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ジャパンラグビー トップリーグ2021 プレーオフトーナメント
2回戦

2021年4月24日(土)12:00〜 パロマ瑞穂ラグビー場

東芝ブレイブルーパス 24 − 27 リコーブラックラムズ
24
東芝ブレイブルーパス
27
リコーブラックラムズ
試合結果のスコアボード
チーム名 時間 T G P・T P・G D・G 小計 合計
東芝ブレイブルーパス 前半 1 0 0 0 0 5 24
後半 3 2 0 0 0 19
リコーブラックラムズ 前半 2 2 0 2 0 20 27
後半 1 1 0 0 0 7

出場メンバー

  • 1金 寛泰
  • 2橋本 大吾
  • 3知念 雄
  • 4梶川 喬介
  • 5小瀧 尚弘
  • 6〇リーチ マイケル
  • 7マット・トッド
  • 8山本 浩輝
  • 9高橋 昴平
  • 10ジャック・ストラトン
  • 11桑山 聖生
  • 12ジョニー・ファアウリ
  • 13セタ・タマニバル
  • 14ジョネ・ナイカブラ
  • 15豊島 翔平
  • 16平田 快笙
  • 17藤野 佑磨
  • 18眞壁 照男
  • 19伊藤 鐘平
  • 20シオネ・ラベマイ
  • 21小川 高廣
  • 22中尾 隼太
  • 23桑山 淳生

○印 ゲームキャプテン

交替
交替前半の一覧表
前半
   
交替後半の一覧表
後半
8分藤野 佑磨(金 寛泰)入替
眞壁 照男(知念 雄)入替
11分小川 高廣(高橋 昴平)入替
22分中尾 隼太(ジョニー・ファアウリ)入替
シオネ・ラベマイ(山本 浩輝)入替
一時
一時の前半一覧表
前半
  
一時の後半一覧表
後半
  
カード
カードの前半一覧表
前半
  
カードの後半一覧表
後半
  
トライ
トライの前半一覧表
前半
3分ジョネ・ナイカブラ
トライの後半一覧表
後半
21分橋本 大吾
24分ジョネ・ナイカブラ
42分小川 高廣

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概要

ジャパンラグビートップリーグ2021プレーオフトーナメント2回戦はパロマ瑞穂ラグビー場においてリコーブラックラムズと対戦した。試合は前半3分、東芝のキックオフを受けて相手が蹴り返したボールを継続すると、10フェイズ以上継続し敵陣へ、最後はタマニバルからのオフロードパスを受けたナイカブラがディフェンスをかわしトライ5-0。前半9分、相手チームにペナルティーゴールを決められ5-3。前半15分、24分と相手チームにトライを許し5-17。前半39分には再度相手チームにペナルティーゴールを決められ、5-20で前半を折り返す。
後半21分、敵陣ゴール前右ラインアウトからFWがモールを組むとそのまま押し込み橋本がトライ、10-20。後半24分、敵陣10m右ラインアウトからBKへ展開すると、グラウンド中央でボールを受けたナイカブラがディフェンスの間をこじ開けてそのまま40mを走り切りトライ、小川のゴールも決まり17-20と3点差まで迫る。後半38分、相手チームにトライを許し17-27。後半42分、敵陣10mを越えた中央スクラムから小川が持ち出すと、ディフェンスの間をすり抜けトライ、自身のゴールも決まり24-27とするもここで試合終了。ジャパンラグビートップリーグ2021 プレーオフトーナメントは2回戦敗退。今シーズンの東芝ブレイブルーパスとしての全日程を終了した。
ジャパンラグビートップリーグ2021シーズンも、皆様の熱い応援ありがとうございました。

レビュー

2003年から始まったジャパンラグビートップリーグもついに今シーズンで終わりを迎えます。
7節のリーグ戦を経て、負ければ終わりのノックアウトステージがついに始まりました。
負けたらシーズン終了となるプレーオフトーナメント初戦である2回戦は、同じ東京都を拠点とするリコーブラックラムズ(以下:リコー)と愛知県のパロマ瑞穂ラグビー場にて行われました。

リーグ戦では3勝4敗と非常に苦しい結果になりましたが、6節7節と連勝し、チーム力は確実に上向いてきました。
シーズン当初から怪我人が多く、このプレーオフトーナメントにおいても復帰出来ない選手が多々いたことは、非常に残念でした。
その中で多くの若手選手がチャンスを掴み、結果を出してくれたことは、チームとして大きな収穫となりました。
新しい東芝の芽が出始めたところですので、更なる進化を遂げるためには1試合でも多く今シーズンを戦うことが非常に重要です。

チーム全体から湧き上がる高揚感は、週初めのミーティングにおけるトッド・ブラックアダーHCからの「今シーズンで一番ワクワクする週がきた!」という言葉からも受け取れました。
HCは「勝つために、最高の準備をしよう。準備で一番大事なことは、自分たちがやっていることを楽しむ、ということ。一日一日、1セッションごとに集中して充実した時間を過ごすこと。これができれば必ず結果はついてくる。この戦いに臨むにあたりもう一度我々がやるべきことを明確にしよう」と、今シーズンのプロモーション映像(試合前に会場で流されるチーム紹介映像)を流しました。(PVは東芝公式ホームページに掲載中)
「We will learn」「We will stand」「We will attack」「We will together」
HC「このムービーが、我々が戦う意味を一番シンプルに表している。もう一度この言葉をマインドセットしよう」と、シーズン最初にチームとして掲げた想いを再確認して、試合に向けて全員のベクトルを整えました。

その後メンバー発表が行われ、現状のベストメンバーが組まれました。
ジョー・マドックBKコーチからは「フィールドに立てるのはこの23人だが、ここに選ばれなかったからといってチームにおいて価値がないということではない。それぞれの役割を明確にして、ここから全員で今週の試合を戦うための役割分担だ。23人は試合当日にピッチで責任を果たし、それ以外の選手は試合当日までに責任を果たす。それが、もう一度全員で戦うために必要な、一人一人のそれぞれの務めだ。」

迎えた試合当日は、最高のラグビー日和となりました。
現地には、試合メンバー23人、バックアップメンバー7人。それ以外の選手は府中。
場所は違っても「Wolf Pack」として全員で戦いに挑む想いの強さは変わらなかったと思います。

試合直前の円陣、ゲームキャプテンの6番リーチマイケル選手は「一つ一つのバトルで勝ち続ける!一人一人がポジティブに!それをやり続ければ必ず自分たちにチャンスがくる。自分たちがやってきたことを信じて東芝らしく激しくいこう!」と檄を飛ばしました。

ここまでの7戦、試合序盤の流れは決して悪くありませんでした。しかし、自分たちのペースで攻め込むもののスコアに至らないことが多い、という反省点がありました。
しかし、この日の試合は、前半3分の14番ジョネ・ナイカブラ選手のトライからも分かるように、全員でミスなくボールを繋ぎ続け、その良い流れをしっかりと結果(スコア)に残すという最高の立ち上がりを見せることができました。
しかし、セットプレーで劣勢になり、リコーへ流れを明け渡してしまうと、そこから立て続けにスコアを許し、前半は大きく離されてしまいます。(東芝5−20リコー)
試合中に上手く運ばない時間帯や相手のペースで攻められたとき、メンタルダウンしてしまう今シーズンの良くない姿勢が、ここでも出てしまいました。

後半8分、早々に流れを変えるべく、17番藤野佑磨選手、18番眞壁照男選手、そして怪我から復帰した21番キャプテンの小川高廣選手が入り、再度チームに火をつけます。
すると後半21分、FWがゴール前のラインアウトからモールで押し込み2番橋本大吾選手がトライ、反撃の狼煙を上げます。そしてその3分後、圧巻のプレーが飛び出します。

先日、日本代表候補選手に初選出された、14番ナイカブラ選手のプレーです。
敵陣10mライン付近、リコーのディフェンスラインが全く崩れていない状況において相手2人を吹き飛ばし、力ずくで防御網を切り裂くと更に加速、追いかけてくるディフェンス2人をかわしてゴール下に豪快にトライを決めました。(東芝17ー20リコー)
このトライの目を見張る部分は、継続された攻撃の中で相手ディフェンスラインを崩して突破したのではなく、いわば力ずくでディフェンスラインをこじ開けてトライを奪った、という点です。
近年、どのチームもレベルが上がっているトップリーグの試合において、このようなトライはなかなか見かけなくなってきました。
ラグビーは15人全員でトライをとるスポーツであり、「個よりも組織」というイメージが強いかもしれませんが、個で状況を打破するということも試合では必要になってきます。
試合前にリーチ選手が伝えた「一つ一つのバトルで勝ち続け、それぞれがポジティブに」ということは、このようなプレーを示唆していたのです。メンバー全員がそうなれば、そこにチームとしてのまとまりが表れ、個ではなく組織としての攻撃となって大きなうねりを生み出すことができます。
強いチームとは、強い個の集まりによって創られるものであると、このプレーから改めて感じさせられました。

このトライで完全に流れを掴み、追い上げる勢いが上がりましたが、圧倒され続けたスクラムは、最後の最後まで修正することが出来ませんでした。
一方、リコーは「スクラム」という一つの力で悪い流れを断ち切ったと言えます。

派手な個のランニングからのトライによって流れを引き寄せる方法、試合を通してじわじわと相手にプレッシャーをかける組織のスクラムによって流れを引き寄せる方法、非常に対照的な方法に見えますが、どちらもラグビーの醍醐味であると言えます。
ラグビーの面白さは、トライに至るまでの流れが幾通りも存在し、そのどれもが力強く、且つ魅力的である、という点にあるのかもしれません。

後半33分の決定的な得点チャンスも逃し、リコーにトライを奪われて万事休すとなりました。(東芝17ー27リコー)
逆転が難しいことは誰もが受け入れている中、後半40分、ラストワンプレーのスクラムとなります。
シーズンをきちんと締めくくるというけじめ、来シーズンへ向けて東芝はまだ進化できるという信念、そしてこの会場にはいない府中にいるメンバー外への感謝、それらの想いが詰まったプレーを、キャプテン小川選手のトライという形で最後に見せてくれましたが、ここでノーサイドとなりました。(最終スコア 東芝24ー27リコー)

試合後、ブラックアダーHCは「我々が目指していた結果を達成できず、このような形でシーズンを終えるのは非常に悔しいが、これだけは覚えておいてほしい。試合とは、非常にシンプルであるということ。基本的なことをきちんとやる、プレッシャーの中で正確にこなす、少ないチャンスの中でも継続する。試合において、特にトーナメントにおいては、これらがシンプルに大事であるということを、来シーズンに向けてもう一度胸に刻もう」と、ベーシックな部分に立ち返り、また一から鍛えて出直すという決意を含んで、今シーズン最後の試合を総括しました。

今シーズンは、コロナウイルスの影響でブラックアダーHCとマドックBKコーチがNZから戻れない中、2020年6月末より、湯原祐希FWコーチと森田佳寿アシスタントコーチによる若手選手を中心とした練習から始まり、1年目から3年目の選手が、ラグビースキルの向上はもちろんのこと、一人一人が先頭に立ってチームを引っ張り人間的な成長を遂げた、例年にない良いスタートを切りました。
8月下旬には全体練習も始まり、ここからというときに、予想もしない悲報に直面しました。
9月29日、湯原FWコーチ逝去。誰もが受け入れることが出来ない、あまりにも辛い現実がチーム内にもたらした影響は、本当に本当に計り知れないものでした。
「湯原FWコーチがいてくれたら」と思う場面が練習中に幾度となく訪れる中、フロントローの選手たちは弱音を吐かず自らを律し、「湯原さんに恥ずかしくないプレーを」と奮起してくれたことは間違いありません。しかし結果的に、この偉大なFWコーチを失った影響は余りに大き過ぎました。

2003年に発足した、ジャパンラグビートップリーグ。
東芝ブレイブルーパスはトップリーグ戦績を、2004-2005シーズン・2005-2006シーズン・2006-2007シーズンの3連覇、2008-2009シーズン・2009-2010シーズンの2連覇と、計5回の優勝、その他2回の準優勝という結果で締めくくりました。
振り返ると、素晴らしい成績を残してきたことは間違いありませんが、11シーズンもの期間、頂点から遠ざかってしまっていることもまた事実です。

来シーズンより新たなリーグへと生まれ変わり、ラグビー界は更なる飛躍に向けて進化します。
東芝ブレイブルーパスとしての栄光はトップリーグでの過去の栄冠として胸の内に納め、新たな歴史を作るべく、再度チャレンジャーとして新リーグ初年度から結果を出せるよう、邁進していきたいと思います。

この11年間、タイトルを獲ることが出来ない中でも、常に変わらず見守り、応援してくださったファンの皆さま、本当にありがとうございました。
皆さまの温かい声援や叱咤激励によって苦しいときに何度踏ん張れたことか分かりません。
まだまだ道半ばではありますが、見ている人に勇気を与えられるチーム、ファンの方々に愛されるチーム、そして、人間的に尊敬される個が集まった質の高いチームを目指していきます。

今シーズンも、拙いレビューにお付き合いいただき、ありがとうございました。
今後は、更に皆さまに楽しんでいただけるような内容と、より多くの方にご覧いただける発信方法を模索していきたいと思います。
来シーズンも温かい応援を、どうぞ宜しくお願いいたします。

採用普及担当 望月雄太