がんのリスク
がんのリスク
日本人の死因としては、昭和56年以降変わらず1位にあるのが「がん(悪性新生物)」です。日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性61.1%・女性50.1%(国立がん研究センター、2023年のデータに基づく)とされておりおよそ2人に1人ががんを経験することになります。
この記事のポイント
- ①日本人の2人に1人は、一生のうちにがんと診断される。
- ②公的な健康保険では足りない部分がある。
- ③がん保険やがん特約で、治療に伴う費用や長期化への備えを。
がん治療の現状とほかの病気との違い
ここでは、がんのリスクについて、「病気・ケガのリスク」と区別して考える必要性を、ほかの病気との違いを踏まえて解説します。
自分の細胞の変化
「体の外から来た原因」がある細菌感染などの病気は、原因を標的にした治療が行いやすい一方で、がんは正常細胞が変化し、性質が異なるものであり、同じように原因を特定して治療することが難しいとされています。
がんの治療は、治療の効果と副作用のバランスを見ながら進めていく必要があります。
完治だけがゴールではない
一般的に、病気は「治す」ことを目指すケースが多い一方で、がんは病期や種類によって、ゴールが段階的に変わります。
1. 根治(治癒):がんを取り切る/消し切る
2. 再発予防(補助療法):目に見えない微小ながんを叩く
3. 進行・病勢コントロール:がんの進行を抑え、状態を安定させる
4. 症状緩和・生活の質(QOL)最優先:痛み・息苦しさ・食欲低下などを軽くする
治療の長期化
がんの治療は、状況によって「治す」ことがゴールにならず、その場合、再発予防や病勢コントロールなどの治療を継続していくことがあります。
そのため、ほかの病気に比べて治療が長く続く傾向があります。
このように医療技術の進歩により、治療を続けながらがんと付き合っていく時代になってきています。
治療の選択肢の多さ
治療のガイドラインが比較的定まっている病気と比べ、がんでは選択肢が多く、治療の組み合わせや順番も複雑です。がんは、症状に応じて「手術・放射線・薬物療法」などを組み合わせる集学的治療が行われることが多くあります。また、医学の進歩が速い分野でもあることから、公的医療保険が適用されない治療法も増えています。
がん治療で実際にかかる費用
医療費(公的保険の対象)
がんの治療では、多くが公的医療保険の対象として受けることができますが、種類や内容、期間によって、費用は大きく異なります。
下表は、公的な統計資料を基に、がん治療にかかる医療費の目安を整理したものです。
| 病名 | 初年度 医療費 (総額/内訳) |
2年目以降の 医療費 (1年あたりの費用) |
治療期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 胃がん | 約100万〜150万円 | 約10万〜30万円 | 治療後、5年程度の経過観察(フォロー検査)が行われることが多い |
| 治療例 入院・手術:約65万円 術後抗がん剤:約70万〜100万円 |
治療例 フォロー検査:約10万〜30万円 |
||
| 乳がん | 約100万〜150万円 | 約20万〜60万円 | 治療後も、ホルモン療法などによる治療が5〜10年程度続くことが一般的 |
| 治療例 手術:約60万円 放射線:約40万〜60万円 薬物療法:数十万円〜 |
治療例 継続治療:約20万〜60万円 |
||
| 肺がん | 約150万〜300万円 以上 |
約20万〜100万円 以上 |
進行状況や治療内容により、治療期間に大きな差が生じる |
| 治療例 入院・手術:約70万円 抗がん剤・免疫療法:数十万〜数百万円 |
治療例 継続薬物療法:約20万〜100万円 |
||
| 大腸がん | 約100万〜180万円 | 約10万〜30万円 | 治療後、5年程度の経過観察(フォロー検査)が行われることが多い |
| 治療例 入院・手術:約65万円 術後抗がん剤:約30万〜80万円 |
治療例 フォロー検査:約10万〜30万円 |
||
| 血液がん | 約200万円以上 (治療内容により大きく異なる) |
約50万〜100万円 以上 |
維持療法を含め、2〜5年以上の治療が継続することが多い |
| 治療例 入院治療:約100万〜170万円 抗がん剤・骨髄治療:数十万〜100万円以上 |
治療例 継続治療:約50万〜100万円 |
||
| 前立腺がん | 約80万〜150万円 | 約10万〜40万円 | ホルモン療法などが数年にわたり継続することが多い |
| 治療例 入院・手術:約60万〜100万円 放射線治療:約40万〜70万円 ホルモン療法:数万円〜 |
治療例 継続治療:約10万〜40万円 |
厚生労働省「医療給付実態調査」を基に標準的な治療(手術・薬物療法等)を想定して作成した概算です。
※2年目以降の医療費は年間(1年あたり)の目安です。
※実際の医療費は、病状や治療内容、通院状況等により大きく異なります。
※差額ベッド代・交通費・先進医療等公的医療保険対象外の治療は含まれていません。
※実際の自己負担額は、加入している健康保険の種類や年齢・所得等により異なります。
医療費以外の負担
がん治療では、医療費のほかにも公的医療保険対象外の費用がかかる場合があります。
また、治療が長期化することもあるため、生活費などの負担にも備えておくことが大切です。
入院・通院関連
治療では、入院や通院に伴い、公的医療保険の対象外となる費用が発生する場合があります。
・差額ベッド代(有料個室料)
・入院中の食事代、レンタル代など諸費用
・入退院時や通院時の交通費
・宿泊費(遠方での通院や治療の場合)
外見ケア費用
治療の副作用により、外見に関するケア費用が必要となる場合があります。
※これらの費用は公的医療保険の対象外です。
・ウィッグや帽子など(脱毛への対応)
・専用下着、肌着、スキンケア用品など
・ネイルケア用品など
生活サポート費用
治療により体力が低下した場合などに、生活面での費用が必要となることがあります。また、治療の影響により収入が減少する場合もあります。
・家事代行サービスの利用費
・ベビーシッターや保育サービスの利用費
・買い物や外部サービスの利用費など
がん保険を選ぶ6つのポイント
公的医療保険と高額療養費制度(+健康保険組合の付加給付)で医療費の自己負担は相当程度抑えられます。一方で、医療費以外や先進医療・自由診療、長期の収入減は公的医療保険の範囲外・薄い領域です。ここをカバーするのが民間保険会社のがん保険です。
診断一時金
(まとまった初期費用対策)
診断直後は自己負担の立替や医療費以外の出費が重なりがちです。一時金が複数回給付されるか、何年ごとに支払われるか確認しましょう。
通院治療への対応
(外来中心の治療に対応)
抗がん剤・分子標的薬・放射線など、通院を中心とした治療も増えてきています。そのため、通院であっても、治療内容に応じて保障の対象となるかを確認しておくことが重要です。
先進医療特約
(技術料の全額自己負担に備える)
先進医療として行われる陽子線・重粒子線治療などは、技術料が高額となるケースがあります。
特約の保険金額や通算限度額に加え、交通費や宿泊費などの付帯費用についても補償の対象となるか確認しておきましょう。
長期療養・就労不能に
備える所得補償
家計へのインパクトは医療費より数か月数年間に及ぶ「収入減」のほうが大きくなります。就業不能給付・所得補償の有無/待機期間/支払要件を確認しましょう。
再発・長期化への対応
再発・転移に合わせた診断給付金が複数回支払われるか、またその支払いの間隔(1年なのか2年なのか)、更新後の条件変更、終身型かどうかを確認しましょう。
自由診療への対応
免疫療法など、公的医療保険の対象外となる治療には高額となるケースもあります。自由診療の多くは民間のがん保険でも対象となる商品が極めて限定的です。そのため、適用範囲や限度額などを確認し、一時金などで治療方法を柔軟に選択できるよう備えておくことが重要です。