快笙(森 太志)入替
35分田中 圭一(三上 正貴)入替
38分大島 脩平(ジャック・ストラトン)入替
一時
一時の前半一覧表
前半
  
一時の後半一覧表
後半
  
カード
カードの前半一覧表
前半
  
カードの後半一覧表
後半
  
トライ
トライの前半一覧表
前半
21分コンラッド・バンワイク
30分リチャード・カフイ
33分コンラッド・バンワイク
36分コンラッド・バンワイク
トライの後半一覧表
後半
14分マット・トッド

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概要

ジャパンラグビートップリーグ2020の第3節は1月25日(土)にパロマ瑞穂ラグビー場にて、Honda HEATと対戦した。
前半12分、相手チームに先制トライを奪われ0-5。前半21分、カフイのキックパスを桑山がキャッチし内側にオフロードパス、バンワイクがトライを決め5-5とする。前半26分、相手チームにペナルティーゴールを決められ5-8。前半30分、敵陣5mまで攻め込むと、ボールを受けたリーチがラインブレイク、パスを繋ぎカフイがトライ。バンワイクのゴールも決まり12-8。前半33分、BKが狭いサイドにアタックし桑山が抜け出すとDFを引き付けてパス、バンワイクがトライ。バンワイクのゴール成功で19-8。前半37分、自陣からアタックし右サイドを大きくゲインすると、ブレイクダウンから左に大きく展開、桑山が左サイドを抜けだし、最後はバンワイクにパスしてトライ、24-8で前半を折り返す。
後半3分、相手チームにペナルティーゴールを決められ24-11。後半5分、8分と立て続けに相手チームにトライを奪われ24-23。後半14分、敵陣22m左サイドラックから小川のパスでトッドが抜け出しそのまま走りきりトライ、29-23とする。後半32分、敵陣に攻め込むとカフイがドロップゴールを決め32-23。そのまま逃げ切って試合終了。勝ち点4を獲得した。

レビュー

開幕戦から連勝で迎えた第3節は、Honda HEAT(以下:ホンダ)との対戦でした。今シーズンの成長指数や準備レベルの質を見極める確認など、様々な観点において、今のチーム力を計るバロメーターとして、昨シーズン苦杯をなめさせられたホンダは好敵手でした。
開幕戦から出続けている選手の疲労が少し見え始めてメンバーも入れ替わる中、チーム力が試される一戦にもなりました。前節から中6日の間隔を空けての試合でしたので、リカバリー → 前節の反省 → 次節の準備と、週明けから通常通りのスケジュールで抜け目なく入念に準備することができました。

ラグビーには、試合に向けての準備段階において常に、絶対に欠かせない存在がいます。それは、試合メンバーに入った23人以外の選手たちです。相手チームの戦略傾向、試合中に起こりうるプレーの様々なシミュレーション。対戦チームに扮した仮想メンバーを相手に行う練習は、メンバー入りした23人だけでは成り立ちません。メンバー外の選手たちが、23人の脳に相手チームをいかにイメージさせることが出来るか、より試合に近い状況を作り出すことが出来るか。それによって、試合の勝敗が決まると言っても過言ではないのです。

毎週のように、チーム内での競争を経て試合メンバーとメンバー外が決まり、そこには常に勝負が存在する。チームスポーツの世界は、決して生易しいものではありません。しかし、ラグビーは『究極の』チームスポーツです。試合メンバーに漏れたからといって、試合に向けた準備が終わるわけではありません。メンバー外の選手たちの役割と本領は、むしろここから試合直前まで一番必要とされるからです。

ブラックアダーHCは、試合メンバー外選手の重要性をより強くチームに認識させるために、メンバー外選手の総称を『K9』と名付けました。これは、狼の牙である犬歯=Canine toothの発音になぞらえた表現で、犬歯を選手と見立て、試合に向けた練習中、メンバー外の選手はメンバーに対して常に牙をむいて全力で相手をする、ということを意味しています。

試合前日のジャージプレゼンテーション。この週は『K9』としてチームを支えた、今季新加入のティム・べイトマンでした。ティムは、過去にトップリーグの他チームに所属していた際、東芝をどのようなチームとして捉えていたのかを語ってくれました。
「他チームにいたとき、何故このチームが過去に成功をおさめてきたのか、と考えたことがありました。このチームに合流し、その理由が少しずつ見えてきました。東芝は、どんなことにおいてもディテールに拘るチームであり、コミュニケーションスキルも高い。また、チームがやろうとしていることをまずは迷わずやってみる、という姿勢が選手個人にあり、非常に良い文化を築けている。そう感じました。そんなこのチームに、今、私から伝えたいことがあります。」
「試合の準備をして当日に臨むという流れの中で、このチームに3つの強みを感じました。まず1つ目は、ストラクチャーについて。アタック・ディフェンス双方に関して、素晴らしいテクニックを持っています。そして、各々が自分の役割を理解してしっかりと準備していました。」
「2つ目はスキルセット。ホンダに向けて必要なスキルをそれぞれが準備できていました。」
「そして最後の点は、マインドセット。これが一番重要です。『良いチーム』と『偉大なチーム』の違いは、このマインドセットにあります。このチームは良いチームです。しかし、まだまだ準備にムラがあります。チャンピオンチームは、一瞬一瞬集中し、質の高い準備を継続しています。それでこそ、チャンピオンという称号を得ることができるのです。このチームもそのマインドセットができれば、望む結果は必ずついてきます。ストラクチャー・スキルセットはできているので、このマインドセットに関して、個人でやれることを精一杯やりましょう。そうすればきっと、ホンダ戦で最高のパフォーマンスができるはずです。」
メンバーが順にジャージを受け取る中、この試合、出場すればトップリーグデビュー戦となるルーキーの平田 快笙の名前が呼ばれると、その場はこの日一番の盛り上がりをみせました。新しい選手の活躍は、チームに勢いを与え、更なる活性化を促す要因のひとつに繋がります。みんなの期待を込めた声援を背に受けてジャージを受け取る表情からは、その意味合いに対する責任がしっかりと感じられました。

試合当日は、大寒のこの時期にしては気温が高く、絶好のラグビー日和となりました。ホンダのキックオフで始まった前半は、先制されるものの、落ち着いたゲーム運びで試合を進めます。21分、13番リチャード・カフイからのキックパスをルーキーの11番桑山 聖生がタップパス、そこに走りこんだ15番コンラッド・バンワイクがトライ。(東芝 5−5 ホンダ)
29分には、8番リーチ・マイケルの突破から13番カフイのトライ。(東芝 12−8 ホンダ)
そして33分、ショートサイドをBKが素晴らしいパススキルで繋ぎ、11番桑山の突破から15番のバンワイクがトライ。(東芝19−8ホンダ)
極めつけは35分、11番桑山が相手2人を華麗にかわしてビッグゲインすると、最後は15番バンワイクに繋いでトライを奪い、ルーキー桑山の大活躍などにより4トライを奪う猛攻で、後半へ折り返します。(東芝24−8ホンダ)

後半に入ると、試合前の分析通り、ホンダが本来の力を発揮します。2分にPG、5分にトライ、8分にトライと連続スコアを許し、1点差まで追い上げられます。(東芝 24−23 ホンダ)
しかし、この悪い流れを断ち切ったのは、現役のオールブラックスでもある、今季加入の7番マット・トッドです。13分、相手の死角から走りこんでゲインを切ると、そのままインゴールまで走り切り、トライを奪います。(東芝 29−23 ホンダ)
6点差のまま約20分間、試合は拮抗しますが、スクラムで優位に立ちながらジリジリと相手陣に攻め込むと、32分に13番カフイが冷静にドロップゴールを決めて9点差とし、ホンダを突き放します。(東芝 32−23 ホンダ)
ラスト3分。何としても守り切りたい状況の中、21番大島がベテランらしい落ち着いたゲームコントロールでしっかりとマイボールをキープさせ、全員がノーサイドまで堅実に動き、開幕3連勝で終えることができました。(東芝 32ー23 ホンダ)

この試合のキープレイヤーとして、この3選手にスポットを当てたいと思います。まずは、7番のトッドです。彼という同一人物がまるでグラウンド上に複数人いるかのように思わせるほど、幅広い範囲を網羅した運動量をもって常にボールに絡み、攻守にわたって、ワールドクラスのプレーをチームに示してくれました。2人目は、前半のほとんどの得点シーンに絡みチームに勢いを与えてくれた、ルーキーながら第3節でMOM(マンオブザマッチ)を獲得した11番の桑山。そして3人目は、開幕戦からメンバー入りするもここまで中々出場機会に恵まれなかった、21番の大島です。この日も出場した時間は僅か3分間、一見すると目立つプレーもしていなかったように思われますが、最後の大事な局面において、相手が必死にボールを奪いにくるところを、高いコミュニケーション能力と卓越したコントロール技術をもって冷静にチームを牽引し、危なげない勝利へ導いたのは、経験値のある大島にしかできない、熟練された見事な手綱さばきでした。

ブラックアダーHCは試合後に、「今日は非常に学びの多い試合であった。その学びを、勝利から得ることができたということに、とても大きな価値がある。我々は、まだまだ学ばなければいけないチームであり、学んだことを会得する理解力のあるチームでもある。」と言葉を掛け、この試合を締めくくりました。

MOMの11番桑山は、チーム内で選ぶPlayer of the Matchも受賞し、皆が認める文句なしのダブル受賞となりました。また、今節から、試合に向けた準備に対してメンバー外の立場から素晴らしい『牙』を見せた選手を「K9」賞をもって称賛することとなり、今季新加入のリンドン・ダンシェアが選ばれました。今後の試合は、ダンシェアのプレーにも是非ご期待下さい。

次節は、神奈川県ニッパツ三ツ沢球技場で、三菱重工相模原ダイナボアーズとの対戦となります。現地でのたくさんの方々の熱いご声援を、どうぞ宜しくお願いいたします。